目次
- 家庭用蓄電池の選び方
- 1. 家庭に適した蓄電池容量を選ぶ
- 2. 機能タイプを選ぶ(単機能型・ハイブリッド型)
- 3. 給電方式を選ぶ(特定負荷型・全負荷型)
- 4. 設置方法の選択
- 5. 保証を確認する
- ご家庭の条件別|選び方の目安
- 蓄電池は必要か?向いているご家庭・慎重に検討したいご家庭
- 家庭用蓄電池とは?
- 家庭用蓄電池の基本的な仕組み
- 家庭用蓄電池の主な用途
- 蓄電池の種類
- 家庭用蓄電池を導入する2つの目的
- 目的1:停電時の非常用電源として使う
- 目的2:貯めた電気を使って電気代を抑える
- 卒FIT後は自家消費が有利になりやすい
- 家庭用蓄電池に関するよくある質問
- まとめ|家庭用蓄電池は5つのポイントを順に確認して選ぶ
家庭用蓄電池の選び方
導入の目的を決めたうえで、容量、太陽光発電との接続方法、停電時の給電方式を確認します。設置場所と保証の条件もあわせて確認してください。
1. 家庭に適した蓄電池容量を選ぶ
蓄電池容量は、太陽光が発電しない夕方から翌朝に使う電気の量と、停電時に使いたい家電から逆算して選びます。
容量の計算式と1日の使用量の確認方法
必要な蓄電池容量の目安は各家電の消費電力(kW)に使う時間(h)を掛け、家電ごとの電力量を合計して求めます。1日の電気使用量は、太陽光発電がないご家庭では検針票や電力会社のwebサービスで確認できます。
太陽光発電を設置済みのご家庭は、検針票の買電量だけでは家庭全体の使用量がわからないため、HEMSなどの使用実績か、同じ期間の買電量と太陽光の自家消費量をあわせて確認し、発電モニターで余剰電力量(売電量)も見ておきます。
夕方から翌朝に使う電気の量が、蓄電池でまかなう量の基準です。
蓄電池容量・実効容量・初期実効容量の違い|比較は同じ指標で
カタログの「蓄電池容量」は電池そのものが蓄えられる量で、家庭側で実際に使える量とは異なります。
容量には目的の違う指標があります。蓄電池ユニットの「実効容量」は、電池を保護するための余裕分を差し引いた量です。
性能表示ラベルの「初期実効容量」は、JIS C 4413の評価方法で、新品の状態で通常時に取り出せる交流の電力量として測定した値です。「初期停電時放電容量」は、停電時の自立運転で取り出せる量です。これらの値は、JIS C 4414に基づく性能表示ラベルに記載されています。
たとえばオムロンの蓄電池ユニットKP-BU164-2Sは、蓄電池容量16.4kWh、実効容量14.8kWhです。
この形式を使う代表パッケージ(KPBP-A-PKG-MM6)では、初期実効容量が14.1kWh、初期停電時放電容量が12.5kWhです。
これらは同じものではなく、値は構成ごとに異なります。製品を比べるときは、同じ指標(性能表示ラベルの初期実効容量など)で比べましょう。
ご家庭の使い方に合う蓄電池容量の目安
世帯人数だけで蓄電池容量を決めず、電気を使う時間帯や、停電時に使いたい家電をもとに検討します。
- 日中の在宅が多いご家庭:太陽光の電気をその場で使う量と、蓄電池に貯められる余剰電力量を確認する
- 夜間の電気使用が多いご家庭:夕方から翌朝に使う電力量を確認し、日中に充電できる量と照らし合わせる
- 停電への備えを重視するご家庭:使いたい家電の消費電力と使用時間から必要な容量を見積もり、同時に使える出力も確認する
大きすぎると貯めた電気を使い切れず、小さすぎると停電時に足りません。将来の変化も見込んで選びましょう。
掲載の機種・容量は一例で、最新のラインナップは製品情報ページで確認してください。
2. 機能タイプを選ぶ(単機能型・ハイブリッド型)
太陽光発電との接続方法で、既存のパワーコンディショナを残す「単機能型」と、1台で太陽光と蓄電池を制御する「ハイブリッド型」から選びます。
既設の太陽光発電のパワーコンディショナが新しく保証期間が残っていれば単機能型、新築や交換時期が近い場合はハイブリッド型を選ぶことが基本です。単機能型で導入し、パワーコンディショナの交換時にハイブリッド型へ移行できる製品もあります。
違いは「家庭用蓄電池を比較|単機能とハイブリッド、ポータブル電源との違い」で解説しています。
3. 給電方式を選ぶ(特定負荷型・全負荷型)
停電時に一部の家電だけの使用で電力消費を抑えて長時間使うなら特定負荷型、家全体の家電に給電したい、200Vの家電も使いたいなら全負荷型を選びます。
全負荷型でも「停電時出力」に上限がある
