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自家消費型の太陽光発電とは?仕組みから注意点、使える補助金や税制優遇まで解説
自家消費型の太陽光発電とは、発電した電気を売電するのではなく、自社や家庭で優先的に使用するシステムのことです。近年、電気料金の高騰や非常用電力としての需要増加に伴い、自家消費型の太陽光発電への注目が高まっています。しかし、導入を検討する際には、メリットだけでなく、初期投資の費用やメンテナンスの手間といったデメリットについても十分に確認することが重要です。
本記事では、自家消費型の太陽光発電の種類や導入時に選択可能な4つのモデル、そしてメリットとデメリットまで、幅広い情報を解説します。
目次
自家消費型の太陽光発電とは?
自家消費型の太陽光発電とは、太陽光発電システムを利用して発電した電気を自家消費する方式のことです。具体的には、太陽光パネルを個人宅や事業所の屋根や空きスペースに設置して、発電した電力をその場で直接利用します。全量売電型と異なり、発電した電気を直接使用することで、電力会社からの電気購入量および料金を削減できるメリットがあります。
2020年のFIT制度(固定価格買取制度)の見直しに伴い、50kW未満の新設発電設備においては、30%以上の自家消費がFIT認定の条件とされました。これにより、自家消費型の太陽光発電の導入が促進され、需要が高まっています。
また、自家消費型の太陽光発電は、CO2排出を伴わないクリーンエネルギーに該当することから、企業の環境対策としても積極的に推進されています。環境意識の高まりとともに、自家消費型の太陽光発電は今後さらに普及していくことが予想されます。経済的なメリットと環境への配慮を両立できる優れた方式といえるでしょう。
注目を集める背景
FIT制度の改定により、特に企業では自家消費型への切り替えが増加しています。この背景には、CO2削減の必要性、電気料金の高騰、非常用電力の需要増加という3つの主要な課題への対応があります。
東日本大震災以降は、BCP(事業継続計画)対策の重要性が高まりました。また、パリ協定による国際的な地球温暖化対策の枠組みも、再生可能エネルギーへのシフトを加速させています。さらに近年では、ウクライナ情勢の影響で高騰した原油価格に再エネ賦課金の値上げも加わり、電気料金がどんどん上昇しています。
このため、自家消費型の太陽光発電への注目が集まっています。企業にとって、自家消費型の太陽光発電は、コスト削減と環境対策、そしてBCP対策を同時に実現できる優れたシステムと言えるでしょう。
自家消費型太陽光発電の導入に向けた具体的な提案方法や施工・保守のポイントについては『EPC向け 自家消費案件 完全ガイド』で解説しています。自家消費型太陽光発電の種類について
自家消費型太陽光発電には、大きく分けて「完全自家消費型」と「余剰電力売却型」の2種類があります。それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
完全自家消費型
発電した電力を全て自社や自宅で直接利用するシステムです。このシステムを導入すると、電気代の削減とCO2排出量の削減を同時に実現できます。
事業者の場合、オフィスビルの照明や工場の生産設備などに電力を供給することができます。一方、個人の場合は、家庭の照明、冷暖房、家電、エコキュート、さらには電気自動車の充電にも利用可能です。
ただし、天候によって発電量が変動するため、電力供給の安定性を向上させるために、蓄電池との併用が必要になる場合があります。蓄電池を使うことで、太陽光発電システムで発電した電力を一時的に貯めておき、必要な時に利用することができます。完全自家消費型の太陽光発電システムは、エネルギーの地産地消を実現し、環境負荷の低減とコスト削減を同時に達成できる優れたシステムといえるでしょう。
余剰電力売却型
自社や自宅で必要な電力を使用した後に、余った電力を電力会社に売却する仕組みです。このシステムの対象となるのは、10kW未満の一般住宅用と50kW未満の産業用の発電設備で、余剰電力のみが売電の対象となります。
