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太陽光発電話題のトレンド「自家消費型」で、新たなビジネスチャンスをつかむには

太陽光パネルの設置を行う作業員

2024.06.01
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太陽光発電市場は、再生可能エネルギーを求める環境施策の中で急速に発展しています。この変化は、EPC(エンジニアリング 、調達、施工)事業者にとって、売電中心であった太陽光発電事業から自家消費型への移行を促し、経済性と社会課題の解決の両面で貢献できる絶好の機会です。本記事では、自家消費型太陽光発電の市場が成長する理由や市場の最新トレンドを踏まえた上で、EPC事業者が直面する自家消費市場参入の課題解決を探求します。先行事例を交え、今EPC事業者が取り組むべき具体的なアクションを紹介します。

EPC事業者が自家消費型太陽光発電に事業モデルを転換する背景

太陽光発電が求められる社会的な背景については、2012年の電力固定買取制度(FIT)の導入があります。当時、政府は太陽光などの再生可能エネルギーを推進するため、制度初期は産業用40円/kWh、住宅用42円/kWhと比較的高い買取価格でスタートしました。

しかし太陽光発電の導入が進むにつれて買取価格は下がり、2022年には産業用が約11円(10kW以上50kW未満)と、場合によっては電力会社の価格と同等かそれ以下になりました。つまり「売るより使った方が良い」という状況が生まれ、自家消費市場の重要性が高まってきました。

太陽光発電(産業用)の売電価格の推移
太陽光発電の売電価格の推移

政府は2050年のカーボンニュートラル達成を目指しており、2030年には中間目標も設定しましたから、再生可能エネルギーの導入を加速させる方針です。しかし国の固定買取制度は減少傾向にあり、経済産業省も「太陽光電力は地産地消がトレンド」などのメッセージ を発信しています。

地産地消の大きな流れを受けて、EPC事業者には従来の、土地を整備して太陽光パネルを設置し、売電を中心とする「野立(のだて)」市場から、電力を発電した場所で利活用する「自家消費」市場への移行が求められています。

コスト構造の変化やエネルギー価格高騰の影響を受ける太陽光発電市場

現在電力は、自分で生産して使う方が、電力会社から購入するより経済的に有利という状況です。つまり自家発電のコストが電力購入価格と等しい、もしくは下回るという「グリッドパリティ」状態です。

特に最近は、電力価格の高騰もあり電力の購入価格が20〜30円/kWhなのに対し、自家消費用の発電コストは10数円/kWhと大幅に安くなっています。この経済的なメリットも自家消費への転換が促進されている大きな理由の1つです。

さらにウクライナ情勢を背景にした世界的なエネルギー価格の高騰、政府による燃料価格の激変緩和策の終了、原子力エネルギーの不安定性や円安の影響などはエネルギー購入の不安定性を示し、電力価格が今後も上昇傾向という予測を意味しています。こうした多様な要因も、自家消費への関心を高め、結果として自家消費システムを導入する動機につながっています。

国の施策も変化しています。従来の省エネ法は、企業に対して毎年1%のエネルギー削減と報告を義務付けており、企業は長年にわたり、乾いた雑巾を絞るような省エネに努めてきました。しかしこれも限界です。昨年の4月省エネ法が更新され、再生可能エネルギーの導入を通じてエネルギー消費をトータルで削減する方向に転換が図られました。

この変更は、再生可能エネルギー導入の新たなきっかけともいえ、資金や設備に余裕がある企業や組織による自家消費型の導入が始まりました。

野立型から自家消費型へシフトするEPC事業者

日本の太陽光発電の設備投資を振り返ると、FIT開始の2012年から2014年までは、売電を中心とする投資型の太陽光発電が盛んでした。EPC事業者もFITによって、かなりの収益を上げてきました。

しかし買取価格の下落によって、収益に寄与する設備投資案件が減少してきました。現在は、以前に計画されたがまだ運用開始していない「残案件」に対応している案件もほぼなくなりつつあります。つまり以前のような設備投資案件は減少の一途と言えます。

