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自家消費市場の参入方法とは?EPC事業者のための参入手順とノウハウを紹介
参入の好機! 自家消費市場の現在地
地球温暖化など環境問題への関心の高まりから、世界的に再生可能エネルギーへの期待が集まっています。国内でも2021年に「第6次エネルギー基本計画」が策定され、国の方針として再生可能エネルギーの推進に取り組む姿勢を明示しました。
再生可能エネルギーの中でも、太陽光発電は風力発電や地熱発電に比べて設備の設置が容易なことから、今後も導入拡大が見込まれています。
日本では1999年頃から太陽光発電の商業利用が開始されており、これまで発電した電気を電力会社が固定価格で買い取る「売電太陽光発電」の市場が伸びてきました。しかし、近年固定買取価格が低下していることから、発電した電気を事業所などで自ら消費する「産業用自家消費」市場へのシフトが進んでいます。
自家消費型太陽光発電はエネルギーコストの削減や環境への貢献を目指す企業にとって魅力的な選択肢であること、国や地方自治体で産業用自家消費を導入する場合の補助金制度を拡充し始めていることなどから、現在は自家消費市場への参入の好機と言えます。
自家消費市場に参入するために必要な知識とノウハウを身に付けるには
拡大が見込まれる自家消費市場への参入は今が好機ですが、一方で、市場への参入やその後事業を軌道に乗せるには一定の知識やノウハウが必要です。
自家消費市場に参入するには、制御技術や受電盤(キュービクル)などに関する知識が必要です。EPC事業者の多くはこうした技術を扱った経験がないため、座学で学ぶなどして技術的知識を身に付ける必要があります。
また、市場参入後は顧客ごとにシステム仕様が異なるため、多くの経験を積むことが重要です。自家消費市場に参入した直後のEPC事業者は、建設業者などの下請けとして太陽光発電システムの設置を部分的に担当することが一般的です。「習うより慣れろ」という言葉があるように、多様な現場経験を通じて技術を習得していきます。
自家消費に関する知識や経験を持つ人材を社内で育成することが困難な場合には、既に自家消費導入に携わっている事業者とパートナー関係を築くのも1つの手段です。現場を共にすることで、制御や受電盤に関する知識や経験、ノウハウを習得できます。
従来の売電型太陽光発電は、EPC事業者は太陽光発電システムを納入したら顧客との関わりが終了していました。これに対し、自家消費はシステムを納入した後も10年、20年と顧客との関わりが継続します。長きに渡る付き合いの中で顧客の課題を引き出し、その課題を解決するとともに、次の事業機会につながる提案スキルを身に付けましょう。
自家消費市場参入のための具体的ステップとは?
自家消費市場に参入するには、大きく6つのステップがあります。
①自家消費の提案ノウハウを身に付ける
顧客にソリューションの提案を行う場合、まず考えなければならないのは、顧客が何について悩んでいるかです。顧客へのヒアリングや電力会社から提供される電力の使用データなどから課題を引き出し、それを解決するためのソリューションを提案します。例えば、需要家様が抱える課題とその解決策(提案ノウハウ)として以下のようなものが挙げられます。
課題 | 解決策(提案ノウハウ) |
---|---|
デマンド値を下げて契約電力を抑えたい | ・自家消費太陽光発電でピーク電力を抑えられ ・蓄電システムやデマンドコントローラと連動することも可能 |
生産シフトや生産量変化でエネルギー変動が大きい | ・完全自家消費なら、99%程度でシステムが追従制御 ・系統への逆潮流も高速制御で回避が可能 |
省エネは継続してきて次の手立てがない | ・省エネに創エネを選択肢に加えることで目標を実現 ・省エネ法改正含めエネルギー課題を解決 |
②自家消費の導入に相性が良い需要家を見つけ、ネットワークを築く
案件獲得につなげるために、需要家とのネットワークを構築することも重要です。需要家とつながるには、金融機関や商工会議所、エネルギー問題に関する勉強会などに参加するとよいでしょう。金融機関にはESG投資を後押しする部門があり、環境投資をしたい企業とのマッチングを後押ししてもらえることがあります。
③必要なスキルの棚卸・ノウハウを持つ人材の確保する
次に、産業用自家発電に必要なスキルの棚卸しと、ノウハウを持つ人材の確保を進めます。同時に、太陽光パネルの設置工事はできても、制御に関するプログラムや受電盤についての知識を持つ人がいないなど、自社でできること、できないことを棚卸しします。
④自社を取り巻くパートナー関係の構築
もし社内に適切な人材がいない場合には、外部の事業者とパートナー関係を構築するとよいでしょう。例えば、過去に同じ現場で施工したことのある事業者を紹介してもらったり、自社にないスキルを持った企業と組んだりしながら、ソリューションを提供します。
⑤提案
自家消費は太陽光発電システムを納入したあとも顧客との関わりが続きます。導入時のソリューション提案だけでなく、長く伴走する中でサービスを拡張するための提案を継続していきましょう。
