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蓄電池の購入に失敗する理由と
適切な蓄電池の選び方
【チェックリストあり】

家庭用蓄電池は近年需要が高まっていますが、購入に失敗したという声があるのも事実です。
ここではよくあるトラブルについて原因と対策、購入前に知っておくべき蓄電池の基礎知識・自宅に最適な選び方のポイントを紹介します。
チェックリストも用意していますので、自宅にあった蓄電池選びにお役立てください。

蓄電池の購入に失敗した!?よくあるトラブルとは

蓄電池はシステムの種類や太陽光発電との連携など考慮すべき点が多く、製品を十分に比較せず購入したり、保証やサービスの内容をきちんと確認していなかったなどで、購入後に後悔するケースも少なくありません。まずはよくあるトラブル例をご紹介しましょう。

蓄電池の導入後に発電量が低下した

蓄電池の設置後のトラブルの1つが、ハイブリッドタイプの蓄電システムでの太陽光発電の発電量が低下するというものです。ハイブリッドタイプとは、電気の変換効率を高めるために太陽光発電と蓄電池のパワーコンディショナをひとつにしたものです。このタイプの蓄電池は、太陽光発電の入力回路の数に注意しなければなりません。例えば、入力回路が4つの太陽光用のパワー コンディショナで発電していた家庭なら、それまでと同様に太陽光発電の入力が4回路のハイブリッド型パワーコンディショナの蓄電池を設置しなければなりません。2回路や3回路の製品だと、回路が減った分、発電量も減少してしまいます。

電気料金が安くならない

蓄電池の導入後、電気料金の節約のために、日中は太陽光で発電した電力と、夜間に蓄電池に貯めた電力を使いたいとお考えの方も多いと思います。このような方法で電気代を節約することはできますが、そのためには電力会社にて深夜時間帯の電力が安くなるプランを選ぶ必要があります。ただし、深夜電力が安くなるプランの場合、日中に多く電力を使用し、太陽光発電の発電電力でカバーできないと、日中の電気代が割高になるケースもあります。電気料金体系を理解しないままに蓄電池を選ぶと、想定よりも節約ができないこともあるため、自家発電で節約効果を高めたい場合は太陽光発電の発電量や蓄電池の能力を考慮し、あらかじめシミュレーションする必要があります。

電気料金が安くならない

必要な容量や機能の選択ミス

蓄電池においては、高額な大容量製品を選んでいれば間違いないというわけではありません。各家庭にマッチした容量かどうかは太陽光発電の規模や電力の使用状態によって変わるため、適切な容量の蓄電池でないと、導入コストが回収できないこともあります。販売会社によっては高額なオプション機能を持った製品をすすめられるケースもあるようですが、想定される発電量や蓄電池の用途に沿って選定する必要があります。

設置場所を考慮できていなかった

蓄電池は一般的にエアコンの室外機ほどの大きさがあり、その設置場所には条件があります。例えば、屋内や屋外、周囲の離隔距離などが規定されており、設置条件を守っていない場合、故障しても保証対象外になることがあります。また、容量によって大きさも変わるため、必要な容量の蓄電池が希望の場所に置けないケースもよくあります。あらかじめ蓄電池のサイズをきちんと確認し、複数箇所の設置場所候補を検討しておきましょう。

相場より高い金額で購入した

これが一番よくある失敗例ですが、蓄電池の適正価格や相場を調べずに高い金額で契約してしまうケースです。同じ蓄電池でも販売店によって見積もり額は異なります。高額な買い物ですので、わずかな割引率でも大きな金額になります。後から後悔しないようにしっかりと蓄電池の相場を調べたうえで、相見積もりを取るようにしましょう。

相場より高い金額で購入した

蓄電池の選択ミスにより太陽光発電の保証がなくなった

蓄電池の導入を検討する場合、既存の太陽光発電設備と連携させて、より効率的に電力を使いたいという方は多いと思います。ただし、メーカによっては「太陽光発電システムで発電した電気を蓄電池に貯める」ことで故障が起きた場合、機器保証の対象外と判断されてしまうことがあります。異なるメーカの太陽光モジュールやパワーコンディショナとの組み合わせは機器保証の対象外としているメーカもあります。既存の太陽光発電と蓄電池を連携させる場合は、販売店と相談して、機種を選定をするようにしましょう。