特に一般住宅用の場合、導入後10年間は買取価格が保証されています。例えば2022年度には、10kW未満の設備の場合に、17円/kWhの価格で売電することができました。この方式のメリットは、電気代の節約だけでなく、売電による収入が得られることです。
余剰売電型太陽光発電システムを導入することで、環境に優しい再生可能エネルギーを活用しながら、経済的なメリットも享受できます。エネルギーの自給自足と同時に、余剰電力の売却による収入も期待できるため、多くの家庭や企業に注目されています。
自家消費型太陽光発電の導入モデルについて
自家消費型太陽光発電の導入モデルには、主に「自己所有モデル」と「オンサイトPPA」の2つがあります。自己所有モデルは、企業が自ら設備を購入し、所有・運用するモデルです。初期投資が必要ですが、発電した電力を自由に使えるメリットがあります。一方、オンサイトPPAは、PPA事業者が企業の敷地内に設備を設置し、企業は電力を購入するモデルです。初期投資が不要で、運用リスクを回避できるメリットがあります。
その他にも、「自己託送モデル」と「オフサイトPPAモデル」があります。自己託送モデルは、自社の遠隔地の土地に太陽光発電設備を設置し、発電した電力を送電線を通じて自社で使用するモデルです。オフサイトPPAモデルは、太陽光発電事業者が遠隔地に設備を設置し、企業が電力を購入するモデルです。それぞれのモデルには特徴があるため、自社の状況に合わせて最適なモデルを選定することが重要です。
自己所有型
企業が自社の敷地や建物に太陽光発電設備を設置し、発電した電力を自家消費する仕組みです。このモデルの最大の魅力は、発電した電気を無料で利用できる点にあります。さらに、設備の移動・増設・撤去を自由に行えるため、事業の拡大や縮小に合わせて柔軟な運用が可能です。
加えて、自家消費型太陽光発電を導入することで、電力会社から電気を購入する必要がなくなり、電気代の大幅な削減が期待できます。これにより、長期的なコスト削減と安定した電力供給が実現します。一方で、自己所有型太陽光発電にはデメリットもあります。まず、設備導入には高額な初期投資が必要となります。また、設備の定期的なメンテナンスにも費用がかかるため、長期的なコスト管理が重要です。
企業が自家消費型太陽光発電の導入を検討する際は、これらのメリットとデメリットを十分に理解し、自社の事業規模や財務状況に合わせた判断が求められます。
自己託送モデル
自己託送モデルは、企業が自社の敷地外に設置した太陽光発電所から、電力会社の送電網を介して自社で使用する電力を供給する仕組みです。このモデルの主なメリットは、敷地内に発電設備を設置するスペースがない場合でも、遠隔地にある大規模な太陽光発電所を利用して再生可能エネルギーを直接活用できる点にあります。
また、1箇所の太陽光発電所から複数の事業所に電力を供給することが可能であり、これにより広大な土地を有効利用し、より大規模な発電を実現できます。この点は、自己託送モデルの大きなメリットの一つと言えるでしょう。
しかし、このモデルには、いくつかのデメリットも存在します。託送料金の支払いや、非常用電源として利用する際に使いづらいこと、運営コストの高さなどが挙げられます。特に、計画通りに発電できなかった場合には、ペナルティ料金の発生というリスクも伴います。加えて、補助金制度が充実していないため、初期投資の回収には特に注意が必要となります。
オンサイトPPAモデル
企業の自社敷地内に、PPA事業者が太陽光発電システムを設置して、そこで発電された電力を企業が購入するという仕組みです。設置やメンテナンスにかかる費用は全てPPA事業者が負担するため、企業側には初期費用やランニングコストが一切発生しません。
最大のメリットは、企業が設備投資を行わずに済み、メンテナンスの手間も省けることです。しかし、契約期間中は発電設備の所有権がPPA事業者にあるため、企業側で自由に設備の移動や増設、撤去を行うことができません。また、オンサイトPPA契約は通常10年から20年の長期にわたって結ばれることが多いため、その間は敷地内での建屋も建て替えや引っ越しが困難になるデメリットもあります。
さらに、オンサイトPPAモデルでは発電量に応じて電気代が発生するため、完全なコスト削減効果には限界があると言えます。たとえ安価な電力を購入できたとしても、自社で設備を所有する場合と比べると、長期的な観点からはコストメリットが限定的になる可能性があります。
