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リパワリングとは?太陽光発電の収益が伸びる理由から、注意点、実際の進め方まで解説

2025.07.01
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太陽光発電の発電量が伸びず、売電収益の低下に悩んでいませんか。 近年、そうした課題に対する改善策として「リパワリング」が注目されています。 本記事では、リパワリングの基本的な考え方はもちろん、交換すべき機器の種類や最適な実施タイミング、さらに具体的な進め方についても詳しくご紹介します。設備の劣化に悩み、収益性の向上を目指す方に有益な情報を提供します。

目次

リパワリングとは?

リパワリングとは、太陽光発電設備において各種機器をアップグレードまたは交換して、発電能力を向上させるプロセスを指します。この取り組みでは、主に太陽光パネルやパワーコンディショナー(パワコン)が対象となります。これらの機器は経年劣化によって徐々に性能が低下していきます。特にパワコンは寿命が10~15年とされ、時間の経過とともに効率が下がります。

新しい機器は旧型より発電効率が高く設計されているため、リパワリングにより発電能力を回復または向上させることが可能です。さらに、機器の保証期間が終了するタイミングでリパワリングを実施することで、設備全体の安定的な稼働と長期的な発電収益の確保にもつながります。

ヨーロッパ諸国におけるリパワリングの取り組み

リパワリングとは、老朽化した発電設備を最新の技術へと更新し、発電効率や出力を向上させる取り組みです。ヨーロッパ諸国では再生可能エネルギーの導入が進んでおり、太陽光発電所に対するリパワリングが積極的に行われています。

その背景には、「テクニカルデューデリジェンス」と呼ばれる技術的な調査があります。これは銀行、投資家、発電所のオーナーなどからの依頼で実施され、発電施設の技術状態を評価するものです。これにより、設備の健全性や更新の必要性を数値データに基づいて判断できます。

ヨーロッパでは、この調査が一般的であり、調査結果が芳しくない場合にはリパワリングを早期に実施しています。見込み発電量を下回る発電所では、出力を回復させて収益を維持します。逆に、調査が行われないまま放置されると、効率低下が進行し、収益に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。今後は日本においても、同様の技術調査の導入やリパワリングの取り組みが求められるでしょう。

リパワリングの対象設備

太陽光パネル、パワコン、ケーブルの3つの設備が主な対象です。高効率の太陽光パネルを採用すれば、必要な太陽光パネルの枚数を減らすことができ、設置面積や発電効率の面で運用の最適化が期待できます。また、最新のパワコンは変換効率が大幅に改善されており、FIT制度(固定価格買取制度)の開始当初と比較して性能が格段に向上しています。さらに、耐久性の高いケーブルを使用することで、長期的な設備全体の信頼性を確保することが可能です。

パワコンの交換

パワコンは、太陽光パネルが発電する直流電流を、家庭や事業所で使える交流電流に変換する装置です。安定した発電量を確保するには、パワコンが常に高い変換効率を維持している必要があります。近年の技術進歩により、新型パワコンは効率や機能が向上しています。そのため、古い機器を交換することで、変換効率が改善され、発電量の増加が見込めます。

オプティマイザの導入

オプティマイザとは、各太陽光パネルの電流をモニタリングし、そのデータを基に電圧を自動で最適化する設備です。これにより、発電効率が常に高い状態が維持されます。特に、建物や樹木の影響で部分的に日照が遮られる場合、太陽光パネルごとの最適化が重要となります。低圧システムにおいても、オプティマイザの導入は効果的です。また、影の影響が強い場合は、ストリング構成の見直しといった系統の再構成も有効です。このような対応により、システム全体のパフォーマンスが大きく改善されます。

リパワリングを実施するタイミング

リパワリングを実施すべきタイミングは機器によって異なります。代表的な機器であるパワコンの場合、寿命は約10~15年とされ、設置から10年目が交換の目安とされています。変換効率が低下すると電力量や売電収入が減少するため、早めに交換しておくことが重要です。

リパワリングが必要とされる理由

リパワリングが必要とされる理由について、より詳しく解説していきます。

太陽光発電設備の経年劣化

太陽光発電システムは、経年劣化により発電効率が毎年0.25%〜1%低下します。劣化の主な要因は、太陽光パネルの変色や破損、配線の腐食、半導体部分の劣化です。さらに、パワコンの寿命は10年〜15年と短く、定期的な交換が必要です。これらの劣化により発電量が減少すると、売電収入にも影響を及ぼします。そのため、既存設備を高性能な機器に更新するリパワリングが重要です。メンテナンスだけでは対応しきれない性能低下を補い、長期的な収益安定に貢献します。

太陽光発電技術の進化

太陽光発電設備は導入から時間が経過すると発電効率が低下します。近年、太陽光パネルの半導体技術が進化し、発電効率は従来の15~18%から20%以上へ向上しました。さらに、コンパクトで変換効率が高いパワコンや、各太陽光パネルの発電量を個別に調整できるオプティマイザも登場しています。こうした技術革新を背景に、老朽化した設備を最新機器へと更新する「リパワリング」を行うことで、発電効率の回復と長期的な運転コストを削減することが求められています。