全負荷型でも、停電時に同時に使える家電の合計は停電時の出力(kVA)と残量の範囲で決まります。
オムロンのKPBP-Aシリーズでは、全負荷対応型ハイブリッド蓄電システムの停電時出力は4.0kVA、特定負荷構成は2.0kVAです。6.3kWh・6.5kWhの蓄電池ユニットを使う全負荷構成では、夜間や悪天候で太陽光の発電が少ないとき、最大2.5kVAとなります。
200Vの家電を使うには対応する全負荷構成が必要です。また、消費電力の大きい家電を同時に使うと使用時間も短くなるため、「家全体」=「いつもどおり制限なし」ではない点に注意しましょう。全負荷型は分電盤側の工事が加わります。
オムロンのマルチ蓄電プラットフォーム KPBP-Aシリーズでは、全負荷型はハイブリッド構成、特定負荷型は単機能構成、またはハイブリッド構成になります。既存の太陽光発電を活かしながら停電時に家全体へ給電したい場合は、既設設備との接続条件を販売店に相談してください。
4. 設置方法の選択
蓄電池ユニットには屋内用・屋外用・屋内外兼用があり、設置できる場所は形式によって異なります。設置スペースや搬入経路、日当たり、塩害の有無を確認してください。
屋内設置のメリット
- 風雨・直射日光・浸水の影響を受けにくい
- 外気温の影響を受けにくい(使用できる温度範囲は形式ごとに確認する)
屋外設置のメリット
- 居住スペースを削らない
- 機器の配置によっては、屋外のパワーコンディショナとの配線を短くできる
屋外設置では、直射日光や高温を避けるなど、メーカーの設置条件を確認します。オムロンのKPBP-Aシリーズを海岸や汽水域から500m以内の重塩害地域に設置する場合は、屋内設置に対応した蓄電池ユニットを屋内に置き、構成に応じてパワーコンディショナ、PVユニット、トランスユニットの重塩害対応タイプを選びます。設置に必要な寸法と搬入経路も形式ごとに確認しましょう。
5. 保証を確認する
機器の故障に対応する「機器保証」と、容量の低下に対応する「容量保証」の年数と内容を確認します。容量保証は「○年後に初期容量の○%以上」の形で示され、適用には所定の条件があります。
自然災害による故障はメーカー保証の対象外となる場合があるため、保証規定と火災保険などの補償範囲を確認してください。
保証の見方は「蓄電池の保証はどう見る?保証期間と容量保証、メーカー選びの確認点」で説明しています。
ご家庭の条件別|選び方の目安
ご家庭の条件を当てはめると、選ぶべき蓄電池の容量とタイプが絞り込めます。
- 太陽光発電あり(パワーコンディショナが新しい):単機能型で後付け(既設設備との接続条件を確認)。蓄電池の容量は夜間の使用量から選定
- 太陽光発電あり(卒FIT前後・パワーコンディショナ交換時期):ハイブリッド型に置き換え(既存パネルの適合を確認)。自家消費優先で蓄電池の容量は余剰電力量から選定
- 太陽光発電なし:夜間の電気料金が安いプランで夜に充電し、朝夕に使う使い方。停電が長引くと再充電できないため、停電対策なら余裕のある容量の蓄電池を選定
- オール電化:電気の使用量が全体的に多いため余裕のある容量の蓄電池を選定。停電時もIH調理器や電気給湯器などを使うなら200Vに対応する全負荷型(ハイブリッド構成)を選定
- 停電対策を最優先:使いたい家電に合わせて給電方式と出力を選び、残量を確保する運転モードを設定できる製品を選定
- EVの購入予定あり:V2Hシステムを後から併設できる製品を選定
蓄電池は必要か?向いているご家庭・慎重に検討したいご家庭
蓄電池の効果を実感しやすいのは、卒FIT後で余剰電力が多い、日中は不在で夜間の電気使用が多い、オール電化、停電への備えを強化したい、といったご家庭です。
反対に、太陽光の容量が小さく余剰電力が少ない、日中の在宅が多く発電した電気をそのまま使い切っている、太陽光がなく夜間割安プランも契約していない、といった場合は、貯めた電気を使う場面が少なく、電気代の削減効果が小さくなる場合があります。
貯めた電気を使う場面がどれだけあるかが判断の目安になるため、導入の目的を整理してから検討してください。
条件を1つずつ確認するのが難しい場合は、7つの質問に答えるだけの「蓄電システム選びかんたんweb診断」で、ご家庭に合ったシステムを確認できます。
購入前に確認したい注意点は「蓄電池の購入で失敗・後悔しないために|よくあるトラブル7例と対策」、補助金は「家庭用蓄電池の補助金一覧!条件や補助金額について解説」を参照してください。
家庭用蓄電池とは?