以上のように、オンサイトPPAモデルは初期投資が難しい企業にとっては魅力的な選択肢ではありますが、長期間の契約による柔軟性の損失とPPA事業者への依存が潜在的なデメリットとして存在します。企業はこれらのメリットとデメリットを十分に比較検討した上で、自社に最適な太陽光発電の導入方法を選択する必要があります。
オフサイトPPAモデル
企業が遠隔地の再生可能エネルギー発電所から電力を購入し、電力会社の配電網を通じて使用する仕組みです。企業は初期設備投資や維持管理のコストを負担することなく、再エネを利用できるため、コストパフォーマンスが良いとされています。
また、広大な土地を活用した大規模発電が可能であるため、設備の負担割合や管理責任をPPA事業者と協議で調整できるメリットがあります。一方のデメリットとしては、託送料金やペナルティ料金が発生するリスクがあります。
さらに、電源としての安定性に課題があり、緊急時のバックアップとしては適していません。加えて、一企業だけでの導入は困難な場合もあり、電気料金が他の方式と比較して高いため、コストの面での検討が必要です。
自家消費型太陽光発電のメリット
自家消費型に限らず、太陽光発電全般にも当てはまるメリットも含めて、自家消費型太陽光発電のメリットを解説していきます。
電気料金の削減
2021年9月以降、電力会社の電気代が値上がりしています。その背景には、ウクライナの情勢による化石燃料価格の高騰が影響しています。多くの電力会社では燃料費調整額が上限に達しましたが、今後はさらなる高騰が予想されています。
この状況下で注目されているのが、自家消費型の太陽光発電です。電力を自家で賄うことで、高い市場価格の電力を購入する必要がなくなります。太陽光発電で消費電力をまかない、電気料金の削減を図ることができるのです。
また、発電した電力が余った場合は、売電することで収入を得ることも可能です。自家消費型太陽光発電には、電気代の削減と売電収入の2つのメリットがあります。今後の電気代高騰に備え、自家消費型太陽光発電の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
CO2の削減
2020年、日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル宣言」を行いました。この宣言により、企業には積極的なCO2削減の取り組みが求められています。そんな中、自家消費型の太陽光発電が注目を集めています。
太陽光発電は、火力発電と比較してCO2排出量が非常に少ないのが特徴です。1kWhあたりのCO2排出量は17~48gと、火力発電の約690gと比べて圧倒的に少ないのです。つまり、太陽光発電を利用することで、企業は大幅なCO2削減に繋がります。さらに、太陽光発電は再生可能エネルギーであり、枯渇することなく永続的に利用可能です。将来的にも安定したエネルギー供給が期待できるため、企業の長期的な発展にも寄与するでしょう。
企業が自家消費型の太陽光発電を導入することは、環境保全に貢献しつつ、電力コストの削減も実現できます。これは、企業価値の向上にも繋がる重要な取り組みと言えるでしょう。カーボンニュートラルの実現に向けて、自家消費型太陽光発電の導入は企業にとって非常に有益な選択肢となっています。
BCP対策
2011年の東日本大震災以降、災害時の分散型電力供給が注目されるようになりました。さらに、2022年3月には地震や気象条件の変化が原因で、日本で初めての電力需給逼迫警報が発令され、非常用電力の重要性が一層高まりました。
特に、太陽光発電は非常用電源としての導入が増えており、停電時でも安定した電力供給を可能にします。企業が自家消費型の太陽光発電を導入することで、BCP対策を強化することができ、災害時でも業務を継続できるようになります。
加えて、太陽光発電システムは蓄電池と組み合わせることで、発電量が減少する夜間や悪天候時にも電力を供給することが可能です。このように、自家消費型太陽光発電はBCP対策として優れた選択肢であり、企業の事業継続性を高めることができます。
遮熱効果
