世界中の人々が安心・安全・快適に生活し続ける豊かな社会を創造するために、私たち自身が心身共に健康で活き活きと働くことができる企業であることを目的に「オムロングループ健康宣言」に基づき健康経営の実践に取り組んでいます。
当社は、オムロンの企業理念のもと従業員の安全と健康を重要な経営資源と位置づけ、オムロングループ労働安全衛生ビジョンの実現に向けて、安全衛生文化を育み、働く人の自律的な協力を引き出すことを通じて、安心・安全・健康が保障され、生産性が高く活力のある職場環境の実現に努めていきます。
健康経営の推進にあたっては、経営課題の解決につながる健康課題を「未来価値創造に向けたソーシャルオートメーションの進化を通じた会社のミッション・ビジョンの実現と社員のWellーBeingの両立」と特定し、それらを解消するための手段や具体的取り組みに落とし込むため、健康経営戦略マップを作成し、健康経営戦略を明確にすることで、取り組みの実効性を高めています。
健康経営の取り組みを推進するため、オムロン ソーシアルソリューションズでは、社長を統括責任者とし、産業医、産業保健スタッフを含めた実行体制を構築して健康経営の実践に取り組んでいます。また健康保険組合と連携し、全社での活動を推進しています。
オムロングループでは、社員の健康増進を、疾病予防や改善にとどまらず、職場で集中力を発揮するとともに私生活も存分に楽しむ豊かな人生に直結する要素として、「運動」「睡眠」「メンタルヘルス」「食事」「タバコ(禁煙)」の5項目を、重点テーマ(社内名称「Boost5」)に定め、各項目に指標を設けています。「Boost 5」の5つの指標をより多く達成している社員ほど健康状態が良好で、ワークエンゲージメントが高い傾向を示していることから、当社では、指標ごとに目標を設定し、目達成者数の増加、3項目以上の達成者率の向上を目指しています。
目標:2024年度3項目以上の達成者率 80%
1.1 健康づくりを応援する5つの指標「Boost5」
1.2 2023年度の注力取り組み
当社は「Boost 5」それぞれの指標の目標達成に向けて、年度ごとに特に注力すべきテーマを設定しています。2023年度はこれまでの「Boost 5」の達成割合が半数以下で推移している「運動」、および、前年度比較で達成割合が微減した「睡眠」に注力し、楽しみながら参加できるイベントと特別に意識をしなくても健康行動に結びつけられる環境整備の両面で「Boost 5」の取り組みを進めました。
【トップを含む経営層による健康経営推進メッセージの配信】
トップを含む経営層自らが取り組んでいる健康増進や運動習慣をリレー方式で紹介をしました。社員からは「健康経営に対する興味関心が更に高まった」「職場で運動に関する話題が増えた」「運動を身近に感じられた」という声が聞かれ、会社全体での健康経営、「Boost5」を楽しく取り組む機運が高まりました。
【健康アプリを活用した歩行活動の推進】< 運動 >
昨年度導入した健康アプリを用いて、社員が日々の歩数を記録・グラフ化でき、健康イベントにも参加可能な環境を整備し、登録率が85%に向上しました。運動習慣の推進イベントとしてウォーキングラリー「ウルトラウォーク」を2023年6~7月と10~11月の2回開催。「ウルトラウォーク」を通じて参加者それぞれが目標達成を目指して運動の習慣化に取り組むとともに、チームで楽しく歩数を競い合いながら運動習慣が身につくサポートを行った結果、271名がイベントに参加しました。
【社内看護職による運動実践イベントの開催】< 運動 >
社内の看護職が作成したオリジナルムービーを通じて、日常生活で体を動かすきっかけや今すぐチャレンジできる運動メニューを提供し、社員は各自の都合の良いタイミングでこれらの動画を視聴。社員が無理なく日常生活に運動を取り入れられるよう、動画コンテンツを活用した運動イベントを実施しました。
【睡眠セミナと睡眠改善プログラムの実施】< 睡眠 >
質の良い睡眠をとるための睡眠セミナー「学校では教えてくれない睡眠のはなし」を開催しました(参加者:66名)。睡眠セミナーでは、睡眠の知識を学ぶとともに不眠度を測定※1し、不眠症の疑いのあった方を対象に3か月間の睡眠改善プログラムを実施しました。プログラムを完遂した社員全員の不眠度が改善される結果となりました。
1.3「Boost5」各指標の経年推移
各種イベントにより、食事、運動習慣、メンタルヘルス、3項目以上の達成者、健康経営の浸透度は前年比較で向上しました。
【各指標の推移】
2023年度の注力イベントに加え「Boost 5」健康マメ知識の情報配信やポスター掲示など、社員の行動変容につながる施策を展開し、週2回以上の運動を習慣化している社員の割合は、2022年度の42.9%から2023年度は46.1%に増加しました。睡眠については勤務時間の増加に伴い前年度比で低下しました。働き方の変化対応と併せて継続取り組みを行っていきます。