家庭用蓄電池は、太陽光発電の電気や電力会社の電気を貯めて、必要なときに家庭で使うための設備です。
家庭用蓄電池の基本的な仕組み
蓄電池ユニットに電気を貯め、パワーコンディショナで家庭用の交流に変換して使います。
電力会社の送電網とつないで使う「系統連系型」が一般的で、送電網につながない「独立型」もあります。
停電時の切替方法は製品によって異なり、自動切替に対応した製品は停電を検知して自立運転に切り替わります。
家庭用蓄電池の主な用途
用途は「停電時の非常用電源」と「電気代の抑制(自家消費)」の2つです。どちらを重視するかで、選ぶ容量やタイプが変わります。
蓄電池の種類
蓄電池を使った電源には、持ち運べるポータブル電源や、分電盤に接続して特定の家電または家全体に給電する家庭用蓄電池があります。住宅設備との連携や接続方法は製品によって異なります。
ポータブル電源と家庭用蓄電池のどちらを選ぶか
外出先でも使いたい場合は持ち運びやすさを、日常の自家消費や停電への備えを重視する場合は住宅設備との連携や給電方式を確認して選びましょう。
種類の違いは「家庭用蓄電池を比較|単機能とハイブリッド、ポータブル電源との違い」、メリット・デメリットは「太陽光発電と蓄電池を設置するメリット・デメリットとは?」にまとめています。
家庭用蓄電池を導入する2つの目的
家庭用蓄電池のメリットは、「停電時も電気が使える安心」と「貯めた電気を使うことによる電気代の抑制」の2つです。
目的1:停電時の非常用電源として使う
自動切替に対応した家庭用蓄電池では、停電時に自動で自立運転に切り替わり、蓄電池の残量の範囲で冷蔵庫・照明・テレビ・スマートフォンの充電などを使えます。給電先は方式により特定の範囲か家全体となります。
太陽光発電と接続できる構成であれば、日中に充電で残量を増やして繰り返し使えます。
給電方式で停電時に使える範囲が決まる
停電時に使える範囲は給電方式で決まります。
あらかじめ決めた家電に給電する「特定負荷型」と、家全体に給電する「全負荷型」があり、全負荷型で対応する構成ならエアコンやIHクッキングヒーターなど200Vの家電も使えます。
ただし同時に使える家電の合計は停電時の出力と残量の範囲内です。また、切り替わるまでの数秒間は電気が止まるため、無停電電源装置(UPS)とは異なります。
使える時間は容量と家電の消費電力で決まる
冷蔵庫・テレビ・照明・スマートフォンの充電(合計で平均約285Wとする)を、初期状態・満充電のオムロンの蓄電池システムで使い続けた場合、6.5kWhタイプで約18時間、9.8kWhタイプで約29時間、16.4kWhタイプで約45時間が目安です(所定の条件での目安で、使用時間を保証するものではありません)。
停電時に使える家電と時間の目安(容量別)、給電方式による違い、使えないケースと対処法は「停電時に蓄電池はどう役立つ?災害時に使える家電と時間、停電対策の要点」で紹介しています。
目的2:貯めた電気を使って電気代を抑える
太陽光で発電した電気を貯めて使う「自家消費」で、電力会社から買う電気を減らせます。
蓄電池で電気代を抑える2つの使い方
- 昼に発電した余剰電力を貯め、消費電力が多い夕方から夜に使う
- 夜間の電気料金が安いプランで夜に充電し、料金が高い朝夕に使う
停電への備えを優先する場合は、一定の残量を確保する運転モードを選びます。詳しくは「太陽光発電と蓄電池の上手な使い方|運転モードで自家消費を増やす」をご覧ください。
卒FIT後は自家消費が有利になりやすい
