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【卒FIT】FITの終了後はどうするべき?8つの選択肢をメリットや価格面から詳しく解説

2025.07.01
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卒FITを迎え、売電価格の大幅な下落に対する懸念の声が広がり始めています。卒FIT後の対策には、新電力会社への切り替えやオフサイトPPA、蓄電池の導入など、複数の選択肢があります。どの選択が自分に合っているのか悩まれている方も多いのではないでしょうか。本記事では、卒FITの基礎知識から、8つの選択肢について詳しく解説します。将来を見据えた最適な選択をするためにも、ぜひ参考にしてください。

目次

FIT制度の終了「卒FIT」とは?

FIT制度(固定価格買取制度)は、2012年に政府が再生可能エネルギーの普及を目的とした制度です。太陽光発電などによって生まれた余剰電力を、一定期間にわたり固定価格で買い取るための仕組みです。例えば10kW未満の住宅用太陽光発電については、買取期間が10年と定められています。その買取期間が終了することを、「卒FIT」と呼びます。卒FIT後は売電価格が大幅に下がり、収入が減るケースが多くなります。発電設備の所有者は売電先の見直しや自家消費の計画が必要となります。

FITの終了後はどうするべき?8つの選択肢

主に8つの選択肢があります。それぞれの違いを理解して、自社に最適な選択を行いましょう。

新電力会社への売電

再生可能エネルギーのFIT制度の終了により、発電者には新たな電力販売先の選定が必要となります。現在は電力自由化により多くの新電力会社が参入しており、各社が独自のプランを展開しています。ただし、対応エリアや契約条件に違いがあるため、事前の情報収集が不可欠となります。あわせて、企業としての信頼性を見極めるとともに、長期にわたって安定的に電力を買い取る体制があるかを確認することが求められます。

なお、市場全体では売電価格が下落基調にあります。売電による多大な収益を期待することには慎重であるべきです。一方で、再生可能エネルギーの需要は年々高まっているため、多くの新電力会社が今後も継続的な買取を行うと見られます。

メリット

新電力会社と契約する主なメリットの一つは、買取価格の高さです。例えば、東北電力が1kWhあたり9円であるのに対し、新電力会社では10円から11円前後の価格帯が主流となっています。この差により、売電収益の増加が見込まれます。また、多くの新電力会社は、自社サービスとのセットプランを提供しています。電気だけでなく、インターネットやガスとのセットで割引が受けられる場合もあります。既にその企業のサービスを活用している家庭や事業所であれば、セット契約による経済的なメリットはさらに大きくなります。

さらに、自治体が関与する新電力会社、例えば埼玉県深谷市の「ふっかちゃんでんき」、鳥取市の「とっとり市民電力」なども増加しています。こうした地域密着型の企業は、地元で発電し地元で消費する「地産地消」を実現し、CO2排出削減や災害時のエネルギー供給安定に貢献しています。

新電力会社の買取価格

買取価格は会社や地域によって異なるため、比較が欠かせません。多くの新電力会社がありますので、本記事では一例のみを紹介します。例えば伊藤忠エネクス株式会社の場合、東京電力管内では14.5円/kWh、中部電力管内で12.5円/kWhを提示しています。一方、RE100電力株式会社の場合、東京電力管内では11.0円/kWh、中部電力管内で10.0円/kWhです。

これらの価格は随時見直されるため、契約前に最新の情報を必ず確認しましょう。多くの新電力会社が卒FIT後の売電に対応しており、対応エリアやプラン内容に基づいて最適な選択を行うことが重要です。情報を比較検討することで、収益性の高い売電先を見極めましょう。

参考)太陽光電力買取サービス

参考)卒FIT電力買取サービス | 【公式】RE100電力株式会社

大手電力会社への売電を継続

FIT制度終了後も、元々契約していた大手電力会社への売電を継続することも、有力な選択肢の一つです。地域により利用可能な電力会社は異なりますが、大手を選べば契約は原則として自動的に更新され、特別な手続きは不要です。ただし、複数の売電プランが用意されている場合があります。例えば、北陸電力では条件の異なるプランが存在します。自動継続に頼ると買取価格が不利な場合があるため、事前に比較することが重要です。

