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自家消費システムの需要家様への提案ポイント

2024.04.24
セミナーアーカイブ

自家消費提案のポイントは大きく分けて3つあります。それは、自家消費システムのメリット、モデル、そしてサポートです。

需要家様へ自家消費を提案する際には、まず自家消費のメリットをお伝えして興味、関心、意欲喚起を行います。自家消費をすることで得られる利点を示し、逆に自家消費をしない場合に生じる問題点も示します。

メリットを説明した後は、さまざまな自家消費の形態やモデルを紹介し、導入時の課題を解決する方法を説明します。例えば、「メリットは理解できるが、予算が足りない」という課題が出た場合には、「このモデルなら予算内で導入できます」といった具体的な解決策を提示します。

最後に、自家消費の導入を支援するための具体的なサポートについて説明します。具体的には、補助金や税制優遇について触れ、導入時の支援を紹介します。

ここから、3つのポイントについて具体的に説明をしていきます。

まず1つ目は自家消費のメリットです。自家消費には大きく3つのメリットがあります。
「環境負荷軽減」、「電気代削減」、「BCP対策」です。特に、「環境負担軽減」は最も重要視されるメリットとなります。

1.自家消費のメリットー環境負荷軽減

2020年10月、当時の菅義偉首相は、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すことを宣言しました。さらに、2021年4月には、2030年度までに2013年度比で温室効果ガスを46%削減し、さらには50%の削減を目指すことを表明しました。

これらの目標を実現するため、多くの企業や団体がCO2排出量削減に向けた取り組みを進めています。実際、日本の企業は、持続可能な社会を目指す国際的な枠組みに積極的に参画しており、その参加数は世界トップレベルです。また、日本独自の中小企業版RE100である「RE Action」にも、多くの団体が参加を表明しています。

このような状況から、現在のビジネス提案においては、「環境負荷軽減」を具体的な施策として示すことが非常に重要となっています。環境負荷軽減の手段として、自社が「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」への支持を表明している企業や、RE100に参加、または参加を検討している企業に対して、太陽光発電を活用した自家消費を提案することが効果的です。太陽光発電を用いることで、温室効果ガス排出の削減を実現し、企業の環境目標達成に寄与する取り組みを進めることができます。

また、現時点で自社がTCFDやRE100への参加意思を示していない場合でも、取引先企業から環境対応を求められる可能性が高まっています。このような要請への対策として、自家消費を積極的に推進することは、競争力の維持や取引先との信頼構築においても有効です。

上記に表示しているのは環境省が示すサプライチェーン排出量の考え方に対する資料の抜粋です。
サプライチェーン排出量とは、事業者自身の排出だけでなく、事業活動に関係するあらゆる排出を合計したものを指します。

具体的には原材料調達・製造・物流・販売・廃棄など、事業の⼀連の流れ全体から発⽣する温室効果ガス排出量のことです。これらはscope1,2,3の3つに分けられており、scope1,2は自社の排出量、scope3は自社の活動に関連する他社の排出量です。

サプライチェーン排出量は先ほどのTCFDの最終報告書での開示や、SBT、RE100での削減目標の設定が求められます。
またCDP、GRIスタンダードによる開示要求もなされており、企業評価にかかわってくるため、ESG投資の呼び込みなど資金調達の上でも対応が必要です。

これらのことから、自社はもちろん、サプライヤーに対しても排出量削減を求める企業が増加しています。
自社だけでなく、サプライヤーも含めたサプライチェーン全体で環境負荷の軽減に取り組む必要があります。中小企業にとって、CO2削減に取り組むことは、企業への魅力を高めることにつながります。

2.自家消費のメリットー電気代削減

2つ目のメリットは電気代削減です。
電気代の削減には「従量料金の削減」と「基本料金の削減」の大きく2つがあります。
まず「従量料金の削減」ですが、今までに100%電力会社から購入していた電気のうち、半分を自家発電で賄うことができれば、単純に電力会社からの購入分が減るので、その分の電気代を削減できます。

また、電気の使用量を減らすことで従量料金の削減も可能です。例えば、太陽光パネルを建物の屋根に設置することで、遮熱効果が生まれるため、空調の使用量を減らすことができます。
近年の夏の暑さで空調は必須なので、その使用量を減らす対策として有効です。

