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産業用太陽光発電の今後に将来性はある!考えるべき選択肢を解説

太陽光パネル

2024.04.24
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太陽光発電は、市場に登場してからまだ30年余りという比較的新しい技術です。投資に関しては、まだ一度も完全に終了した例がないこともあり、将来への不安を感じる投資家もいるかもしれません。この不確実性に対処するため、太陽光発電への投資を検討する際には、将来への展望はもちろん、終わる時の出口戦略も含めて総合的に考えることが重要です。

この記事では、産業用太陽光発電の歴史を振り返りながら、今後の展望について解説します。これから産業用太陽光発電を始めたい方や、すでに事業を展開している方にとって、有益な情報となるでしょう。

産業用太陽光発電の今後に将来性はあるか?

市街地の日の出を見る人たち

産業用太陽光発電の将来性について議論する上で、FIT制度(固定価格買取制度)は重要な要素として挙げられます。この制度のもとでは、住宅用太陽光発電は10年間、そして産業用太陽光発電は20年間、固定価格で発電した電気が買い取られることになっています。しかし、近年は売電価格の下落が見られ、特に2019年から2021年にかけては住宅用と産業用双方で価格が下がっています。このような価格の下降傾向を受けて、一部では産業用太陽光発電の将来性に疑問を投げかける声も聞かれるようになりました。

産業用太陽光発電のFIT価格の動向(2009~2024年)

産業用太陽光発電の売電が2009年に初めて制度化されて以来、産業用太陽光発電の売電価格は徐々に下降する傾向にあります。一例として産業用太陽光発電(10kW以上50kW未満)の買取価格の推移を紹介します。2012年の40円/kWh(税別)から始まり、2024年現在では10円/kWh(税別)にまで低下しています。

価格
2012年 40円/kWh(税別)
2013年 36円/kWh(税別)
2014年 32円/kWh(税別)
2015年 29円/kWh(税別)
2016年 24円/kWh(税別)
2017年 21円/kWh(税別)
2018年 18円/kWh(税別)
2019年 14円/kWh(税別)
2020年 13円/kWh(税別)
2021年 12円/kWh(税別)
2022年 11円/kWh(税別)
2023年 10円/kWh(税別)
2024年 10円/kWh(税別)

産業用太陽光発電の今後の売電価格

産業用太陽光発電の売電価格の下落は、設置費用の低下が大きく影響しています。具体的には、2012年から2020年の間に設置費用が平均42.1万円/kWから25.3万円/kWへと大幅に減少しました。この設置費用の下降は、売電価格を決定する重要な要因の一つです。

売電価格は下落が続くものの、設置費用も低下していますので、取り組み方次第で初期費用の回収や利益を獲得する可能性は十分に残っています。産業用太陽光発電の将来性は依然として高く評価されています。

(参考情報)住宅用太陽光発電の今後の売電価格

住宅用太陽光発電の設置条件は以前に比べて厳しくなっていますが、技術の進歩により設置コストの低下と性能の向上が実現されています。2012年の設置コストが43.1万円/kWだったのに対し、2020年には28.6万円/kWまで下落しました。コストの低下は、初期投資の回収を現実的なものにしています。さらに、蓄電池を組み合わせることで、自家発電した電力の利用効率を高めることができます。

クリーンエネルギーへの需要が高まる中、住宅用太陽光発電は、持続可能なエネルギー源としての地位を確立しつつあります。そのため、この分野の将来性は明るいと考えられています。産業用太陽光発電への投資は、環境への配慮と経済性の両立を目指す賢明な選択肢と言えるでしょう。

産業用太陽光発電の国内市場動向

指で描く市場が大きくなるイメージ

富士経済の調査を元に国内市場の動向を紹介します。産業用太陽光発電の全体の市場規模は、2009年の余剰電力買取制度導入や2012年のFIT制度(固定価格買取制度)の開始を契機に大きく拡大しました。その後、買取単価の低下などの影響を受け、2015年に市場がピークを迎えた後からしばらくは縮小傾向にありました。しかし、2023年頃からは自家消費型の拡大を受け、全体の市場規模も再び拡大していくと予想されています。

自家消費型の太陽光発電市場は2017年度から拡大を続け、今後も増加が見込まれています。具体的な規模感として、2019年度の自家消費型市場規模が2,361億円であったのに対し、2030年度には6,277億円にまで成長すると予測されています。さらに、2030年度には家庭用太陽光発電の100%、産業用太陽光発電の60%が自家消費型に転換すると見込まれています。