2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | |
---|---|---|---|---|---|
食事(BMI) | 63.0% | 64.3% | 64.5% | 65.5% | 69.1% |
睡眠(睡眠時間) | 36.4% | 50.5% | 55.0% | 54.9% | 52.5% |
運動習慣 | 30.2% | 35.0% | 43.0% | 42.9% | 46.1% |
タバコ(禁煙) | 82.0% | 84.6% | 85.1% | 85.5% | 85.4% |
メンタルヘルス※2 | 12.8% | 12.6% | 12.6% | 75.2% | 79.7% |
【3項目指標達成者の推移】
「Boost 5」の5項目の重点テーマのうち3項目以上の達成者は、年々増加しており2023年度は78.0%(昨年度比+2.5pt)となりました。また、健康経営の社内の浸透度は95.2%(昨年度比+7.7pt)と着実に上昇しています。
1.4 取り組みの成果
「Boost5」の活用度とパフォーマンス、ワークエンゲージメントの相関関係について分析したところ、施策を活用している従業員ほど高パフォーマンスや高ワークエンゲージメントの割合が多い傾向が示されました。
当社では、ストレスチェックに基づいた組織診断や職場ヒアリング、産業保健スタッフ等の支援による職場環境改善活動等を実施し、心身ともに健康な職場作りに取り組んでいます。2023年度のストレスチェック受診率は98.4%でした。また、セルフケアの知識普及と実践促進のため、全社員を対象にメンタルヘルスセルフケア研修を行い、2023年度の受講率は93.8%でした。また、活き活きとした職場を推進するためのきっかけづくりとして、入社1年目から3年目の社員を対象に保健師による「活き活き職場づくりセミナー」(受講率79.0%)を実施し、アンケートの結果(回答率94%)から、受講者の85%がセミナーに「参加してよかった」と満足し、79%が「今後に活かせる」と回答し、一定の効果が得られました。ラインケアでは、管理職の他リーダ層にラインケア研修を拡大し開催し、現場対応力向上を図りました。その他、ストレスチェック後の集団分析結果を各職場にフィードバックし、部門自らの課題を発見し職場環境改善アクションを行うPDCAサイクルを推進しています。社員からの個別相談は、産業医、看護職、カウンセラー等の社内の産業保健スタッフが相談対応を行うほか、すべての社員が24時間対応可能な外部カウンセリング機関を利用できる等、相談窓口を複数設置する体制を整え、メンタルヘルスケアの推進を図っています。
当社では2020年4月に、就業規則による就業時間内(昼休みを含む)禁煙を制度化しました。この「全社禁煙化」の開始に向けて、2019年度より段階的な環境整備に取り組みました。全社禁煙化以降も、各種媒体(メルマガ、掲示板など)による定期的な情報発信、健康保険組合と連携した禁煙支援(全社禁煙イベント「卒煙マラソン」、禁煙外来補助等)を継続して取り組み、会社全体で卒煙を応援する風土づくりを行っています。これらの継続的な取り組みにより、禁煙意識が年々高まり、2023年度には14.6%に喫煙率が低下しました。
女性特有の健康課題に対するリテラシー向上や課題解決のためのセミナーを2021年度より開催し、2022年度からは女性だけでなく男性も対象として啓発を進めています。2023年度は「男女ともに知っておきたい女性の健康リスク」をテーマにe-leraningを行いました。女性が健康リスクの知識を深めて予防に努めるのはもちろんのこと、男性も女性特有の健康課題について理解・共感し適切なサポートを提供することが健康な組織につながることを学びました。
また、女性が心身共に健康で長く働ける状態をつくることを目指し、国内主要拠点で乳がん検診の実施に取り組んでいます。2023年度の乳がん検診の受診率は55%※3でした。
健康行動を維持・改善し、将来にわたって健康で充実した人生を実現するため、56~59歳の社員および配偶者・パートナーを対象にオンラインでの健康セミナーを開催しました。健康の3つの側面(身体、精神、社会)について、体力テスト「Boost 5」や幸福度、ヘルスリテラシー のアンケート等、事前の自己チェック結果を集計し、セミナー時にフィードバックしながら、参加者ひとりひとりの課題と対策の具体化に取り組みました。