一方で、店舗や工場といった電力使用者である需要家側は、自分たちで電力を生成した方が経済的に有利だと理解し始めており、自家消費型へのニーズが高まっています。EPC事業者にとっては、今までの太陽光発電の建設ノウハウを活かせる新たなチャンスです。

加えて自家消費型の案件は、一度需要家と関係を築くと、その後20年近くの長期的な関係維持が見込めます。自家消費型は発電所を運営することと同等です。電力を安定的に供給するため、系統側に悪影響を与えないためにも、発電設備のメンテナンスをはじめとする様々な業務での関係は必須と言えます。

また発電設備の導入後も、蓄電池や電気自動車(EV)など、さまざまなエネルギー関連機器の追加需要が予想されます。EPC事業者にとって、需要家との関係を深め複数回の商談機会を持てる絶好の機会になりますし、より高機能な機器や関連ソリューションの提案で収益を増やすことができるでしょう。これらは今までにない大きなメリットです。従来の野立の場合は作ったら終わりですから、自家消費型市場との差は歴然です。

ポイントは建物の構造や電力需要―自家消費型太陽光発電の主な需要家像

最近の自家消費型の事例としては、コンビニチェーン店が積極的に太陽光発電を取り入れています。また、ドラッグストアの需要も高く、これらの業界における成功事例が目立っています。他、老人保健施設や学校、工場などへの導入も増えていますが、屋根の耐荷重や建物の構造によって導入が難しい場合もあります。

他に、投資回収期間を考えたときの向き不向きもあります。一般に、自家消費型の設備の投資回収期間について多くの需要家が10年前後と考えています。

太陽光パネルが設置された建物のイラスト”一定の需要が長期に見込める施設に向いている

流通業界では、店舗の出店期間が変動しやすく業態も頻繁に変わるため、10年という期間での導入が見合わないケースがあります。一方で、スーパーやドラッグストア、コンビニは一度出店すると10年以上営業することが多いため、太陽光発電の導入に適しています。つまり業界の特性によって、太陽光発電の導入には濃淡があると言えます。

製造業ついては、屋根の耐荷重から設置できる電気容量が決まります。加えて製造業では、製品や設備の変更があるため、エネルギー消費が一定ではないので、10年や20年といった長期間でのエネルギー消費の見通しを立てる場合は、これらの変動を考慮する必要があります。太陽光発電を導入するなら大規模に行いたいという意向があるものの、考慮すべき点が多いため、投資に踏み切るまでに時間がかかる傾向があります。

このような状況でEPC事業者が目指したいのは、業務や運営が似ていて、長期間の事業を見込める業種となります。1つの導入実績をもって他の店舗などにも展開できる可能性は高く、効率の良さというメリットが期待できます。

ひと足先に自家消費型太陽光に参入しているEPC事業者の傾向

すでに技術力があるEPC事業者は、早期に「野立」から「自家消費型」に転換して成功しています。参入が早かった大手EPC事業者もいらっしゃいますが、エネルギーに関する知識を厚くするため、省エネを手掛ける業者をM&Aを実施して体制を強化しているところもあります。

実際、太陽光発電だけに特化した事業者よりも、省エネや設備メンテナンスの知識がある方が、自家消費型市場にスムーズに参入できる傾向があります。中小のEPC事業者の場合は、大手と同じように手広く活動することが難しいですから、まずは太陽光発電の最小限のシステムを導入し、エネルギー消費と太陽光の相性をお客様と共に学びながらノウハウを溜めて、次の展開を模索するのが得策でしょう。

金融機関との関係構築も重要です。省エネやエネルギー関連の投資に関心がある地方の金融機関は多く、エネルギーや環境への投資を戦略的に行いたいと考えています。再生可能エネルギーの投資においては、業者と需要家をマッチングさせる役割も果たしています。

