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EPC事業者必見!最適な産業用自家消費型太陽光発電システムを選ぶ方法
電力コストの上昇、BCP対策の強化、そしてカーボンニュートラルへの社会的要請──。こうした背景から、企業による自家消費型太陽光発電の導入が加速しています。中でも電力使用量の多い中~大規模施設では、高圧受電を前提とした三相パワーコンディショナ(以下、パワコン)の導入が主流となりつつあります。しかし、導入案件の多様化により、パワコンや保護継電器の選定は一層複雑化しています。本記事では、EPC(設計・調達・建設)事業者が直面する選定課題を整理し、オムロンソーシアルソリューションズ(OSS)の「自家消費システム選定ガイド」を活用した効率的な提案方法を紹介します。
目次
産業用太陽光発電システムの導入が進む背景とは
太陽光発電は、政府の2030年エネルギーミックスで重要な電源とされており、国民負担の抑制と導入拡大の両立が図られています。こうした方針を背景に、企業においても産業用自家消費型太陽光発電システムの導入に積極的に取り組む動きが広がっています。
経済産業省・資源エネルギー庁の「調達価格等算定委員会」は2024年12月〜2025年1月にかけて、初期投資支援による新たな導入促進策について議論しました。ここで注目されているのが、屋根設置型産業用太陽光への5年間の投資支援で、19円/kWh程度の水準が提案されています。この制度は国民負担を抑えつつ、売電から自家消費へのシフトを後押しする内容となっており、今後さらなる導入拡大が期待されています。
また、企業にとって産業用太陽光発電システム導入はコスト削減だけでなく、脱炭素やBCP対策といった経営課題への対応手段としても注目されています。このため、導入提案では、完全自家消費型に加え、余剰売電型や蓄電池併設型など、柔軟な構成が求められます。EPC事業者には、政策の動向や制度の趣旨、企業のニーズを的確に把握し、最適な提案を行うことが、今後の競争力強化につながります。
選定の難しさが増す太陽光システム EPC事業者の課題
自家消費型太陽光発電システムの導入が広がる中、EPC事業者が担う役割もより重要になっています。しかし、先に述べた通り、ニーズが多様化していることから、システムの設計・提案にあたっては、さまざまな選定上の課題に直面するのが実情です。
まず、受電契約の区分によって必要なシステム構成が大きく異なる点が挙げられます。低圧、高圧、特別高圧といった契約種別ごとに、求められるパワコンや保護継電器の仕様が異なるため、契約条件を正しく把握した上で、最適な機器の選定が求められます。
また、施工段階でのトラブルを防ぐためには、設計初期における事前確認が欠かせません。例えば、施設の電力負荷の内容を把握することや、既設のVT(電圧変成器)・CT(電流変成器)を保護継電器と共用できるかどうかの判断などの確認事項が多数存在します。
さらに、パワコンや蓄電池といった主要機器の選定に加え、それらを接続するケーブルや市販製品の組み合わせをどう構成するかが分かりづらいという声も多く聞かれます。必要な製品の型番が不明確だったり、接続インターフェースの相性に不安が残ったりと、選定作業には一定以上の経験と知識が求められます。
加えて、近年のシステムは複雑化・高度化が進んでおり、構成パターンも多様化しています。顧客のニーズや設備の仕様に応じて柔軟に対応するには、これまで以上に高度な判断が求められ、EPC事業者にとっては負担となっています。
EPC事業者が最初に押さえるべきポイント
産業用自家消費型太陽光発電システムの提案にあたって、EPC事業者がまず把握すべきなのは、導入先の受電契約の種別と業種ごとの傾向です。
受電契約は、施設の規模や用途に応じて「低圧」「高圧」「特別高圧(特高)」に分類され、それぞれに適した機器を選定する必要があります。例えば、低圧契約は主にコンビニや飲食店などの小規模店舗で採用され、高圧契約は中規模以上の商業施設や製造業、工場などに多く見られます。特高契約は、大量の電力を消費する大規模製造業で使用されるのが一般的です。
受電契約の種類 | 主な施設・業種 | 備考 |
---|---|---|
低圧 | 小規模店舗(コンビニ・飲食店など) | 小規模施設向け |
高圧 | 中規模以上の商業施設・製造業・工場 | 最も多くの導入が見られる区分 |
特別高圧(特高) | 大規模製造業 | 大量の電力を消費する施設 |