次に基本料金の削減についてです。
高圧の場合、基本料金は一般的に、「基本料金単価×契約電力×力率割引」となります。
この中で契約電力は、当月を含む過去1年間の各月の最大需要電力のうちで最も大きい値となります。
最大需要電力、いわゆるデマンド値とは、30分毎の平均使用電力のうち、月間で最も大きい値を基準に設定されます。

つまり平均が一日50kWhだったとしても、30分でも60kWhを使用した日があった場合、契約電力は60kWhとなります。

このため、基本料金を削減するためには、特にデマンド値を抑えることが重要です。このデマンド値を抑えるためにおすすめなのが蓄電池を組み合わせたシステムの導入です。
電力消費量が少ないときに発電した電気を蓄電池に蓄え、消費量が多いときに放電して電力会社からの購入量を減らすことで、デマンド値が抑えられます。

3.自家消費のメリットーBCP対策

自家消費の利点の最後は、BCP対策に関連しています。日本は自然災害が多い国であり、BCP対策は不可欠です。太陽光発電システムを導入し、発電した電力を自社で利用できるようにしておくことで、予期せぬ停電が発生しても、サーバーやPCへの電力供給が可能となります。

さらに、蓄電池と組み合わせることで、長期間の停電にも対応できます。

過去の地震や台風による長期停電の際、ニュースなどでよく報じられていたように、地域の方々へ電気を提供し、スマートフォンなどの充電等にすることもできます。

以上が自家消費の3つのメリットです。

4. 自家消費のモデルー導入時の課題の解決

自家消費のメリットを理解し、興味を持っていただいたとしても、実際の導入には予算や設置場所などの課題が伴うことがあります。その際に提案するのが、それらを解決する自家消費のモデルです。

自家消費にはさまざまなモデルが存在します。ここでは、特に初期投資と設置場所の観点から主なモデルを解説します。

まず、初期投資の有無により、PPA(電力購入契約)と自己所有に分類されます。さらに、設置場所が自社敷地内か敷地外かによって、それぞれオンサイトPPA、オフサイトPPA、自己託送、屋根置きに分類されます。

最もシンプルなモデルは自己所有の屋根置きですが、これは長期的に見ると投資回収率が良い一方で、初期費用が必要であり、十分な設置スペースが必要です。そのため、初期費用が用意できない需要家には、初期投資不要のPPAモデルを提案し、設置スペースがない場合にはオフサイトPPAや自己託送を提案します。

一方、発電事業者にとって、PPAはリース会社やPPS(特定規模電気事業者)とのビジネス・ファイナンススキームの構築が必要であり、自己託送では詳細な発電計画の作成や、インバランスが発生した場合のペナルティ支払い、または発生防止のための制御が必要となるなど、取り組む上での課題も存在します。

それでも、PPAを含む複数の選択肢を持つことで、顧客に対して柔軟かつ最適な提案を行うことが可能になります。こうしたモデルを活用し、顧客のニーズや条件に応じた解決策を提供することが重要です。

PPAモデルを用いての太陽光発電案件の提案ポイントについては、『EPC事業者必見!初期投資0円で始める太陽光発電PPAモデル提案ガイド』で解説しています。

自家消費のサポートに関しては、メリットとモデルの説明の後、最後に補助金や税制優遇の情報を提供することが効果的です。これらの支援策は、導入のハードルを下げ、より多くの企業や個人が自家消費システムを採用するきっかけとなる可能性があります。

補助金や税制優遇を活用することで、初期投資を抑え、経済的なメリットを強調することができます。これらの情報を最後に提案することで、導入を迷っている企業にとって、最後の一押しとなるでしょう。

令和4年度においては、国が脱炭素社会の実現に取り組む中、多くの補助金が期待されます。現段階では概算要求の段階のものも含まれていますが、特に注目すべきは「需要家主導による太陽光発電導入加速化補助金」です。

この補助金は、非FIT(固定価格買取制度)、非FIP(固定価格買取プレミアム制度)、非自己託送の案件に適用されるため、需要家への提案に活用することができます。

また、税制優遇の活用も提案に加えることが可能です。例えば、カーボンニュートラルに向けた投資促進税制は令和5年度末まで適用されており、中小企業に対する税制優遇措置も令和2年度末から2年間延長され、令和4年度末まで継続されています。

これらの補助金や税制優遇の情報を活用して、導入を検討している企業への提案を強化しましょう。

最終的には、需要家のニーズや状況に応じて、提案内容を組み合わせたり順序を変更したりしながら、適切な提案を行うことが重要です。

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