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自家消費システムの需要家様への提案ポイント
自家消費提案のポイントは大きく分けて3つあります。それは、自家消費システムのメリット、モデル、そしてサポートです。
需要家様へ自家消費を提案する際には、まず自家消費のメリットをお伝えして興味、関心、意欲喚起を行います。自家消費をすることで得られる利点を示し、逆に自家消費をしない場合に生じる問題点も示します。
メリットを説明した後は、さまざまな自家消費の形態やモデルを紹介し、導入時の課題を解決する方法を説明します。需要家が「メリットは理解できるけど、予算が足りない」という課題を提起した場合には、「心配いりません。このモデルなら大丈夫です」といった解決策を提示します。
最後に、自家消費の導入を支援するための具体的なサポートについて説明します。具体的には、補助金や税制優遇について説明し、導入時の支援を紹介します。
ここから、3つのポイントについて具体的に説明をしていきます。
まず一つ目自家消費のメリットです。自家消費のメリットは大きく3つあり、「環境負荷軽減」、「電気代削減」、「BCP対策」です。現時点で私が最も重要視しているのは、「環境への負担を減らすこと」です。
1.自家消費のメリットー環境負荷軽減
2020年10月、当時総理大臣の菅さんが、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言し、2021年4月には、2030年度に2013年度比で温室効果ガス46%削減を目指すこと、さらに50%の高みに向けて挑戦することを表明しました。
この目標の実現に向けて、多くの企業、団体がCO2排出量削減に取り組んでいます。
実際、日本の持続可能な社会を目指す国際的な枠組みの参画企業は世界トップレベル、かつ日本独自の中小企業版RE100であるRE Actionにも多くの団体が参加を表明しています。
このことからも、今自家消費の提案をする上では「環境負荷軽減」の方法として提案するのが非常に重要です。
提案される手法は次の通りです。自社がTCFDの支持を公に表明している、またはRE100に参加、あるいは参加を検討している企業に向けて、太陽光発電を用いた自家消費によって環境負荷を軽減する取組みを実施することが可能です。たとえ現段階で自社が参加意思が無い場合でも、取引先企業からの要望が予測されるため、その対策として自家消費を推進することが賢明です。
ここに表示しているのは環境省のサプライチェーン排出量の考え方に対する資料の抜粋です。
サプライチェーン排出量とは、事業者⾃らの排出だけでなく、事業活動に関係するあらゆる排出を合計した排出量を指します。
つまり、 原材料調達・製造・物流・販売・廃棄など、⼀連の流れ全体から発⽣する温室効果ガス排出量のことで、scope1,2,3の3つに分けられており、scope1,2は自社の排出量、scope3は自社の活動に関連する他社の排出量です。
このサプライチェーン排出量は先ほどのTCFDの最終報告書での開示や、SBT、RE100での削減目標の設定が求められます。
またCDP、GRIスタンダードによる開示要求もなされており、企業評価にかかわってくるため、ESG投資の呼び込みなど資金調達の上でも対応が必要です。
これらのことから、自社はもちろん、サプライヤーに対しても排出量削減を求める企業が増加しています。
自社だけでなく、サプライヤーも含めたサプライチェーン全体で環境負荷の軽減に取り組む必要があります。中小企業にとって、CO2削減に取り組むことは、企業への魅力を高めることにつながります。
2.自家消費のメリットー電気代削減
二つ目のメリットは電気代削減です。
電気代の削減には「従量料金の削減」と「基本料金の削減」の大きく2つがあります。
まず「従量料金の削減」ですが、今までに100%電力会社から購入していた電気のうち、半分を発電した電気にすれば、単純に電力会社からの購入分が減るので電気代を削減できます。
また、電気の使用量を減らすことで従量料金の削減も可能です。太陽光パネルを建物の屋根に載せると、遮熱効果が生まれるため、空調の使用量を減らすことができます。
近年の夏の暑さで空調は必須なので、その使用量を減らす対策として有効です。
次に基本料金の削減です。
高圧の場合、基本料金は一般的に、「基本料金単価×契約電力×力率割引」となります。