FIT期間中の売却益の最大化

太陽光発電の売電収益を高めるには、FIT制度の適用期間中に実施するリパワリングが重要となります。FIT制度では、10kW未満の設備が10年間、10kW以上の設備が20年間にわたり、一定の価格で電気が買い取られます。この期間中に設備の性能を向上させることで、発電効率が上がり、売電量の増加が期待できます。

なお、FIT期間終了後は買取価格が数円程度下がるため、発電量の増加に伴い増える売電収益は大きくありません。買取価格の高いFIT制度の期間中に、できるだけ多くの電気を生み出すことが、収益の最大化につながります。

リパワリングのメリット

リパワリングのメリットについて、詳しく解説します。

発電量の改善・向上

最新機器への交換やアップグレードを行うことで、発電効率の改善や向上が期待できます。特に、近年のパワコンは従来モデルに比べて変換効率が大幅に向上しており、加えて設計のコンパクト化によって省スペース化にも貢献しています。現在使用している機器が保証期間内で、交換を検討していない場合であっても、大規模発電所や運転開始から年数が経過している設備には、導入メリットが大きいと言えます。

売電収益の向上

発電量の増加により、売電収益の向上が期待できます。特に、運用期間の長い太陽光発電所ではFIT期間中の買取価格が高いため、発電量の増加が収益面で大きなメリットとなります。FIT制度の期間内に得られる収益が増加します。設備の保証期間を考慮してリパワリングを行うことで、安定した収益の維持が可能となります。

メンテナンスコストの削減

太陽光発電のFIT期間は20年ですが、多くの設備の保証期間は約10年にとどまり、保証終了後は経年劣化によりパワコンが故障しやすくなります。たとえ修理が可能であっても、修理後は発電効率の維持が難しくなり、発電ロスが発生することで収益に悪影響を及ぼす可能性があります。こうした問題への対策として、リパワリングが有効です。リパワリングにより機器を交換することで、不具合の発生を抑制できます。それにより、メンテナンスコストの削減にもつながります。

パワコン以外の機器のリパワリングも効果的です。例えば、従来より高性能な太陽光パネルに交換することで、同等の発電出力を維持しながら設置面積を削減できるため、効率の向上とともにメンテナンスコストの削減が期待されます。

事故や故障の予防

リパワリングは、太陽光発電設備を安全に運用するためにも欠かせない作業です。長年の使用により設備のケーブル被覆が劣化すると、ショートやスパークが発生しやすくなり、火災や漏電といった重大な事故につながる危険性が高まります。こうしたリスクを回避するためには、故障箇所や劣化が確認された段階で定期的にリパワリングを行い、安全性を向上させることが重要です。また、不具合を早期に把握し対処することで、故障のために修理を待つ時間をなくすことができ、発電停止期間の最小化にもつながります。

こうした安全対策を徹底することは地域住民との信頼関係の維持にもつながります。安定した運用と地域との良好な関係を保つためにも、リパワリングの継続的な実施が重要です。

売却価格が高まる可能性

太陽光発電所の売却を検討する際、リパワリングは有効な手段です。発電効率が高く、発電量の多い設備は、高額な査定が期待できます。例えば、10kW以上の発電所を10年後に売却する場面を考えてみましょう。FIT期間が残っている場合でも、経年劣化による発電量の減少は避けられません。しかし、リパワリングによって発電量を回復もしくは向上させることができれば、査定評価が改善され、結果的に売却価格の上昇が見込まれます。

売却価格が高まれば、リパワリングに必要な費用を回収したうえで、追加の収益が発生する可能性も生まれます。このように、リパワリングは太陽光発電所の価値向上に貢献し、将来的な収益性の改善にもつながる有効な手段といえるでしょう。

リパワリングは単なる機器の交換に留まらず、太陽光発電事業全体の収益に大きな影響のある取り組みです。FIT中期〜終盤に差し掛かる発電所オーナーは今後の収益性や事業戦略を考える上で、真剣に検討する必要があります。さらに、今後は事業の継承や収支バランスの再検討など、対応すべき課題が一層増えてきます。こうした課題を整理して、これからの選択肢について『FIT10年目以降、どう備える?収支改善と出口戦略を考える』で解説しております。

リパワリングの注意点

ここまでは、リパワリングのメリットについてのみ解説してきましたが、注意しなければいけないこともあります。正しく把握したうえで、検討するようにしましょう。

購入コスト

新しい機器を購入および交換するための費用がかかります。そのため、事前にリパワリングの実施に必要な予算を確保し、詳細な計画を立てておくことが不可欠です。計画不足は想定外の支出を招く恐れがあります。費用対効果を正確に見積もりましょう。

合計容量の規制

リパワリングを行う際は、合計容量の増加に関する規制に注意が必要です。2024年3月末までの場合、出力を3%以上または3kW以上増やすと、全設備の買取単価が最新価格まで下がる可能性がありました。しかし、2024年4月以降に施行された改正再生可能エネルギー特別措置法によって、この規制は緩和されました。これにより、新たに追加した太陽光パネル分の出力についてのみ最新価格が適用され、既存設備の買取単価は維持されるようになっています。経済的メリットを確保しやすくなりました。