自家消費型太陽光発電を導入すると、屋根に設置した太陽光パネルによる遮熱効果が期待できます。特に夏場の工場や倉庫では、屋内温度が40度を超えることもあり、作業者の健康リスクが高まり、生産性が低下してしまいます。太陽光パネルを設置することで、日光を遮り、屋内温度の上昇を抑制できるため、空調設備への負担が軽減されます。その結果、空調設備の寿命が延び、エネルギー効率も向上します。
太陽光発電による電力供給と合わせて、遮熱効果によるコスト削減も見込めるため、経営面でのメリットは大きいと言えるでしょう。
自家消費型太陽光発電のデメリット
自家消費型に限らず、太陽光発電全般にも当てはまるデメリットも含めて、自家消費型太陽光発電のデメリットを解説していきます。
高額な初期費用
最初に挙げられるデメリットは、高額な初期費用がかかることでしょう。太陽光発電システムを設置するには、太陽光パネルやパワーコンディショナー、分電盤、接続箱、配線などの購入費用に加え、取り付けや配線工事などの費用も必要となります。
初期費用の具体的な金額は、設置する建物の面積や発電設備の電力消費量によって異なります。例えば、電力消費量が10kW以上の場合、平均設置費用は25.0万円/kWとなります。この計算に基づくと、工場で150kWの設備を導入する場合は3,750万円、ビルで30kWの場合は750万円、介護施設で20kWの場合は500万円が平均的な設置費用となります。
太陽光発電の性能や設置面積が広いほど、初期費用は高くなる傾向にあります。しかし、近年では産業用や住宅用において、初期投資費用が不要なモデルも登場しています。自家消費型太陽光発電の導入を検討する際には、これらの違いを理解し、自分の事業や建物に適したプランを選ぶことが重要です。
メンテナンス費用
初期費用だけでなく、メンテナンス費用も考慮する必要があります。発電効率を高く保ち、故障や事故を未然に防ぐためには、太陽光発電システムを適切にメンテナンスすることが不可欠です。具体的なメンテナンス項目としては、定期点検、太陽光パネルの清掃、パワーコンディショナーの交換などが挙げられます。定期点検の費用は1~2万円程度、清掃は3~6万円、パワーコンディショナーの交換は1台あたり20万円前後が相場です。
ただし、メンテナンス費用は発電設備の規模や種類によって異なります。例えば、産業用で発電量が50kW未満の場合、年間のメンテナンス費用は10万円~15万円が一般的です。一方、自家消費型の設備で低圧あるいは高圧の場合も同程度の費用が必要となり、特別高圧規模になると年間100万円から200万円のメンテナンス費用がかかります。
メンテナンス費用は初期費用ほど目立ちませんが、長期的に見れば無視できない金額です。定期的なメンテナンスを専門業者に依頼することで、発電量の低下や重大なトラブルのリスクを最小限に抑えられます。自家消費型太陽光発電の導入を検討する際は、メンテナンス費用も含めたトータルコストを慎重に見積もることが重要です。
適切なスペースの確保
適切なスペースの確保が重要なポイントとなります。設置に最適な場所は、屋根や空き地、駐車場など日陰になりにくいエリアです。しかし、古い建物の場合、構造上の問題から設置が困難なケースもあるため、建築条件への配慮が欠かせません。
また、効率的な発電を実現するには、屋根の形状や方向が鍵を握ります。日本では、南向きで30度の傾斜がある屋根が理想的とされています。加えて、発電設備だけでなく、パワーコンディショナーや蓄電池といった関連機器も適切な場所に配置することが求められます。
自家消費型太陽光発電を導入する際の注意点
自家消費型に限らず、太陽光発電全般にも当てはまる導入時の注意点も含めて、自家消費型太陽光発電を導入する際の注意点について解説していきます。
逆潮流対策
逆潮流対策に特に注意が必要です。逆潮流とは、発電量が消費量を上回った際に、余剰電力が電力系統に逆流する現象のことを指します。この現象により、電力会社の設備に混乱が生じ、最悪の場合、大規模な停電を引き起こす可能性があります。
逆潮流を防ぐ手段として一般的なのが、RPR(逆潮流防止リレー)の設置です。RPRは逆潮流を感知すると、自動的に電源を遮断する機能を持っています。これにより、余剰電力が電力系統に流れ込むことを防ぎ、設備の安全性を確保することができます。自家消費型太陽光発電を検討する際には、RPRの設置を含めた適切な逆潮流対策を講じることが重要です。