大手電力会社における売電の最大のメリットは、手続きが簡単で安心感がある点です。一方、デメリットとして買取価格の低下により利益が減少する可能性があります。利益の最大化を目指す場合には、新電力会社への切り替えも含めて複数の選択肢を比較し、最適なプランを慎重に選びましょう。

メリット

最大のメリットは、経営基盤が安定しており、倒産リスクが低いことです。これにより、長期的な契約に安心感が得られます。また、新電力会社が進出していない地域でも、大手電力会社は広範なエリアをカバーしています。ただし、買取価格やプランは地域によって異なるため、各電力会社の公式サイトで詳細を確認することが重要です。例えば、北陸電力では「安心年間定額プラン」や「わくわく電気預かりプラン」など複数の選択肢があります。条件によっては1kWhあたり最大17円で買い取ってくれるプランも存在します。自身の地域や発電条件に適したプランを比較検討し、安定的な収益につなげましょう。

参考)わくわく電気預かりプラン(卒FITのお客さま)

大手電力会社の買取価格

FIT制度終了後は特別な手続きをしなければ、自動的に大手電力会社との契約が継続されます。各社の買取価格は異なるため、最新の情報を確認することが大切です。現時点で最も高いのは東北電力で、9円/kWhです。次いで東京電力が8.5円、北海道電力と北陸電力、関西電力が8円という水準です。

電力エリア 大手電力会社の買取価格
北海道エリア 8円
東北エリア 9円
東京エリア 8.5円
中部エリア 7円
北陸エリア 8円
関西エリア 8円
中国エリア 7.15円
四国エリア 7円
九州エリア 7円

オフサイトPPAでの売電

近年注目されているのが「オフサイトPPA(電力購入契約)」です。これは発電事業者と電力を使用する企業が、送電網を介して電力を直接取引する仕組みです。オフサイトPPAにより、発電事業者は大手電力会社よりも高単価で電力を販売する機会を得られます。一方、電力需要家は一般的な電力購入よりも低価格で電力を調達でき、コスト削減と温室効果ガス排出の抑制が可能です。

オフサイトPPAは、電力の安定供給、コスト削減、環境対応という複数の課題に同時に対応できる手法といえます。こうした背景から、卒FIT後の有力な選択肢として、多くの企業がこのPPAモデルに関心を寄せている状況です。発電事業者と電力需要家の双方にとって、持続可能な電力取引の形として今後の普及が期待されます。

卒FIT後の対応策には、オフサイトPPAに限らず、複数の選択肢があります。これからの収益性を最大化するためには、各選択肢の特性やメリットをしっかりと理解することが重要です。オムロン ソーシアルソリューションズでは、FIT制度の終了を見据えた収支計画の見直しについて、より実践的で役に立つ情報を掲載したホワイトペーパー『FIT10年目以降、どう備える?収支改善と出口戦略を考える』を提供しています。その他、機器の更新や廃棄、さらには事業承継に役立つ有益な情報を載せています。ぜひダウンロードしてご一読ください。

自家消費の切り替え

FIT制度の終了後、多くの法人が電力活用の見直しを迫られています。売電価格が下がる中、自家消費への切り替えは有効な選択肢の一つです。特に法人で発電所を保有している場合、発電した電力を自社で利用することによりコストを抑えることが可能です。電気料金が上昇している現在、そのメリットはより大きくなっています。自家消費をより活かすためには蓄電池の導入が効果的です。蓄電池があれば電力の使用タイミングを調整でき、効率的な運用が可能です。ただし、導入に際しては初期費用や耐用年数といった点にも注意が必要です。

