相鉄企業株式会社
ビルメンテナンスに特化したアプリを共同開発
点検精度の均一化や情報共有による効率化に貢献
営業開発部 日置様
これまでの点検・管理業務では、どのような課題がありましたか?
ビルメンテナンスでは、日次点検、月次点検があり、これまでは紙に点検結果を記録して保管していたため、多くの記録工数や保管スペースが必要でした。また管理業務においても、不具合が起きた際に、その保管スペースから該当する点検用紙を探し出すのが一苦労。業界的にも見える化の導入が進められる中で、誰がどんな作業をしているか、もっと効率的な情報共有の必要性を感じていました。また、以前から現場では作業者の人手不足が問題になっており、経験のある中堅以上の社員の点検スキルを若手にどう伝承するかという課題もありました。
Facility Log®をオムロンと共同で開発するに至った経緯をお教えていだけますか?
前述の課題を受けて、社内でICT活用プロジェクトが発足。その中でオムロンと出会い、日々の業務の履歴データを蓄積、見える化するデジタル化の提案を受けました。他社からの提案は既存システムの改修という方法が多い中で、オムロンでは1からの開発を前提に、ビルメンテナンスに特化した自由度が高い仕組みを作れるという点に魅力を感じて依頼。ビル設備点検の専門性の落とし込みやコロナ禍もあって時間を要しましたが、共同でのアプリ開発に成功しました。
実際にFacility Log®を導入してみて、品質面ではどんな効果がありましたか?
まず、点検する際にしきい値がすぐに分かるので、誰でも同じように点検でき、作業精度を均一化して、ヒューマンエラーが低減できたというのが品質面では大きいですね。また、LINE WORKSで離れたところからでも情報を共有できることで、不具合発生時の対応がより迅速になりました。さらに点検結果をグラフ表示することで、数値変動から異常予兆が分かるようになるなど計画的な保守にもつながっています。こうしたデータ分析はまだまだこれからですが、データを蓄積していくことで、より点検精度の向上につながるようになると思います。
効率面ではどのくらいの効果が出ていますか?
シンプルで汎用性が高いアプリのため、スマホで簡単に点検でき、現場からも見やすいという声が上がっています。BACnetやIoTセンサなどを使った遠隔からの自動点検も同時に導入しており、建物による変動はありますが、点検や準備、移動、報告などを含めたトータルの作業効率を20~40%削減することができました。また、ペーパーレス化で資源削減ができるうえ、場所を取っていた保管スペースも削減。管理側としても、点検結果を細かく検索できるので、不具合発生時に記録結果をひっくり返して探し回る苦労もなくなったのがうれしいですね。
その他にも導入で得られたメリットはありましたか?
点検データをExcel等に入力する必要がないのはもちろん、作業時間のログも取れるので、作業者によって何時間かかったかで習熟度の目安にもなり、前述の作業均一性とともに役立っています。また、これまで点検時にはバインダーを持ち歩いていたので、屋上などの風の強い場所の点検では手がふさがり心配な時もあったのですが、今はポケットにスマホさえいれておけば、手ぶらで安全に点検できるので、労災リスクの低減にもつながっていると思います。
課題などを含めて今後に向けた展望をお聞かせください。
スマホに不慣れな人もいますので、デジタル化に拒否反応を示す人ももちろんいます。こうした現場の声に耳を傾けて、オムロンに相談しながら、さらに使いやすくブラッシュアップしていければと思います。
現状、アプリに慣れていく段階のため、他のシステムとの連携や書式的な問題もあって、本社管理部やオーナー様との情報共有はまだできていませんが、そのあたりが改善されれば、さらに活用の幅を広げられそうです。そこへ自動点検も組み合わせれば、常駐だけでなく、非常駐の建物での点検効率も上げられますし、最終的には、誰が見ても欲しい情報が載っているツールとして、一元管理を実現するのが目標ですね。
相鉄企業株式会社 DATA
相鉄企業は、オフィスビルやショッピングセンターなどにおける建物総合管理業務(管理・警備・設備・清掃・案内)のほか、公共施設の指定管理者業務や下水処理場の運転管理、各種建物の設備を中心とした諸工事など、幅広い業務を神奈川県や東京都を中心に広く首都圏で展開し、快適な社会環境の維持保全に貢献しています。