卒FIT後は売電単価が大きく下がるため、余剰電力を売るより貯めて使う方が電気代を抑えやすくなります。
ただし、電気代を減らせることと、導入費用を回収できることは別です。買電単価・売電単価の差、充放電の損失、導入費用を含めて判断します。
卒FIT後の電力運用
運転モードを自家消費優先に切り替え、日中の余剰電力を夜間に使用します。
制度の詳細は「卒FITとは?FIT制度のおさらいと自宅に最適な余剰電力の活用法」、費用の考え方は「蓄電池の価格・値段はどう決まる?設置費用の内訳と見積もりの見方」を参照してください。
家庭用蓄電池に関するよくある質問
- 停電時に本当に電気は使えますか?
- 使えます。自動切替に対応した家庭用蓄電池であれば、停電を検知すると自動で自立運転に切り替わり、残量の範囲で電気を供給します(オムロンのKPBP-Aシリーズは自動で切り替わります)。特定負荷型はあらかじめ決めた家電、全負荷型は家全体の家電で使えますが、同時に使える家電の合計は停電時出力と残量の範囲内です。太陽光発電と組み合わせられる接続であれば、日射がある日中に充電して使い続けられます。
- 太陽光発電がなくても蓄電池は設置できますか?
- 太陽光発電がなくても設置できます。夜間の電気料金が安いプランで夜に充電し、料金が高い朝夕に使う使い方が基本です。ただし太陽光がないと停電が長引いたときに再充電できないため、停電対策を重視する場合は余裕のある容量を選びましょう。
- 既設の太陽光発電に後付けできますか?
- 多くの場合、後付けできます。既存のパワーコンディショナが新しければ単機能型で蓄電池だけを追加し、交換時期が近ければハイブリッド型に置き換えます。
- 4人家族なら何kWhが目安ですか?
- 世帯人数だけでは決まりません。夕方から翌朝に使う電気の量、太陽光の余剰電力量、停電時に使いたい家電で決まります。同じ4人世帯でも、日中の在宅が多く余剰電力が少なければ小さめ、オール電化や停電時にエアコンも使いたい場合は大きめが候補になります。
- 全負荷型と特定負荷型はどちらを選べばいいですか?
- 最低限の家電を長く使いたいなら特定負荷型、エアコンやIHを含めて家全体で使いたいなら全負荷型です。全負荷型でも停電時出力と残量の制約があるため、同時に使う家電の合計を確認してください。
- 蓄電池の選び方で最も重要なのは何ですか?
- まず「何のために導入するか」を決めましょう。電気代を抑えたい場合は電気の使用量や料金プランに合う容量と運転モードを、停電対策を重視する場合は使いたい家電に合う給電方式・出力・容量を確認します。設置場所や保証の条件もあわせて確認してください。
まとめ|家庭用蓄電池は5つのポイントを順に確認して選ぶ
確認する順番は次の5つです。
- 容量:夕方から翌朝に使う電気の量と、停電時に使いたい家電から逆算する
- 機能タイプ:既設のパワーコンディショナを残すなら単機能型、交換時期ならハイブリッド型
- 給電方式:最低限の家電を長く使うなら特定負荷型、家全体や200V家電も使うなら全負荷型
- 設置場所:屋内・屋外の条件、寸法と搬入経路、重塩害地域の対応
- 保証:機器保証と容量保証の年数・条件、自然災害の免責
ご家庭の電気使用量と、停電時に使いたい家電を整理すると、必要な容量や機器構成を検討できます。
カタログでは同じ指標の容量を比べ、停電時の出力も確認してください。太陽光発電の有無や将来のEV導入予定などを販売店に伝え、設置場所と保証の条件まで確認して選んでください。