JR九州エンジニアリング株式会社
誰でも同品質で異常判断でき、履歴管理も簡単に。
データから“一歩先を考え、提案できる”設備管理へ
機械設備事業本部 保全技術部 ビル管理課 課長 西川様
これまでの点検・管理業務では、どのような課題がありましたか?
ビル管理においては、ビルが健全に運用されるために各種設備を毎日点検し、当たり前の環境をユーザーへ提供するのが本来の業務です。しかし、日々の業務に追われる中で、点検そのものや数値を記入することが目的になっており、点検結果から効率的運用や故障予防措置を提案するといった業務につなげられていませんでした。漫然と点検をするのではなく、意識改革ややり方の変更が必要だと常々感じていました。また、業務が属人的になっており、各現場での品質に差があるという課題もありました。
Facility Log®の導入に至った経緯を教えてください。
数年前から設備管理業務をパッケージ化して品質を平準化できないか試行錯誤していました。その中で報告書のフォーマット化なども行いましたが、どうしてもお客様によって求める情報に差があるため浸透せず悩んでいたところにオムロンから提案を受けました。これまでは対応に困った時に、報告書を全部めくって以前の発生履歴を探していたのがクラウド管理になることですぐに履歴を検索でき、対応内容も経緯まで追え、ベテランがいなくても対応に差が出ないというところが、まさに求めていた仕組みでした。私たちが要望した内容も柔軟に検討してもらえ、今後も改善が継続できるシステムだと感じて採用しました。
実際にFacility Log®を導入してみて、現場側・管理側でどう変わりましたか?
点検現場においては、手順指示に沿うことで誰でも同じ点検ができるようになり、これまで異常が起きても新人には分からなかったケースでも、異常値のポップアップで判断して、ベテランに対応を相談するといういい循環が生まれました。その対応策についても、異常発生から応急処置、本対応まで、写真添付も含めてすべての履歴が残るので、細かい案件でも後から振り返ることができ、非常に役立っています。管理側としては、履歴管理の簡単さはもちろん、点検に誰がいつどのくらい時間をかけたかが分かり、人による作業の妥当性も評価できるようになりました。
品質や効率などの部分ではどんな効果がありましたか?
品質面では、今後みんなが使うことで同じ品質のサービスとしてパッケージ化できると思います。また、今まで受け身だった報告を、こうしませんかという提案型に変える意識変化も起き始めています。効率面では、業務日誌と細かい対応報告書の2つを運用して記入に1時間かかっていたのが、今回のシステムでひとつになり、入力の手間も大きく減りました。もともと人手不足で、かつ既存の仕組みとも併用しながらの中でも、現場人員を10数%削減して運営でき、コスト面にも貢献しています。
また、これまでのスタッフ育成はOJTで教える人間によっても基準が違っていたのが、点検手順や対応の標準化だけなく、異常値や前回値も分かるので、データをもとに自分たちで考えるという育成にもつながっています。データ蓄積ができると、故障の予兆が見えてくるので、計画的に更新提案ができるようになり、新しい仕事の獲得にもつながっていくと思います。
導入前後で現場やオーナー様はどのような反応でしたでしょうか?
スマホで点検するため、ガラケーユーザには戸惑いもあったようですが、時代の流れとしてデジタル化の必要性は共通認識だったのでスムーズに受け入れられました。使いやすく、閲覧しやすいので、最年長の60代のスタッフでも使えています。細かな入力のルールなく柔軟に使えるので、ルールを覚える必要がないことも定着につながっているようです。また、Facility Log®以外のスマホ機能とも連携できるので、まさに今後のビル管理の理想像が具現化されたシステムだと思います。オーナー様からも報告書でなく、画面での確認に変わったことで、対応の履歴や経緯、日時やキーワードでも検索できる点を評価いただき、過去データを含めてデータをどんどん蓄積して欲しいという声をいただいています。
課題などを含めて今後に向けた展望をお聞かせください。
こういったシステムはまさに使い方次第だといえます。非常に深いところまで点検情報が入力できるので、うまく使いこなすための新たな機能改善もオムロンと相談しながら、しっかり活用していければと思います。今、ビルメンテナンス業界は変革を迎えており、業務内容が多様化しています。その背景には労働人口の減少やコロナ渦の影響もある中で、オーナー様によっては省人化や効率化は避けられず、ビル設備に関して点検から補修や設備更新まで一元管理によるトータルでのコストカットが求められています。今後は様々なトラブルに対する対応や知識が求められているので、点検と対応履歴だけでなく、最終的には改修工事、設備更新の完成データなども書き込めるようにして、ビルの情報が全て管理できるような仕組みになれば理想的ですね。また、今回、宮崎の物件で一定の運用に成功した経験をもとに、博多などの他拠点にもスムーズに展開できたので、今後さらに横展開を図っていければと思います。
JR九州エンジニアリング株式会社 DATA
JR九州グループの一員として、車両からビルまでの保守管理を担う専門集団。中でも機械設備事業のビル管理部門では、多くのお客さまで賑わう駅ビルの商業施設やホテル設備の管理を行い、お客様に安心して快適に施設をご利用していただくために、日常の点検業務から常時監視、緊急対応に従事しています。