蓄電池の購入で失敗しないために…最低限身に着けておきたい基礎知識

蓄電池選びを行う前に、まずは蓄電池の基本的な知識について理解しておくことで失敗を防ぎましょう。

太陽光発電システムと蓄電池の役割

まずは太陽光発電で作った電気を蓄電池に貯める仕組みについて解説します。太陽光パネルで発電した電気は直流の電気であるので、太陽光発電用パワーコンディショナでいったん家庭で使える交流の電気に変換します。一方、蓄電池に貯められる電気は直流のため、蓄電システム用パワーコンディショナで再度直流へ変換し直してから蓄電池に貯めておきます。放電して電気を消費する際には、この電気を蓄電システム用パワーコンディショナで改めて交流に変換して使用します。

太陽光発電と蓄電ユニットのはたらき

蓄電システムの種類とそれぞれの特徴

蓄電システムにはハイブリッド型と単機能型という種類があります。ハイブリッド型蓄電システムは、太陽光発電用のパワーコンディショナと、蓄電池用のパワーコンディショナが一体になっている蓄電システムで、太陽光発電システムの設置から10年以上が経っている方や、太陽光発電システムと蓄電池を一緒に導入される方におすすめの蓄電システムで、パワーコンディショナが一体化されているので変換ロスが少ないのが特徴です。
一方、単機能型蓄電システムは、太陽光発電システムの設置から10年未満や太陽光発電システムを設置されない方におすすめの蓄電システムです。太陽光発電用のパワーコンディショナと蓄電池用のパワーコンディショナが別々になっているため、太陽光パネルのメーカを気にせずに設置でき、設置費用もハイブリッド型蓄電システムよりも安いため、蓄電池の設置費用を抑えたい方にもおすすめです。ただし、ハイブリッド型蓄電システムよりも変換ロスが大きいというデメリットがあります。

また、家庭用蓄電池には、停電時の動作として全負荷型と特定負荷型の2種類あります。全負荷型とは、停電時に家中の電気を使える蓄電池のことで、200V対応になっている蓄電池が多く、停電時でも200Vの電源を必要とするエアコンやIHヒータなども使えます。特定負荷型とは、停電時にあらかじめ決められている場所でしか電気が使えない蓄電池のことで、同じ容量の場合、全負荷型よりも長く電気を供給することができます。

利用できる補助金や制度について

蓄電池を購入する際に利用できる補助金や制度については下記のようなものがあります。

  • 再生可能エネルギー電気・熱自立的普及促進事業
  • ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業
  • 災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業補助金 等

詳しくは「補助金情報」ページをご覧ください。

まずはここを確認!自宅に最適な蓄電池の選び方のポイント

ご家庭にあった蓄電池を選ぶためには、電気の使用量や料金プランなどの現状把握からはじめ、それに応じて蓄電池の容量やサイズ、仕様、保証などを調べることが重要です。

過去1年間の電気使用量を調査する

まずは1年間の電気の使用状況を把握しましょう。使用量は季節によって変動するため、月別で把握し、さらには時間帯別の使用量や電気料金も確認できるとなおよいでしょう。それにより、家庭の電気使用量に合った蓄電池の容量が割り出せます。また、既設の太陽光発電システムがある場合は、発電データもあるとより正確な容量選びに役立ちます。その際、発電データは複数年分ある方が日照時間や梅雨の長さなどの季節による発電量変動も含めて判断できます。

過去1年間の電気使用量

10年~15年後までに考えられる電気使用量(予測値)

蓄電池に必要な容量を判断する際に、将来的にいつ、どれくらいの電力を消費するかを予想しておくことも大事です。例えば、4人家族で全員が日中は外出するようになる場合、昼より夜の方が消費量が多くなります。あるいは子どもが産まれたり、親と同居するなどで、日中の消費量が増えることもあります。ライフステージによって変化する生活に合わせて5年、10年といった単位でシミュレーションしておければ、蓄電池選びの失敗リスクをさらに抑えられます。

契約中の電気会社の料金プラン

次に現在契約中の電気料金プランについても把握しておきましょう。料金プランによっては、他の電力会社やプランへの切り替えを検討した方がいいケースもあります。例えば、深夜まで起きていることが多く、夜間の電気使用量が多い場合、蓄電池の容量を増やせば、夜間の買電量も抑えることができます。候補になるプラン別にシミュレーションされることをおすすめします。