投資回収期間の短期化

産業用太陽光発電市場では、FIT制度を活用した全量売電型と比べ、自家消費型太陽光発電の方が投資回収期間が短くなる事例が増加しています。この傾向は、システム導入コストの低下、補助金や支援制度の拡大、FIT制度における買取価格の低下、10kWから50kW規模の全量売電制度の廃止、および電気料金の上昇など、複数の要因によって支えられています。この結果、2030年度には産業用太陽光発電の60%が自家消費型になると予測されており、市場の顕著な変化を示しています。

第三者所有モデル市場の成長

2017年度以降、自家消費を目的とした第三者所有モデルの市場が成長しています。このモデルの特徴として、電力消費者は太陽光発電システムを直接所有する必要がありません。他社によって設置されたシステムから電気を使用し、その使用に対する料金を支払う方式を取ります。

PPAモデルとリースモデルの二つのタイプが存在します。PPAモデルでは、事業者が顧客の建物に太陽光発電システムや蓄電池を設置します。顧客はこれを利用して、安い電気料金を支払うことができます。一方、リースモデルでは、事業者が顧客に太陽光発電システムを貸与します。これらのモデルは初期費用をかけることなく、電気料金の削減や環境への貢献が見込めると好評で、導入が増加しています。

ただし、太陽光発電の導入コストが低下していることから、第三者所有モデルのメリットが減少する可能性もあります。それでも、2030年度の市場規模は2019年度比で27.1倍にあたる1,571億円に達すると予測されており、市場の将来性は依然として高いと考えられています。

産業用太陽光発電の今後に影響する、企業の脱炭素化と政府の再エネ施策

SDGsを考える人々のイメージ

これまで環境意識の高い経営は、一般的に大手企業に限られているという認識がありました。しかし、現在では企業の規模に関わらず、すべての企業が環境対策を講じるべき時代に突入しています。この変化は、産業用太陽光発電の未来にも大きな影響を及ぼしています。したがって、この流れをしっかりと理解して、産業用太陽光発電の運営にも取り入れていくことが重要です。

省エネ法改正の影響

2023年4月に省エネ法が改正され、年間原油換算で1,500kl以上のエネルギーを使用する約12,000社の企業に対して、CO2を排出しないエネルギー導入の目標策定が義務付けられました。この改正により、対象となる企業は再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力など)の導入目標を年に1回提出することが必要となります。

もし取り組みが不十分な場合、国は立ち入り検査や指導を行い、改善が見られなければ罰金や企業名の公表も検討されることになります。以前の省エネ法では、再生可能エネルギーの目標使用割合の設定は求められていなかったため、この改正はさまざまな企業に再生可能エネルギーの活用と脱炭素化に向けた取り組みを進める新たな課題をもたらしました。

RE100企業の経営戦略

多くの大手企業が「RE100」に加盟し、事業で使用するエネルギーを全て再生可能エネルギーへと転換することを目指しています。これらの企業は、取引先を選定する際にも、再生可能エネルギーや脱炭素化の取り組みを重視する傾向があります。大手自動車メーカーの中には、主要な取引先に脱炭素化を求める企業も出始めています。このような大企業からの圧力が他の企業に波及することで、中小企業における脱炭素化の取り組みも加速する可能性があると考えられます。

今から産業用太陽光発電を始めても良いのか?

太陽光パネルを点検する人

産業用太陽光発電の導入を検討している場合、太陽光パネルの性能が向上している点は重要なポイントです。太陽光パネルの変換効率は年々向上しており、1990年代には僅か10%台でしたが、2000年以降には20%を超える効率を出す製品が増えてきました。この大電流化の加速により、産業用太陽光発電事業の収益性向上が期待できます。

加えて、太陽光パネルの一般的な寿命は約30年にも及びますが、技術進歩によるさらなる長寿命化も期待されています。この技術進歩を踏まえれば、産業用太陽光発電は今後も多くのメリットがあると言えるでしょう。また、産業用太陽光発電の設置形態においては、大規模地上設置型ではFIPやNON-FIT型が主流であり、法人施設では完全自家消費型が主流になっている傾向があります。

コストパフォーマンスは改善傾向

産業用太陽光発電の導入コストは技術進歩により年々低下しています。低コスト化が進むことで、FIT制度の買取価格が下落しても、投資費用の回収は十分に可能となっています。特に、50kW以上の高圧産業用太陽光発電システムでは全量売電が可能であり、これにより初期投資の早期回収が実現しています。このように、産業用太陽光発電のコストパフォーマンスは向上しており、その今後の展開が大いに期待されます。