契約電力は、当月を含む過去1年間の各月の最大需要電力のうちで最も大きい値となります。
最大需要電力、いわゆるデマンド値は、30分毎の平均使用電力のうち、月間で最も大きい値のことをいいます。
つまり平均が一日50kWhだったとしても、30分でも60kWhを使用した日があった場合、契約電力は60kWhとなります。
なので、基本料金は、特にデマンド値を抑えることが重要です。このデマンド値を抑えるためにおすすめなのが蓄電池を組み合わせたシステムです。
電力消費量が少ないときに発電した電気を蓄電池にためておき、消費量が多いときに放電して電力会社からの購入量を減らすこと、デマンド値が抑えられます。
3.自家消費のメリットーBCP対策
自家消費の利点の最後は、BCP対策に関連しています。日本は自然災害が多い国であり、BCP対策は不可欠です。太陽光発電システムを導入し、発電した電力を自社で利用できるようにしておけば、予期せぬ停電が発生しても、サーバーやPCへの電力供給が可能となります。
また、蓄電池と組み合わせることで、長期間の停電にも対応できます。また、過去の地震や台風で長期停電が起こった際によくニュースでも放映されていたように、地域の方々へ電気を提供し、スマホの充電等に使用していただくということも可能になります。
以上が自家消費の3つのメリットです。
提案のポイント
4. 自家消費のモデルー導入時の課題の解決
自家消費のメリットを理解し、興味を持っていただいたとしても、実際の導入には予算や設置場所などの課題が伴うことがあります。 その際に提案するのが、その課題を解決する自家消費のモデルです。
自家消費にはさまざまなモデルが存在します。ここでは、特に初期投資と設置場所の観点からモデルを示します。
まず、初期投資の有無により、PPA(電力購入契約)と自己所有に分けられます。さらに、設置場所が自社敷地内か敷地外かによって、それぞれオンサイトPPA、オフサイトPPA、自己託送、屋根置きに分類されます。
最もシンプルなモデルは自己所有の屋根置きですが、これは長期的に見ると投資回収率が良い一方で、初期費用が必要であり、十分な設置スペースが必要です。そのため、初期費用が用意できない需要家には、初期投資不要のPPAモデルを提案し、設置スペースがない場合にはオフサイトPPAや自己託送を提案します。
発電事業者にとって、PPAはリース会社やPPS(特定規模電気事業者)とのビジネス・ファイナンススキームの構築が必要であり、自己託送では詳細な発電計画の作成や、インバランスが発生した場合のペナルティ支払い、または発生防止のための制御が必要となるなど、難しい部分もありますが、ぜひ取り組んでいただきたいと考えています。PPAを含む複数の選択肢を持つことで、顧客への提案の幅が広がります。
自家消費のサポートに関しては、メリットとモデルの説明の後、最後に補助金や税制優遇の情報を提供することが効果的です。これらの支援策は、導入のハードルを下げ、より多くの企業や個人が自家消費システムを採用するきっかけとなる可能性があります。
補助金や税制優遇を活用することで、初期投資を抑え、経済的なメリットを強調することができます。これらの情報を最後に提案することで、導入を検討している方々の最後の一押しとなるでしょう。
令和4年度においては、国が脱炭素社会の実現に取り組む中、多くの補助金が期待されます。現段階では概算要求の段階のものも含まれていますが、特に注目すべきは「需要家主導による太陽光発電導入加速化補助金」です。
この補助金は、非FIT(固定価格買取制度)、非FIP(固定価格買取プレミアム制度)、非自己託送の案件に適用されるため、需要家への提案に活用することができます。
また、税制優遇の活用も提案に含めることが可能です。カーボンニュートラルに向けた投資促進税制は令和5年度末まで適用されますし、中小企業に対する税制優遇措置も令和2年度末から2年間延長され、令和4年度末まで継続されています。
これらの補助金や税制優遇の情報を活用して、導入を検討している方への提案を強化しましょう。これが自家消費を提案する際の3つのポイントです。
実際には、需要家のニーズや状況に応じて、提案内容を組み合わせたり順序を変更したりしながら、適切な提案を行うことが重要です。
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