蓄電池の活用

FITの終了後も太陽光発電を有効に活用するには、蓄電池の導入が重要です。日中に発電した電気を蓄え、夜間や天候の悪い時にも使えるようになります。太陽光パネルだけでは電力の3〜4割しかまかなえませんが、蓄電池を併用すれば7〜8割を自給可能です。これにより、電力会社から購入する電気が大幅に減り、電力コスト削減に繋がります。卒FIT後の選択肢として検討する価値があります。

注意点

導入時には、既存のパワーコンディショナー(パワコン)との互換性の確認が非常に重要です。互換性がないと、蓄電池の運用ができません。また、蓄電池にはサイクル寿命があり、繰り返し使用することで蓄電容量は減少します。したがって、保証期間や無料修理の条件を事前に確認しておく必要があります。特に蓄電容量が一定以下になった場合、無償で修理や交換が受けられる保証があると安心して長期利用できます。導入にあたっては、保証とメンテナンスサービスが充実し、太陽光設備との連携に精通した専門業者を選びましょう。

FIP制度への転換

FIP制度(Feed-in Premium)への転換が注目されています。FIP制度では、再生可能エネルギーを市場価格で販売し、そこにプレミアムと呼ばれる補助額が上乗せされる仕組みとなっています。これにより、従来のFITによる売電価格を上回る水準での取引が実現する可能性があります。

一方で、FIT制度とは異なり、売電のタイミングは事業者自らが判断する必要があります。そのため、市場価格が高い時間帯を見極めて売電することで、収益の最大化が見込まれます。また、蓄電池を導入することで電力の放出タイミングを柔軟にコントロールでき、FIP制度のメリットをより効果的に得ることが可能となります。

ローカルコミュニティへの電力供給

余剰電力をローカルコミュニティ(地域)に供給する選択肢もあります。近隣住民や施設に提供することで、エネルギーの効率的活用が可能です。さらに、電力の共有により地域の結びつきが強まり、環境への負荷も軽減できます。電力を共同で使う取り組みは、エネルギーの自立性と持続可能性の向上にもつながります。こうした地域密着型の電力供給は、今後ますます重要になるでしょう。

太陽光発電所の売却

状況によっては、卒FITのタイミングで太陽光発電所を売却することも選択肢となります。FIT終了後は買取価格が下がるため、発電による収益は減少します。そのため、高値での売却は困難になりますが、需要が消えるわけではありません。

例えば、CSR活動に積極的な企業などにとって、自家消費可能な発電所は魅力的です。自社で発電した電力を自家消費に活用できる点が評価されており、環境配慮や地域貢献の視点からも一定のニーズが存在します。このような背景から、中古の太陽光発電設備に対する需要は引き続き維持されています。卒FIT後の売却は、効率的な資産活用戦略の一環として注目されています。

FITの終了前に重要な対策

2012年に始まったFIT制度の対象設備では、2023年時点で設置から10年以上が経過しています。特に注目すべき点は、パワコンの寿命です。一般的にパワコンの寿命は約10年とされており、FIT期間の後半では故障のリスクが高まります。故障を放置すれば発電効率が大きく低下し、売電収益に深刻な影響を及ぼすおそれがあるため、早めの対策が求められます。

その有効な手段の一つが「リパワリング」です。これは、劣化した太陽光発電設備を新しい機器に交換し、システム全体の発電量を向上させる方法です。なかでもパワコンの交換は、経済的効果が高い改善策とされています。通常の変換効率が90%であったものが最新機種では95%程度に向上しています。売電収益も数%単位で増加が見込めます。

例えば年間発電量が50万kWhの場合、5%の効率向上が実現すれば、年間で約2.5万kWhの増加が見込まれます。売電単価によっては数十万円規模の増収につながります。その一方で、パワコンの交換費用は数十万円規模に達することがあるため、FIT終了後の運用方針とあわせて慎重に計画する必要があります。

導入時期や機器の状態、交換スケジュールなどは専門家に相談し、現実的かつ収益を最大化できる対応を検討しましょう。特にFIT終了を目前にした今こそ、継続的な設備運用を支えるための準備が不可欠です。