これまでを振り返る|太陽光発電市場の主要ニュース

プレゼンをするビジネスマン

太陽光発電の売電が住宅向けで2009年に開始されて以来、太陽光発電の市場は多くのニュースで賑わってきました。産業用太陽光発電の未来を考える上で、これまでの歴史を把握しておくことが非常に重要です。現在の市場を理解し、将来への洞察を深めましょう。これまでの主要なニュースを解説します。

電力会社による買取中断・接続保留問題の解決

太陽光発電を売電するためには電力会社の送電網への接続が必要です。しかし、過去にはこの接続に関する保留問題が度々発生していました。特に、2014年の九州電力による買取中断「九電ショック」は大きな話題となりました。系統接続の申込みが急増し、電力需給バランスの崩壊を危惧したことが原因で生じました。

2014年9月24日、九州電力は新規及び既存の太陽光発電の系統接続回答を保留にしました。この影響は他の電力会社にも波及しました。この一連の出来事により、系統制約の問題が明らかになり、それに対する改革が進められました。現在では、この問題は全国的に解消されており、太陽光発電の新規参入も再び可能になっています。

FIT法改正の影響

2017年4月に行われた改正FIT法の施行は、産業用太陽光発電市場に大きな影響を与えました。この改正には主に三つのポイントがあります。まず、発電事業者の申請方法が従来の設備認定から、事業計画の詳細確認を含む「事業認定」へと移行し、より複雑化しました。次に、初期コストが増加しました。これは発電設備の周囲にフェンスを設置する義務や、事業者名を記した標識の設置が義務付けられたことによるものです。

さらに、設備の保守点検や維持管理が義務化されたことで、ランニングコストも増加しました。これらの変更は、発電事業者に対してより安定した発電を促すもので、より高い意識が求められることになりました。

廃棄費用の新ルール

2018年7月に施行された新たな措置により、産業用太陽光発電所の廃棄費用の積立が義務化されました。この措置の目的は、産業用太陽光発電の売電期間である20年が終了した後、使用済みシステムが放置されることを防ぐためです。この結果、発電事業者は将来的な撤去費用を積み立てることが求められるようになりました。この制度は2022年4月から正式に開始されています。産業用太陽光発電を始める際、この新ルールは重要な考慮点となり、より計画的な事業運営が必要とされています。

FIPの導入と効果

2022年4年、再生可能エネルギーを支援する新たな制度である「FIP(Feed-in Premium)制度」がスタートしました。この制度は、従来のFIT制度とは異なり、電力の市場価格に連動して売電価格が変動する仕組みを採用しています。この制度はヨーロッパで既に導入されていたもので、日本では主に中規模以上の産業用太陽光発電プロジェクトが対象となっています。FIP制度では、市場価格の動向に応じて変動する売電価格を通じて、再生可能エネルギーの更なる普及を促進することを目指しています。

FIPの対象設備

FIP制度の対象となる設備は年度ごとに拡大されており、特に50kW以上の太陽光発電所では、FIP制度の選択が任意とされています。この制度の適用範囲は、2022年度から1,000kW以上の大規模設備がFIP入札の対象となり、その後段階的に拡大され、2023年度からは500kW以上の設備が、2024年度からは250kW以上の設備がFIP制度の適用を受けることになりました。加えて、50kW以上かつ1,000kW未満の設備については、事業者が自らの選択により、FIT制度かFIP制度のどちらかを採用することが可能です。このように、FIP制度の導入と拡大は、産業用太陽光発電事業者にとって柔軟な選択肢を提供し、再生可能エネルギーのさらなる普及に貢献しています。

FITとFIPの比較

FIT制度は、政府が設定した固定価格で再生可能エネルギーの電力を買い取る仕組みであり、太陽光発電事業者に安定した収入を確保することを可能にします。一方、FIP制度は市場価格にプレミアムを上乗せして発電事業者に支払う方法で、市場価格の変動に応じてプレミアムが変わり、需要が高い時にはより多くの収益を期待できます。

これらの制度は、買取中断や接続保留の問題が解決された現在、産業用太陽光発電への参入をより魅力的な選択肢としています。そのため、発電事業者はFIT制度とFIP制度の違いを比較し、自社の戦略に最適な選択を行うことが重要です。

FIPによる利益増加の可能性

FIP制度の下では、事業者は蓄電池を活用することで低価格時には売電を控え、高価格時に売電することで利益を増やすことが可能です。その他の特徴として、事業者は売電先を自由に選択できるため、FIT制度とは異なり、卸市場や小売事業者などへ直接売電することも可能です。FIP制度は上手に活用することで、事業者の利益を増加できる大きな可能性を秘めています。