ただし、異なる買取価格が混在するため、リパワリングの効果を正確に見積もるには詳細なシミュレーションが必要です。計画時には最新の法制度を確認して、長期的な収支を見据えて判断してください。

工事中の運転停止リスク

太陽光パネルやパワコンを交換する際に安全確保のためブレーカーを切る必要があります。そのため、工事中は発電が停止し、一時的に売電収益が減少するリスクがあります。例えば、パワコン10台の交換であれば、作業員の人数にもよりますが、おおよそ1~2日が一般的な目安です。一方で、停止時間を抑えるために、機器交換ごとに対象回路のみをブレーカーオフにして順番に対応する方法もあります。ただしこの方法では、工期が延びる可能性があります。リパワリングにおいては、発電の継続性と工期のバランスを慎重に検討することが求められます。最適な工程を選ぶには、経験豊富な専門業者に相談することをおすすめします。

リパワリングの進め方

リパワリングの進め方について、順を追ってご説明します。

設備状態の確認

まず始めに、専門業者に設備状態の確認を依頼します。この確認には、土地環境、発電効率、法令遵守、資料保管状況といった項目が含まれます。とくに発電効率が著しく低下している場合には、リパワリングの実施を検討することになります。

導入設備の選定

リパワリングが必要と判断された際には、導入する設備の選定を行います。一般的には、機器の互換性を確保するため、同一メーカーの後継機種を選ぶことが推奨されます。導入前の確認が、工期短縮とトラブル防止につながります。例えば、太陽光パネルの厚さに差がある場合には、架台の留め金具を事前に手配することが必要になります

工事の実施

設備が確定した後は、信頼できる業者に工事を依頼しましょう。この工事には電気系統の作業が含まれており、特に雨や雪などの悪天候時には感電のリスクが高まるため、慎重な対応が求められます。そのため、工事は天候の悪い時期を避けて計画し、梅雨の季節には十分な工期を確保することが重要です。設備の交換後、通電して正常に発電できていることが確認できれば工事完了です。

メンテナンス計画の立案

工事後には、太陽光発電設備の性能に応じたメンテナンス計画を立てておきましょう。定期的なメンテナンスを実施することで、向上させた発電効率を維持し続けることができます。一方、リパワリングの対象外となった古い設備については、より丁寧で頻度の高い点検や保守が求められます。

リパワリングに関するよくある質問

リパワリングに関するよくある質問について、詳しく解説します。

リパワリングとメンテナンスの違い

太陽光発電設備の安定運用には、メンテナンスとリパワリングの理解が不可欠です。両者は機器関連の重要な作業ですが、目的と内容に違いがあります。

メンテナンスは、発電効率の維持を目的とし、太陽光パネルやパワコン、集電箱、架台などの保守点検を実施します。具体的な作業としては、太陽光パネルの清掃、機器の点検や整備、部品交換が含まれ、通常の運用中に定期的に行われます。一方で、リパワリングは設備の性能向上を目的とします。既存の老朽化した機器を高性能な新製品に入れ替え、発電効率の改善を図るものです。 特に経年劣化が明らかとなった場合、部分的または全面的な機器交換が行われます。

このように、メンテナンスが「維持」であるのに対し、リパワリングは「性能回復または強化」と位置づけられます。太陽光発電の長期運用においては、両者を適切に組み合わせることが重要です。とくにリパワリングによって設備の高性能化が進めば、将来的な発電量の増加や売電収益の向上も期待できます。効率的な設備運用には、この2つのアプローチの適正な実行が不可欠です。

リパワリングとリプレースメントの違い

リパワリングは、経年劣化した設備の一部を交換することで発電所の性能を回復させる手法です。一方、リプレースメントは発電所全体を再建することで、リパワリングでは達成できないほどの性能向上や、効率の大幅な改善を実現します。ただし、リプレースメントには大規模な投資が必要です。

まとめ

太陽光発電設備を長く活用するうえで重要なのが「リパワリング」です。これは、経年劣化した太陽光パネルやパワコンを最新機器に交換することで、発電効率を回復・向上させる取り組みです。最新の機器は変換効率が高く、故障リスクの低減やメンテナンスの手間軽減にもつながります。その結果として、売電収益の最大化が期待できます。

特にFIT制度の期間中にリパワリングを行えば、高単価での売電を維持しながら設備価値の向上も見込めます。ただし、工事期間中は一時的に発電が停止するため、収益減が発生します。最適なスケジュール調整が必要です。また、合計出力を増やす場合、買取単価が変動する可能性があるため、費用対効果を事前にシミュレーションしましょう。

導入前には、専門業者の診断を受け、交換機器の互換性や施工の安全性を確認することが大切です。定期点検とリパワリングの組み合わせによって、発電設備の信頼性と収益性を長期間にわたり高い水準で維持できます。

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