天候の影響
天候の影響は大きな注意点の一つです。太陽光発電は天候に大きく左右され、特に悪天候や夜間は発電量が大幅に減少します。梅雨や冬期は発電できない期間が長くなることがあり、その際は電力会社から電力を購入する必要が生じます。
曇りや雨天時には発電率が大幅に低下してしまい、晴天時の70〜90%まで減少します。極端な場合にはほとんど発電しないこともあります。蓄電設備を導入することで、発電の不安定さを補うことは可能です。しかし完璧ではありません。予期せぬ天候変化が発生した場合、事前のシミュレーションを下回る発電量となってしまうリスクも考慮しておく必要があります。
自家消費率の確認
自家消費率の確認が重要です。自家消費率とは、太陽光発電で発電した電気のうち、実際に使用できる割合を示します。この値が高いほど、電力会社から購入する電力量を減らせるため、光熱費の節約に繋がります。
しかし、例えば週末が休業日の事業所では、年間120日間は発電した電力を消費する機会がありません。これが自家消費率の低下に繋がるため、注意が必要です。
一部の業者は、収支が良く見えるように発電量だけを用いて計算することがありますが、節約できる実際の電力は、自家消費できる電力の量に限定されます。そのため、情報を正確に理解して、自家消費率を考慮した上で評価することが重要です。自家消費率が低い場合には、どれだけ発電量が多くても経済的なメリットは限定的です。
設置場所の制限
太陽光パネルの設置に適さない場所や、設置自体ができない場所が存在するため、設置場所の制限について事前にしっかりと確認しておくことが重要です。主な制限の一つとして、1981年6月以前に建設された旧耐震基準に基づく建物が挙げられます。これらの建築物は、新耐震基準の導入以前のもので、太陽光パネルの重さが建物の耐震強度に悪影響を及ぼすリスクがあります。
また、高層ビルやマンションの場合、太陽光パネルを設置することで建物の高さが建築基準法の制限に抵触する可能性が出てくるため、設置が難しい場合があります。その他にも、日中でも影ができやすい場所、特に室外機が多く設置されている屋上などでは、太陽光パネルが十分な発電を行えないため、設置を避けるべきです。
自家消費型太陽光発電の導入にあたっては、これらの設置場所の制限を十分に考慮し、適切な場所を選定することが肝要です。
法定耐用年数の確認
法定耐用年数の確認も重要です。太陽光発電設備の耐用年数は業種ごとに異なるため、事前に正確に理解しておく必要があります。例えば、自動車製造業の場合には、耐用年数は9年と定められており、農業の場合は7年とされています。この業種ごとに定められた耐用年数は、税務上の減価償却計算に影響を与えます。そのため、導入前に税務署や税理士へ確認することが重要です。
耐用年数を正しく理解し、適切な減価償却計算を行うことで、税務上のトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
自家消費型太陽光発電を導入するまでの流れ
自家消費型太陽光発電を導入するまでの流れについて詳しく解説していきます。
データの準備
自家消費型太陽光発電の導入を検討する際、まず専門業者への問い合わせが不可欠です。業者が設置可否を適切に判断するためには、過去12ヶ月分の電気料金明細書と電力使用データの提供が求められます。これらのデータは、電力会社から取得することができます。
業者はこのデータを分析し、設置の実現可能性を評価します。設置が可能と判断された場合、業者は概算見積もりと設置シミュレーションを提示してくれます。これは自家消費型太陽光発電の導入における最初の重要なステップとなります。専門業者との綿密なコミュニケーションを通じて、自社に最適な太陽光発電システムの導入を目指しましょう。
現地調査
自家消費型太陽光発電の導入を決めたら、次に現地調査を行います。この調査には、建築図面や電気の単線結線図が必要不可欠です。これらの資料は、設計会社や電気技術者から入手可能です。入手した資料をもとに仮設計を行い、現地調査で得たデータを用いて、使用する部材の選定や設備の詳細な仕様を決定していきます。