⑥施工
最後のステップは施工です。施工時にもっとも注意したいのが、施工品質です。太陽光発電システムは直流高電圧で動いているため、品質管理を怠ると大きな事故につながりかねません。施工時は十分に建物や他に使用している設備について理解し、品質確保に努めましょう。
技術力と経験の積み重ねが大事。まずは小さな成功体験から
ここまで見てきたように、EPC事業者が産業用自家消費市場への参入を成功させるには、技術力の向上と実践的な経験が不可欠です。その際注意したいのが、小さな成功体験から積み上げていくことです。
知識やノウハウの蓄積が少ないEPC事業者は、最初から大きなシステムを取り扱おうとするのではなく、最小限必要なシステムの提案からスタートするとよいでしょう。
例えば、1日500kWhの電力を消費する顧客がいるとします。このうち、電力使用のピーク時間は多くても1〜2時間で、その他の時間帯は電力使用量が激減するとしたら、安易に500kWhの発電量を生み出すシステムを提案するのではなくピーク時間をまかなえるだけの電力量があれば十分です。
このように、初期は必要最低限のシステムを導入し、そこから必要に応じて拡張していく提案をすれば、経験値の少ないEPC事業者でも無理なく成功体験を積み上げることができます。
ビジネスパートナーとの信頼関係を構築する
EPC事業者の技術力の向上や経験の積み重ねに加え、ビジネスパートナーとの信頼関係の構築も、市場参入を成功させるために重要なポイントです。
自家消費市場参入へのハードルを上げているのは、受電盤の取扱いの難しさです。受電盤に関する知識や工事の経験が社内にない場合、既存の設備で受電盤を管理している電気主任技術者と連携することで、市場参入へのハードルは下がります。
パートナーとの連携は、顧客との信頼関係にもつながります。受電盤を管理してきた電気主任技術者は長年にわたって諸々のエネルギー問題の解決を通じて顧客との信頼関係を築いている可能性が高く、そうした技術者と連携していることで顧客にも受け入れられやすくなります。
このように自家消費市場に新規参入したEPC事業者が成功を収めるには、技術的な知識の獲得や外部パートナーとの連携が有功です。
自家消費はパワーコンディショナーと保護継電器があればできるわけではありません。発電量と消費量を比較し、最適な出力を制御する「コントローラー」を使う必要があります。
コントローラーを操作するには、どのような状態になったら出力を上げ下げするのかプログラムを組む必要があります。コントローラーの制御プログラムによってシステムの良し悪しが決まるため、EPC事業者はプログラムの知識を覚える必要があります。
また、顧客には、エネルギーの使用状況の変更された場合のパラメータ変更など、煩わしい操作もお願いしなくてはなりません。これらを解決して、お客様の信頼を得ることはとても重要です。
完全自家消費システムを活用すれば、コントローラの制御知識やお客様の煩雑なオペレーション負担をかけずに、最大発電量を確保するシステムの構築も可能です。以下OSSのソリューションを見てみましょう。
自家消費市場参入をサポートするOSSのソリューション
オムロン ソーシアルソリューションズ(以下、OSS)は、カーボンニュートラルや再生可能エネルギーの分野で社会課題を解決する会社です。私たちはソリューションパートナーとしてEPC事業者に寄り添い、市場に積極的に参加いただくことで太陽光発電市場を拡大し、共にカーボンニュートラルを実現したいと考えています。
OSSでは、自家消費市場に参入するEPC事業者に対し、手厚いサポートを行っています。例えば、自家消費システム導入後のオンサイト長期保証です。機器のトラブルが発生した場合、多くの場合トラブルが起きた機器をメーカーに送って修理をします。OSSは全国140カ所に拠点を設け、機器トラブルが起こった際はエンジニアが現場に駆けつけ、点検・保守を行います。それ以外にも、有償でシミュレーションの依頼やシステム構成に関する質問などを受け付けるなど、EPC事業者が事業を軌道に乗せるための支援をしています。
また、ポータルサイトでのお役立ちコンテンツの発信や、定期的なウェビナーでの情報発信などもEPC向けのサポートの一つです。技術ノウハウや、提案ノウハウなどを余すところなく届け、OSSでは、EPC事業者が完全自家消費市場に参入しやすいように、積極的なサポートを行っています。
市場参入障壁の1つとして、制御技術に関する知識が挙げられます。例えば、工場の稼働時間中と昼休み、終業後では、電力消費量が異なります。こうしたシステムの稼働状況を管理するためには、プログラミングをして発電を制御しなければなりません。OSSが提供するソリューションはこうした複雑な設定は不要でシステムを制御することが可能です。
また、基本的な機器の使用方法や施工のポイントを動画コンテンツで解説。EPC事業者がシステム導入時に困りがちな知識やノウハウについて、わかりやすく説明します。製品ページにも、製品スペックだけでなくEPC事業者にとって役立つ情報を掲載し、市場参入をサポートしています。
太陽光発電システムについて、お気軽にお問い合わせください