こうした契約の違いに応じて、パワコンの選定方針も異なります。小規模な施設では単相パワコンが適しており、主にコンビニやドラッグストアなどで利用されています。一方、商業施設や工場など、高圧契約を結ぶ施設では、空調や生産設備などの動力負荷に対応するため、三相パワコンが必要となります。さらに、施設によっては単相と三相を併用するケースもあり、機器構成や負荷の特性に応じて柔軟な運用が可能となるため、単相と三相を組み合わせた構成が選ばれることもあります。
パワコン種別 | 主な施設・用途 | 備考 |
---|---|---|
単相 | コンビニ・ドラッグストアなど | 電力需要が限定的な小規模施設 |
三相 | 商業施設・工場など | 空調・生産設備など、動力系負荷のある中〜大規模施設 |
単相+三相 | 高圧受電施設での設備構成に応じて併用 | 負荷に応じた柔軟な運用が求められる施設 |
加えて、蓄電池の有無もシステム構成を検討する上で重要な要素です。例えば、老健福祉施設や病院など、災害時にも電力供給を継続させる必要がある施設では、BCP(事業継続計画)対策として蓄電池の導入が効果的です。一方で、昼間の電力使用量が多い商業施設や製造業では、太陽光で発電した電力をそのまま消費できるため、蓄電池がなくても自家消費のメリットを十分に得られる場合があります。
「自家消費システム選定ガイド」が機器選定をサポート
パワコンや保護継電器、ケーブルなどの選定は、受電契約や設備構成によって大きく異なるため、EPC事業者にとっては負担の大きい工程です。こうした選定の難しさを解消するために、当社では、EPC事業者向けに「自家消費システム選定ガイド」を提供しています。
このガイドは、最大6つの質問に答えるだけで、対象施設に適したシステム構成を自動的に提案する仕組みです。例えば、受電契約の種別(特高・高圧・低圧)、導入予定のパワコン種別(三相・単相・三相+単相)、そして蓄電池の有無(BCP対策の必要性)などを選択するだけで、必要な構成機器が一覧で表示されます。例えば、以下のような、施設や目的別の推奨構成の詳細を確認できます。
施設・業種(目的) | 受電 契約 |
パワコン 種別 |
蓄電池 併設 |
余剰 買取 |
推奨構成 |
---|---|---|---|---|---|
製造業(CO2削減・コスト削減) | 高圧 | 三相+単相 | △ | △ | 高圧受電)完全自家消費システム 三相システム+単相システム |
商業施設(高圧契約の最適化・余剰買取) | 高圧 | 三相 | △ | ○ | 高圧受電)余剰売電型自家消費三相システム |
老健福祉施設(BCP対策・停電時の電力確保) | 高圧 | 三相 | ○ | △ | 高圧受電)完全自家消費システム 三相システム+蓄電システム |
小売・飲食店(コスト削減・停電時電力確保) | 低圧 | 単相 | ○ | × | 低圧受電)完全自家消費システム |
表示される構成要素には、詳細なシステム構成図に加え、オムロン製のパワコンや保護継電器だけでなく、接続に必要なケーブルや関連する市販製品など、他メーカーの製品一覧も含まれています。そのため、提案から設計、施工に至るまで幅広く活用でき、プロジェクトをスピーディーかつ正確に進めることが可能です。
EPC事業者の皆さまへ 最適な選定と提案のために
産業用太陽光発電システムの需要はますます多様化しており、パワコンや保護継電器に加えて、ケーブル類を含む機器選定が、EPC事業者にとって大きな負担となっています。こうした業務を支援するツールとして、多くの現場でオムロンの「自家消費システム選定ガイド」が活用されています。
このガイドでは、いくつかの基本情報を選択するだけで、最適なシステム構成と必要な機器をスムーズに導き出すことができます。適切な機器選定は、提案の品質を高めるだけでなく、顧客からの信頼を得る上でも重要な要素となります。
また、冒頭で紹介した「調達価格等算定委員会」のように、太陽光発電を取り巻く政策や補助金制度は、社会情勢やエネルギー政策の動向に応じて定期的に見直されています。こうした制度の変化は、導入企業の投資判断にも大きな影響を与えます。常に最新情報を把握するためにも、新聞や業界メディアなどを通じた情報収集が欠かせません。
オムロンでは、EPC事業者の皆さまがより確実かつスピーディーに提案を進められるよう、有償での現地サポートや製品選定支援などの体制を整えています。また、本サイトを通じて継続的に情報を発信していますので、システム選定の参考資料としてご活用ください。あわせて、「産業自家消費システムサービス資料」も用意しております。下記リンクよりダウンロードできますので、提案活動にお役立てください。