蓄電池のサイズと設置場所

家庭用蓄電池の一般的なサイズは、屋内型の場合、エアコン室外機1台分程度です。一方、屋外型はそれよりも少し大きいものが多いですが、蓄電池も年々小型化されており、小さなスペースでも設置がしやすくなっています。ただし、蓄電池の容量が大きいほどサイズも大きくなり、屋内外での設置の制約も変わってくるので注意が必要です。

設置場所に関しては、蓄電池は高温や湿気に弱く、内蔵のリチウムイオン電池は寒さにも弱いため、設置場所はしっかり考えないと事故にもつながります。屋内設置の場合、分電盤に近い場所に置くのが一般的ですが、製品の大きさや空きスペースによって、人目につかない場所に置くこともできます。ただし、重量が大きい場合はアンカーが必要などの設置条件もあります。また、蓄電池が発生する音は小さいですが、小さな音でも敏感な方やペットがいる場合は室内は避けた方がよいでしょう。

屋外設置の場合、重塩害対応品でない場合は海岸および汽水域から500mを超える場所にしか設置できません。また、重塩害対応品でも直接波しぶきがかかる場所には設置できません。日差しや強風が避けられて、通気性がよく、積雪や結露、ほこりが少ない場所がおすすめです。実際には配線工事の都合もあるため、専門業者に相談しましょう。

蓄電池の設置例

使用中の太陽光発電システムの仕様

太陽光発電をすでに設置している場合は、蓄電池と太陽光発電システムと連携がとれるかをチェックすることも欠かせません。基本的に太陽光発電設備と蓄電池の組み合わせは高い節電効果が期待できますが、製品同士の相性もあるため、太陽光発電を設置済みの方は、購入前に蓄電池の設置業者に問い合わせください。併用により、どの程度の節電効果があるのかシミュレーションできればなおよいでしょう。

蓄電池の相場

以前は高額な機器であった家庭用蓄電池ですが、普及が進むにつれ、導入費用が大幅に抑えられるようになりました。蓄電容量の大きさで本体価格は変わりますが、 導入検討時には実際に必要となる電力量よりも多くの蓄電ができるものを勧められることがあります。少しでもコストを抑えるのであれば、実際の電気使用量を正確に調査したうえで、本当にその容量が必要かを検討するようにしましょう。

蓄電池の寿命と保証

蓄電池では、充電および放電できる回数がメーカによって決まっており、「サイクル数」と呼びます。保証されている回数を超えると、満充電で貯められる容量が徐々に減るため、メーカや製品ごとに確認しておきましょう。また、家庭用蓄電池の保証期間は10年が一般的ですが、条件によって15年の製品もあります。保証内容もメーカによっても異なるため、違いについて比較検討しましょう。購入する販売店によっても、独自サービスを提供している場合もあるため、販売店から購入する場合には、そのサービスも比較するようにしましょう。

要確認!蓄電池購入前のチェックリスト

上記でご紹介してきた蓄電池選びのポイントを改めて整理しました。蓄電池を検討される際はチェックリストを印刷するなどして、漏れのないようにチェックしながら蓄電池購入を進めてください。

  • 過去1年間の電気使用量を調べた
  • 太陽光発電がある場合は数年間の発電データを調べた
  • ライフプランを含めた今後の電気使用量の変化を予測した
  • 契約中の電気会社の料金プランを確認して、蓄電池の使い方に応じたプランを検討した
  • 蓄電池のサイズや設置条件を確認して、設置場所を確認した
  • 使用中の太陽光発電システムとの連携性を確認して、節電効果をシミュレーションした
  • 電機使用量に応じた容量を選定したうえで蓄電池の相場を調べた
  • 蓄電池の寿命やメーカの保証内容や販売店のサービスを確認した

チェックリストPDFはこちらです。印刷してお使いいただけます。

まとめ

蓄電池があれば、災害時や停電時でも電力を使えるだけでなく、節電効果も期待できます。選定を間違えて思ったとおりの蓄電ライフが送れないことがないように、蓄電池や電気の使用状況についてよく調べ、ご家庭のニーズに合った蓄電池をお選びください。