太陽光発電でEV充電をもっと賢く!
V2Hの導入効果も紹介
- 投稿日:2025.08.01
- 更新日:2025.08.01
地球環境への負荷を減らす手段として注目されている電気自動車(EV)。そのEVを、もし自宅の太陽光発電で充電できたら、まさに「自分でつくった電気で走るエコなクルマ」が実現します。環境負荷を抑え、光熱費の節約にもつながるこの仕組みは、現実のものになっています。一方で、EVに充電した電気を、家で使うことができるのかについても気になっている方も多いでしょう。EVと太陽光発電の連携性や課題、そしてV2H(Vehicle to Home)という次世代の電力活用術や導入効果についても詳しく解説していきます。
V2Hの基本や導入メリットついては「V2Hとは?導入メリット・デメリットと必要機器・費用を徹底解説」をご覧ください。

目次
EVと太陽光発電は相性がいい
EVと太陽光発電は、非常に相性の良い組み合わせです。理由は大きく分けて2つあります。1つ目は「同じ電気エネルギーを使う」という点。EVはガソリンの代わりに電気で走る車です。自宅で太陽光発電を行えば、その電気をEVに充電することで、ガソリン代ゼロのクルマ生活が実現します。2つ目は「余剰電力を有効に使える」という点です。太陽光発電は日中に発電しますが、日中はそれほど多く電気を使わないケースが多いため、余った発電分をEVに貯めることができれば有効に使うことができます。
太陽光発電×EVがもたらすメリット
燃料費・電気代の節約
太陽光発電の電気で日中に家で必要な分を自家消費すれば、電力会社からの買電量を抑え、電気代の削減が可能です。さらに、その電気をEVに充電すれば、充電のための電気代もかからないため、家計への貢献度は非常に大きくなります。
CO₂排出ゼロのエコライフ
EVは走行中にCO₂を排出しません。これに再生可能エネルギーである太陽光発電を組み合わせれば、電気の発電時にも温室効果ガスを排出しない、完全クリーンな移動手段が実現します。
停電・災害時のバックアップ電源に
EVのバッテリーは、大容量の電気を蓄えることができます。充放電機器を使えば、停電時に家に電気を供給する「移動する電源」としても機能し、万一の災害時にも安心です。

災害時のV2H活用については「電気自動車の電気は災害時に使える!V2Hで家庭の電気も災害時対策」をご覧ください。
太陽光発電の電気でEVを充電するには?EVの電気を家で使うには?
太陽光発電でつくった電気を電気自動車(EV)に充電することは、充電器があれば可能です。基本的に家の太陽光発電で発電した電気はまず家庭内で使われ、余った電気はEVの充電に使うことができます。ただし、これだけでは、太陽光発電からEVに電気を送れるだけで、EVに貯めた電気を家で使うことはできません。これらの課題を解決するカギとなるのが、「V2H」という充放電のシステムです。
「V2H」があれば太陽光発電と連携してEVが“家庭用電源”になる
V2Hとは「Vehicle to Home」の略で、「車から家へ電気を供給する仕組み」を意味します。家からEVへの充電器としての機能はもちろん、EVに貯めた電気を家で使うことができるため、EVを単なる移動手段としてだけでなく、“蓄電池”としても活用できるのが最大の特長です。たとえば、太陽光発電で日中にEVへ充電し、夜はその電気を家で使う。こうすることで、太陽光の発電タイミングと生活時間帯の“ズレ”をうまく調整できるようになります。


V2Hの基本や導入メリットついては「V2Hとは?導入メリット・デメリットと必要機器・費用を徹底解説」をご覧ください。
「V2H」があれば、太陽光発電の電気だけ電気代の発生なく充電可能
V2Hは普通充電器よりも快適かつお得な充電ができます。普通充電器で太陽光発電から充電する場合、充電電力が一定のため、充電電力と太陽光発電の余剰分の差である不足分の電気代が発生してしまいます。しかし、V2Hなら充電電力が太陽光発電に追従するため、太陽光発電だけで充電でき、電気代の発生なく、充電することができます。

太陽光発電にV2Hを導入すると何が変わるのか?
夜間でも昼間に蓄えた太陽光の電気が使える
V2Hを導入すると、電気自動車のバッテリーに蓄えた電気を家で使用できるようになります。これにより、昼間に太陽光発電で作った電気をEVに充電し、夜間や停電時にその電気を家で利用することが可能になります。電気の自給自足が進むことで、電力会社から購入する電力量を大幅に削減できます。
停電時にも安心
万一の停電時でも、電気自動車のバッテリーから家に電気を供給できるため、照明や冷蔵庫、スマートフォンの充電など、必要最低限の生活を維持できます。EVのバッテリー容量は一般家庭の3〜4日分の電気をまかなえる場合が多く、非常時の電源として非常に頼りになります。
売電よりも自家消費が有利
従来は「余った電気は売電」でしたが、現在は売電単価が下がっているため、自家消費したほうが経済的に有利なケースが増えています。2025年度の住宅用太陽光発電(10kW未満)の売電価格は1kWhあたり15円(税込)です。一方、家庭での電力購入価格(買電単価)は、電力会社や契約プランによりますが、再エネ賦課金や燃料費調整額を含めると、1kWhあたり約35〜45円程度となっています。発電した電気を売電するよりも、自家消費する方が1kWhあたり20円以上の節約になる場合があるため、これからの太陽光発電は自家消費が主流になるでしょう。
V2Hでどのくらい節約できるかについては「V2Hの設置費用はどのくらい?電気代は節約できる?」をご覧ください。
V2H導入の実例と削減効果
すでにV2Hを導入している家庭などでは、以下のような実績が報告されています。
- ●年間光熱費の削減太陽光発電×V2Hの活用により、光熱費+燃料費を削減することができました。
- ●売電頼りから自家消費中心へこれまでは太陽光発電の余った電気は売電をメインにしてきましたが、V2HでEVにためて使うスタイルにシフトしています。
- ●企業の社用車EV×V2H活用補助金を活用してV2H機器を導入。昼間に発電の余剰電力をEVにため、夜間や停電時にバックアップ電源として活用しています。
まとめ:EVと太陽光の相乗効果を最大化する「V2H」
「EVを太陽光発電で充電する」というアイデアは、すでに現実となり多くのEVユーザが採用しています。電気を“買う”のではなく“つくって使う”時代が始まっており、自宅の屋根で発電したクリーンエネルギーでクルマを走らせることが可能です。ただし、太陽光だけでは一方通行であるため、V2Hのようなエネルギーを最適に活用する仕組みを取り入れることで、より効果的な運用を実現できます。
オムロンのV2H「マルチV2Xシステム」はこうしたEVから家への放電はもちろん、家(太陽光発電含む)からEVへの急速充電器としても使うこともできます。これからEVの普及が進み、再生可能エネルギーの利用も加速していく中で、「走る蓄電池」としてのEVと、それを支える太陽光発電・V2Hの組み合わせは、持続可能な社会の実現に向けた大きな一歩となるでしょう。