現地調査では、太陽光パネルの設置場所や角度、日当たりなどを確認することで、最適な発電量が得られるよう設計します。また、屋根の強度や、電気配線の状況なども併せて確認します。これらの情報を総合的に判断し、最適な自家消費型太陽光発電システムを設計していきます。
引き渡し
業者から提出された見積書とシミュレーションを入念に確認して問題がなければ、導入を決定して、工事請負契約を結びましょう。契約後は、いよいよ太陽光発電設備の設置工事が始まります。工事では、パネルの設置や配線などが行われ、工事完了後には最終確認を実施します。確認ポイントは、パネルの設置状態や発電状況など多岐にわたります。
最終確認ですべて問題がなければ、いよいよシステムの引き渡しとなります。このように、見積書の確認から工事、最終確認を経てシステムの引き渡しに至るまでの一連の流れを踏むことで、自家消費型太陽光発電の導入が完了します。
自家消費型太陽光発電向けの税制優遇
自家消費型太陽光発電の導入を検討する企業にとって、税制優遇制度の活用は大きなメリットとなります。例えば、中小企業経営強化税制は、一定の要件を満たす設備投資に対して、即時償却または税額控除が適用されます。太陽光発電設備はこの税制の対象となるため、初期投資負担を軽減することができるのです。
また、グリーン投資税制として、太陽光発電設備を取得した場合、取得価額の一定割合を法人税額から控除できる制度もあります。これらの税制優遇を活用することで、企業は太陽光発電の導入コストを抑えつつ、電気代の削減効果を早期に実現できます。
ただし、これらの税制優遇の適用条件や支援内容は自治体によって異なる場合があるので注意が必要です。企業は自社を管轄している自治体の制度詳細を確認して、適切な手続きを行う必要があります。
自家消費型太陽光発電向けの補助金
自家消費型太陽光発電の導入を検討する際、国や自治体が提供する補助金を活用することができれば、初期コストを大幅に軽減できます。これらの補助金は、再生可能エネルギーの普及を促進し、脱炭素社会の実現を目指すために設けられています。
例えば、「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」は、蓄電池を導入する際の補助金です。太陽光発電の自家消費率を高め、電力系統の安定化に寄与することを目的としています。
また、「再生可能エネルギー事業者支援事業費」は、再生可能エネルギーの導入や設備の運転に必要な経費を支援する補助金です。設備の導入や維持管理に関連する費用が対象となり、事業者の負担を軽減することができます。
これらの補助金は同じ補助金でも年度によって変更される可能性があるため、必ず公式サイトで最新の情報を確認するようにしてください。また、申請には様々な条件が設定されていることが多いため、事前に正しく理解して準備・計画しておくことが重要です。
自家消費型太陽光発電の導入を支援する補助金は、設備の価格低減や維持管理の負担軽減に大きく貢献します。事業者や個人は、自らのニーズに合った補助金を選択して、有効に活用することで、再生可能エネルギーの導入をより円滑に進めることができるでしょう。太陽光発電の普及は、脱炭素社会の実現に不可欠であり、補助金はその重要な後押しとなっています。
まとめ
自家消費型の太陽光発電とは、発電した電気を自社や自宅で消費するシステムのことです。このシステムを導入することで、電気代の節約やCO2の削減が期待できます。特に企業にとっては、長期的な視点で見ると財務面での負担軽減につながる可能性が高く、環境への配慮と経済性を両立させる有効な手段となっています。
ただし、太陽光発電には高い初期投資が必要となります。また、維持管理に伴うランニングコストも発生するため、導入には慎重な検討が求められます。そこで、国が用意している様々な優遇制度の利用を視野に入れて計画を立てることをおすすめします。例えば、補助金や税制優遇などを活用することで、初期投資の負担を軽減できる可能性があります。自家消費型の太陽光発電は、長期的な視点で見れば、経済面でもメリットが大きいシステムです。
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