増える出力制御

出力制御とは、電力が過剰に発生した際に発電量を抑制することで、電力需給のバランスを保つために不可欠な措置です。需給バランスの崩れによる電圧や周波数の不安定さから起きる電子機器の故障や、自動停止を防ぎます。最悪の場合には、大規模停電を引き起こす可能性もありますので、避けるために必要とされています。

2022年度には北海道電力、東北電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力の6社が出力制御を実施しており、2023年度には中部電力、北陸電力、関西電力を加えた9社で実施されるようになりました。出力制御の増加は、特に太陽光発電の導入量増加に伴い起きています。太陽光発電では、晴れの日には一気に発電量が増えるものの、火力発電のように細かく調整することが難しいため、過剰発電時には出力制御が必要とされます。この措置は、年末年始やゴールデンウィークなど電力需要が少ない時期に限らず、発電量が過剰になるたびに実施されます。

再エネ特措法に基づき、FIT制度で売電している発電事業者は出力制御の要請に従わなければならず、これにより売電収入が下がる可能性があります。

太陽光発電の導入量増加による出力制御の必要性の高まりと、それに伴う発電事業者への影響は、電力供給の安定性と再生可能エネルギーの持続可能な利用の観点から、今後の重要な課題となっています。

【FIT終了後】太陽光発電市場の今後の展望

日の出を背景とした野立ての太陽光パネル

FIT制度終了後の産業用太陽光発電市場には不確実性が存在し、事業者は売電価格や市場環境の変化に注目しています。この制度には20年間の固定買取期間が設けられており、その期間が終了すると電力会社の買取義務はなくなります。特に産業用太陽光発電においては、20年の期間で初期費用の回収が終わると予想され、その後の利益最大化が重要な課題となります。

FIT制度が終了した後は、電気料金の高騰や自家消費型への移行の可能性もあり、これらの要因により経済的メリットが高まることが期待されます。これらの点を踏まえ、今後の産業用太陽光発電市場における動向についてより詳しく解説していきます。

売電価格

産業用太陽光発電のFIT制度が20年間で終了すると、その後の売電価格に関する問題が浮上します。この問題には、既に10年間の期間が終了した住宅用太陽光発電のFIT制度が参考になりました。住宅用のFIT制度が終了した後、売電価格は大幅に下がり、事業者は既存の電力会社へ売電を継続するか、新たな売電先に乗り換えるかの選択を迫られました。この傾向は産業用太陽光発電にも当てはまる可能性が高いです。

経済産業省は、FIT終了後の売電価格は11円/kWh前後になると予想しています。この大幅な価格低下を見据え、事業者はFIT制度が終了するまでに投資を回収し、その後の設備更新や売却を含む運用計画を立てることが重要です。

特に、産業用太陽光発電を新規に始める場合、将来の売電価格の変動や市場動向を慎重に分析し、事業計画に反映させる必要があります。これらの動向は、産業用太陽光発電の収益性に大きな影響を与えるため、事業者は市場の変化に柔軟に対応する戦略を練ることが重要です。

FIPにより売電価格が高騰する可能性

2022年から開始された市場連動型の買取制度であるFIPでは、電力市場価格と連動して、その価格に基づいて売電価格が決定されます。近年、JEPX(電力卸売市場)での電気の取引価格が高騰しており、この傾向はFIPによる売電価格の上昇につながる可能性があります。

このような市場価格の動向は、FIT制度終了後の産業用太陽光発電の売電価格に大きな影響を与える重要な要素となっています。そのため、事業者はこの新しい制度下での市場価格動向を注視し、効果的な売電戦略を練る必要があります。

自家消費型の成長

FIT制度の終了に伴う売電価格の低下は、自家消費型太陽光発電への需要増加に大きな影響を与えています。この状況は、多くの住宅用太陽光発電利用者が蓄電池の導入を通じて生成した電力の自家消費を選択する動きにつながっています。しかし、郊外の産業用太陽光発電の場合、自家消費への切り替えは技術的および経済的な課題に直面しています。それでも、技術進歩による導入費用の低下、FIT制度の買取価格低下、および電気料金の上昇が、自家消費型への移行を促進しています。

さらに、国や地方自治体による支援体制の拡大は、自家消費型太陽光発電の普及を加速させると予想されます。このため、産業用太陽光発電事業者は、オフサイトPPAなどの新しいビジネスモデルを活用することも検討する必要があります。

