FIT制度のおさらいと卒FITについて
FIT制度とは、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」（Feed-in Tariff（フィード・イン・タリフ）の略称で、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が決まった価格で決まった期間、買い取ってくれる制度です。ご家庭に設置されている太陽光発電（10kW未満）の場合は、買い取り期間は10年となっており、その間は高く買い取ってもらうことができます。
卒FITとは、2009年に開始されたこの固定価格買取制度が、2019年以降、満了していくことを言います。満了後は、発電した電気をそれまでのような高値で買い取ってもらうことができなくなります。
卒FITを迎えると売電価格が下落する？
東日本大震災以降から電気料金は年々上昇傾向にあります。
一方で売電価格は下落しており、 FIT終了後は大幅な売電収入減が予想されます。
卒FIT後の主な対策とは？
では卒FITを迎える家庭は卒FIT後、どうしたらよいでしょうか。大きくは下記の3種類の選択ができます。
- 現状のまま何も変えない
- 売電する電力会社を切り替える
- 蓄電池を導入する
以下で詳しく見ていきましょう。
あなたはどのタイプ？卒FITチェック
1. 現状のまま何も変えない
何も変えない場合は、今の電力会社にそのまま電力を売るので、契約の手間やお金がかからないというメリットがあります。今の契約が自動継続になっているケースも多いようです。しかし、上記でも触れたように売電価格は10円/kWh以下に下がってしまうため、家計にとって良い選択とはいえないかもしれません。
2. 売電する電力会社を切り替える
次に、FIT期間中とは別の電力会社を探して、電気を買い取ってもらう方法もあります。切替の手続きは必要ですが、新電力と呼ばれる電気事業者の中には、大手電力会社よりも高い価格で余剰電力を買い取ってくれる会社もあり、契約条件によっては10円/kWh以上の価格のところもあります。FIT期間中に比べると大幅に下がってしまいますが、初期費用もかからず、元の電力会社のままで売り続けるよりは売電額は高くなります。切替を検討する場合は、契約手続きにかかる期間や契約条件等をしっかり確認するようにしましょう。
3. 蓄電池を導入する
太陽光発電の余った電気を売るのではなく、家庭用の蓄電池を導入することで、貯めて使うという選択肢です。蓄電池があれば、発電ができない夜間や停電時などでも電気が使え、夜間は割安な電気を購入して貯めておくこともできます。長期的に見えれば電気代も減らせて経済的な選択肢といえるでしょう。また、電気をなるべく買わずに太陽光発電だけでまかなうので、地球環境への負荷を減らすことに貢献でき、よりエコなライフスタイルを確立できます。
蓄電池の導入には初期費用で大きなコストがかかりますが、国が蓄電池の普及を目指していることもあり、時期によっては国やお住まいの地方自治体から補助金が受給できます。蓄電池の導入を検討する際は必ず確認しましょう。
「蓄電池補助金情報ページ」はこちら
また、自宅内へ蓄電池を設置できるスペースがあるかどうかも重要です。容量にもよりますが、大型の空気清浄機程度のサイズがあります。メーカによっては屋内外などの設置環境に条件がある場合もあるため、こちらも事前に調べておくとよいでしょう。
蓄電池と電気自動車の比較
蓄電池のほかに、電気自動車を蓄電池代わりにする方法もあります。一般的に、蓄電容量は全体として電気自動車の方が大きく、停電時などに長く使えます。一方で、電気自動車自体はまだ充電設備が十分に整備されていないという課題があります。また、電気自動車を蓄電池として使う場合は、車と家で電気を融通する「V2Hシステム」を構築するのに追加費用が必要のため、電気自動車を蓄電池代わりにするのは予算にかなり余裕がある方向きといえるかもしれません。
卒FIT対策は早めの検討を
卒FIT対策とは、太陽光発電を導入しているほとんどの方が対象になるものですが、その契約の詳細は対象者ご自身にしかわからず、自動更新になっている場合も多くあります。気づかないうちに期間満了を迎えて損をしていたといったことのないように、契約期間の確認や卒FIT後の活用について早めにご検討ください。