金融機関がEPC事業者を選ぶ基準は、主に実績です。過去に金融機関から投資を受け、太陽光発電や関連事業による実績は高く評価されます。このような経験を持つ事業者なら、金融機関としても相談に乗りやく、双方にとって有益な関係を築く一つの方法となります 。

太陽光発電をステークホルダー太陽光発電を取り巻く様々なプレイヤー

環境関連の案件に補助金が付くことは多いため、自治体と良好な関係を築くことも重要です。地元の施工業者として自治体に認知されている企業には、案件の話が寄せられやすいと言われています。

自家消費型の注意点! ―余剰電力の制御とは

自家消費型は多様なメリットがありますが、実際の設置では野立と異なるノウハウや知見が必要になります。

まず理解すべきは「出力抑制」です。太陽光発電の電力を全て消費しきれない場合、余剰電力は電力網に送り込むことが一般的ですが、網の上の発電と消費のバランスである「同時同量」を保てないと電力の安定を崩す場合があり、最悪停電に至ることがあります。

このため電力会社は同時同量を保つために、バランスが崩れると予測された場合は、事前に発電量を抑制する指示を出します。これが「出力抑制」です。出力抑制が出されると、大量の電力が使用されずに捨てられる状況が生じます。

電気は蓄電設備がなければ貯蔵できませんから、消費しきれなかった余剰電力は、電線を経由して外部に電力網に送出する必要があります。実際、自家消費を100%再生可能エネルギーでカバーするのは難しく、一般家庭での再エネ比率は約30%であり、残りの70%は電力会社から購入しています。ですから、自家消費型といっても、ほとんどは電力会社の電力網につながっています。

余剰電力が発生したら、電線を通じて外部の電力網に流しますが、この過程で電気の逆方向の流れである「逆潮流」が発生します。逆潮流が電線の容量を超えると、最悪の場合停電を引き起こしますので、電力会社から出力抑制の指令が出されたら、パワーコンディショナーによって電気を制御します。

自家消費システムのイラスト図参考:発電電力を最大限に有効活用できるオムロンの完全自家消費システム

EPC事業者が自家消費型に参入する場合は、余剰電力の管理はもちろんのこと、設置場所ごとの電気使用状況を理解し最適なシステムを提案する知識やスキルが必要です。特に、既存の建物に後付けで太陽光発電を導入する場合、電気の使用状況や配線の系統図など、細かい情報を考慮に入れて計画を立てなければなりません。自家消費型の場合、一つの案件ごとに使用状況や設備が異なるため、野立のように一律の提案では対応できず、カスタマイズされた提案が求められます。

技術的には、受電盤(キュービクル)と太陽光発電の接続に関する知識が特に重要で、特殊なノウハウを要しますし、受電盤(キュービクル)の操作には資格が必要なので、技術や資格を持つ社外のネットワークを持つことが、自家消費型の導入には不可欠です。

EPC事業者が自家消費型の導入にあたり、新たな付加価値を提供し、実績を築くためには、特殊な知識や技術、需要家のニーズを理解し、適切な提案ができる能力が必要です。しかし、このようなスキルやネットワークを備えられれば、EPC事業者は自立でき、需要家との信頼関係を直接築くことができます。

太陽光発電市場に参入したいEPC事業者のみなさんへ

今後の太陽光発電事業を考えた時、固定買取価格制度(FIT)に頼るだけでは、太陽光発電が魅力的な事業でなくなる可能性があります。対して、多様な理由から自家消費型は成長が見込まれており、EPC事業者の参入が増えるほど市場が拡大すると考えられています。

一度設置すれば20年近く良好な関係を構築できる可能性は高く、ビジネスのチャンス増大が期待されます。そのためEPC事業者には、先行者利益を享受する意味も含め、自家消費型太陽光発電への早々の参入をお勧めします。技術的、経営的な課題はありますが、クリアすることは不可能ではありません。オムロン ソーシアルソリューションズがお手伝いしますので、ぜひ一緒に自家消費型の市場に向かいましょう。

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