FIT終了前後の税務について

FIT終了前後には、税務面の変化があります。意図せぬ法令違反を起こさないように、正しく理解して、申告を行いましょう。

FIT期間中の税務

FIT制度の期間中に得られる売電収入は、所得税と住民税の課税対象です。個人の場合、売電収入は総所得に加算され、確定申告が必要です。加えて、居住自治体に対して住民税の申告と納付も求められます。これらの税務手続きに正確に対応することが、法令遵守の基本です。また、太陽光発電設備にかかる維持管理費や減価償却費を経費計上することで、課税所得を低減し、節税に繋げることが可能です。税務の専門家と協力して、適切な申告と納税を行いましょう。

FIT終了後の税務

FIT制度の終了後、一部の売電収入が非課税となる場合があります。ただし、適用条件は地域や状況により異なります。FITの終了前に地元の税務当局や税理士へ相談して、非課税対象の条件や金額基準を確認しましょう。事前に正確な情報を得ることで、税務上のリスクを回避し、適切な対策が可能となります。

FITの買取期間の確認方法

最後に、FIT制度で保証された固定価格での買取期間を確認する方法について紹介します。次の3つの方法で確認が可能です。

購入実績お知らせサービス

各電力会社が提供している「購入実績お知らせサービス」で確認可能です。発電事業者向けに、契約内容や実績を確認できます。

電力会社からの通知メール

FIT制度の買取期間の終了が近づくと、電力会社から通知が届きます。以前は書面での案内が一般的でしたが、近年はペーパーレスの流れにより、電子メールによる連絡が主流となっています。買取期間終了日の4ヶ〜6月前(一部の電力会社は追加で1ヶ月前)に通知されます。終了時期が近づいた際には、メールや郵便物の確認をいつも以上に慎重に行いましょう。

契約書の記載

太陽光発電の売電開始時に交わした契約書には、FIT買取期間の満了日が明記されています。そのため、電力会社からの通知を待つ必要はなく、契約書を自ら確認することで期間の把握が可能です。こうした関連書類は、日頃から整理整頓し、必要なときにすぐ取り出せる状態で保管しておくことが望まれます。これによって、手続きの遅れを防ぎ、計画的な対応につなげることができます。

まとめ

卒FITを迎えると、太陽光発電の売電収入が大きく減少します。これは、FIT制度の終了により、売電単価が大幅に下がるためです。この影響を最小限にするには、各家庭や事業主が自ら対策を講じる必要があります。対策の一つは、新電力会社への売電継続です。契約先によって単価や条件が異なるため、複数のプランを比較検討することが重要です。大手電力会社のプラン内容も、改めて確認しましょう。

その他には、蓄電池を導入し、自家消費へ切り替える選択も有効です。発電した電気を蓄え、家庭や事務所で使用することで電気料金を削減できます。他にも、オフサイトPPAによる売電や、地元への余剰電力の提供といった選択肢があります。さらには、場合によっては発電所そのものを売却するという選択肢も考える必要があります。

税務上の取り扱いにも注意が必要です。FITの買取期間が終了すると、対象設備の減価償却や非課税の扱いが変わる可能性があります。税理士などの専門家に相談して、正しい税務対応を行ってください。最も重要なのは、買取期間の満了日を正しく把握することです。契約書や通知メール、「購入実績お知らせサービス」などを使って確認しましょう。

卒FIT後も太陽光発電のメリットを活かすためには、情報収集と戦略選定が不可欠です。自社や地域の状況に合った方針を選ぶことで、経済的利益と環境貢献の両立が可能となります。

オムロン ソーシアルソリューションズでは、太陽光発電所の所有者に向けて、FIT制度の終了を見据えた収支計画の見直しや、機器の更新や廃棄、さらには事業承継に役立つ情報を提供しています。本記事よりも実践的で有益な情報が満載です。収益性の向上を目指す方は、ぜひダウンロードしてご一読ください。