健康保険組合との共同事業(コラボヘルス)を通じた病気の予防や健康づくりを積極的に進めています。定期健康診断にがん検診※4を導入し、受診率の向上を図っています。また2022年度から健診情報等を社員自身が活用して効果的な予防・健康づくりを促進するヘルスケアプラットフォームを導入し、健康行動の改善につなげているほか、健康診断やレセプトデータ、社員へのアンケート調査等の健康データの解析などにも取り組んでいます。
従業員の安全と健康を確保し、働きやすい職場を提供するため、労働安全衛生活動を推進しています。主要拠点において、安全衛生委員会を毎月開催しています。会社と労働者が一体になって従業員の安全と衛生を維持し労働災害を防止することを目的に、職場巡回において現場目線で危険源の指摘・改善を行っています。また、オフィスや事業場内の安全衛生管理のみならず、事業部が進める施工管理運営における安全管理および安全教育に重点をおき、安全衛生管理体制および関連諸規定を整備し体系化することで、社員の健康管理強化と顧客に対する信頼性を高めています。生産拠点を有する野洲事業所においては、ISO45001の認証を取得しており、継続的な労働安全衛生の向上に取り組んでいます。また、安全衛生法令遵守に重点をおいた第三者評価(リーガルアセスメント)を実施し、アセスメントで確認したリスクについては、安全対策の計画、是正、改善を行いました。2024年度も引き続きリーガルアセスメントを実施し、法令遵守はもとより、安全衛生リスクおよびリスクによりもたらされる損失を未然に回避または最小化するために、リスクマネジメントに取り組みます。
【ISO45001認証拠点】認証機関 | 認証番号 | 有効期限 | 認証取得日 | |
---|---|---|---|---|
オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社 野洲事業所 | JQA | JQA-OH0325 | 2026/7/30 | 2020/7/31 |
2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | |
---|---|---|---|---|---|
労働災害件数 | 11件 | 1件 | 2件 | 1件 | 1件 |
死亡災害件数 | 0件 | 0件 | 0件 | 0件 | 0件 |
戦略マップに沿って各種指標を見える化し、前年度比改善(項目により維持)を目指して取り組んでいます。
【健康施策の取り組み状況に関する指標】2021 | 2022 | 2023 | |
---|---|---|---|
定期健康診断受診率 | 100% | 100% | 100% |
精密検査受診率 | 56.9% | 62.8% | 77.4% |
特定保健指導参加率(初回面談実施者) | ー | 100% | 96.1% |
特定保健指導完走率 | ー | 63.0% | 55.2% |
ストレスチェック受検率 | 95.9% | 98.7% | 98.4% |
メンタルヘルス セルフケア研修受講率 | 98.9% | 95.9% | 93.8% |
メンタルヘルス ラインケア研修受講率 | 89.0% | 94.6% | 92.2% |
女性の健康課題に関する施策への参加状況 | ー | 11.5% | 8.0% |
健康施策の満足度 | ー | ー | 86.2% |
平均月間総実労働時間 | 149H | 151H | 163H |
平均月間所定外労働時間 | 18H | 20H | 20H |
平均年次有給休暇取得率 | 61.3% | 68.1% | 72.3% |
平均年次有給休暇取得日数 | 14.8日 | 17.8日 | 17.4日 |
2021 | 2022 | 2023 | |
---|---|---|---|
パフォーマンス(プレゼンティーイズム)※5 | 68.5 | 68.0 | 63.2 |
アブセンティーイズム※6 | - | - | 98.2※7 |
ワークエンゲージメント(偏差値)※8 | 51.8 | 51.8 | 52.3 |
高エンゲージメント者率※9 | 12.7% | 13.3% | 15.4% |
高ストレス者割合 | 5.4% | 5.5% | 6.8% |
企業理念・ビジョンへの共感(偏差値) | 53.3 | 52.6 | 52.4 |
心理的安全性の向上(偏差値) | 50.5 | 50.5 | 50.6 |
ケガや疾病のない安心・安全な職場環境の提供をすることを目的として、構内業務委託先と「協力企業連絡会」を四半期ごとに開催しています。健康経営の支援として取引先との意見交換などを通じてノウハウを提供しています。また、構内業務委託社員が健康増進イベントなどに参加や健康増進機器を利用できるようにし、取引先への健康経営の支援をしています。