住宅用「2019年問題」から考える産業用太陽光発電の今後

太陽光パネルが設置された住宅

「2019年問題」とは、2009年に開始された住宅用太陽光発電のFIT制度が終了し、売電価格が不透明となった状況を指します。この時、多くの電力会社は8円~12円/kWhの新たな買取プランを提供し始めました。この状況は、産業用太陽光発電の将来を考える上で重要な示唆を与えています。

産業用太陽光発電のFIT制度の期間は2032年から終了する見通しです。「2019年問題」の例から推測すると、FIT制度の終了後には「卒FIT向け買取プラン」が提供される可能性が高いと予想されます。しかし、買取価格は低下が予想されます。そのため、法人企業はFIT制度の終了に備え、自家消費型への転換や設備の売却など、運用戦略の見直しを検討する必要があります。

【FIT終了後】企業が考えるべき選択肢

パソコン画面を見ながら話をするビジネスマン

FIT制度が終了した後に企業が考えるべき、取るべき選択肢について解説します。

オフサイトPPAの活用

FIT制度の終了後、産業用太陽光発電市場では「オフサイトPPAモデル」の活用が注目を集めています。PPA(Power Purchase Agreement)は、初期費用0円で太陽光発電を設置できるモデルです。PPAの事業者が依頼者の施設の屋根や敷地内に太陽光発電設備を設置し、管理しながら発電した電力を有償で提供します。契約期間が終了すると、発電設備は契約者に移ります。

PPAにはオンサイトモデルとオフサイトモデルの2つのモデルがあります。オンサイトモデルは屋根に設置される自家消費もする発電所を指し、オフサイトモデルとは野立てで設置された投資用発電所を指します。オフサイトモデルのPPAは、FIT制度の終了後に投資用太陽光発電を活用できる新たなビジネスとして特に期待されています。

また、PPA事業者が電気の仕入れに使える太陽光発電所を買い取る可能性もあると予想されていて、太陽光発電投資の基本的な出口戦略である売却の流れは今後も変わらないと見られています。

太陽光発電のセカンダリー市場動向

太陽光発電のセカンダリー市場が拡大し、発電所の売却は現実的な選択肢となっています。この市場の成長は、中古太陽電池モジュールへの需要増加からも明らかであり、投資家や新電力事業者が発電所購入に興味を持っていることが示されています。発電所の売却にあたっては、過去の発電実績、施工品質、メンテナンス実績を売却価格に反映できることが大きなメリットです。

特に、土地を含む設備全体の売却は、モジュールのみの売却に比べてより高い売却価格を期待できます。発電量の実績データは売値交渉において有利に働くため、産業用太陽光発電の所有者にとっては重要な情報です。このような市場の動向は、産業用太陽光発電事業の将来的な運用計画や投資戦略を検討する上で考慮すべき要素となっています。

発電所の廃棄

FIT制度終了後、企業は発電所の廃棄を選択肢として検討する必要があります。廃棄プロセスには、太陽光発電設備の撤去と土地の原状復帰が含まれます。そして、これらの費用はFIT制度の買取価格の設定時に考慮されています。FIT制度を利用するために必要な事業計画の作成時には、廃棄費用とその積立額を明記することが義務付けられており、特に10kW未満を除く全ての設備で廃棄費用の報告が必要です。

企業は売電収入を全て使うのではなく、廃棄時に備えて費用を積み立てておく必要があります。FIT制度終了後の産業用太陽光発電事業において、経済的な負担を最小限に抑えつつ、環境的責任を果たすためには不可欠な取り組みと言えるでしょう。産業用太陽光発電所の適切な廃棄計画を立てることで、企業は持続可能な運営を実現して、将来的なリスクを管理できます。

まとめ

産業用太陽光発電市場は、売電価格の低下が予想される一方で、設置費用の低下、FIP導入などの新収益モデルや脱炭素化への企業動向、政府の再エネ推進施策などポジティブな動きも見られます。これらは産業用太陽光発電の将来性を示唆しており、事業が持続可能であることを意味しています。

産業用太陽光発電へのアプローチとして、売電だけでなく自家消費の拡大も重要です。これにより電気料金の削減や環境経営によるブランド価値の向上が期待できます。

自家消費を行った際、具体的な導入効果に関しては、シミュレーションを通じて評価することが可能です。興味をお持ちの方は、産業用自家消費型太陽光発電シミュレーションツールの「SelFirst」をご活用下さい。

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