太陽光発電投資に失敗してしまう理由13選と対策を学ぶ|投資を始める方は必読
太陽光発電投資は、10%を超える高い利回りが期待できる一方で、一定のリスクも伴う投資方法です。失敗やトラブルを避け、成功を目指すためには、リスクの理解と対策が不可欠です。特に、初期の物件選びや業者選定に失敗してしまい、「なぜもっと調査しなかったのか」と後悔している方をよく目にします。本記事では、太陽光発電投資でのよくある失敗例を解説します。同じ失敗をしてしまわないよう、しっかりと学びましょう。
目次
太陽光発電投資に失敗してしまう理由13選
太陽光発電投資に失敗してしまう理由の中から、よくある13選をご紹介します。
業者選び編
まずは最初のハードルとなる、業者選びに関する失敗理由についてみていきましょう。
1.施工業者選び
施工業者の選定は非常に重要なプロセスです。特に新規建設の場合、適切な業者選びが行われないと、多くの問題が発生する可能性があります。太陽光発電システムは少なくとも20年間、継続的なメンテナンスが必要であるため、業者選びは慎重に行う必要があります。仮に施工業者が倒産してしまうと、メンテナンスや手続きを担当する者が不在になり、太陽光発電システムの運用に重大な支障が出ることがあります。
また、経営状態が不安定な施工業者からサービスを受けることだけでも、大きなリスクを伴います。不安定な経営状況の業者は、コスト削減のために人件費や材料費を削ることもあり、結果として、品質が低下した工事が行われてしまう可能性が懸念されます。信頼できる施工業者を選定するためには、その業者の企業規模、経営状況から実績、評判まで詳細に調査することが必要不可欠です。
2.不十分なデメリットの理解
業者を選ぶ際には、デメリットまで含めて正しく説明してくれる信頼できる業者を選ぶことが肝心です。もし業者からデメリットに関する説明が出てこない場合には、遠慮せずに積極的に質問してください。そこで回答が曖昧だったり、デメリットの説明を避けたりする業者に対しては注意が必要です。
業者からデメリットも含めた正確な情報を得た上で投資を進めることで、投資後に発覚するデメリットやリスクを事前に対策することや、減らすことができます。太陽光発電投資を成功させるためには、業者選びの段階でデメリットを十分に理解することが重要です。
物件選び編
業者選びの後には、物件選びが重要です。特に、中古物件と比べて新築物件の場合には、過去の実績がないため予測が難しいため、より慎重に検討する必要があります。
3.予測を下回る発電量
太陽光発電投資においては、シミュレーション上の発電量予測と実際の発電量が大きく乖離するケースが少なくありません。この問題の主な原因は、メンテナンス不足とシミュレーションの精度の低さにあると考えられます。特に、太陽光パネルの汚れや雑草の繁茂によって発電効率が低下することがあり、これらの問題は定期的なメンテナンスによって防ぐことができます。
シミュレーションを行う際には、日射量に基づく計算だけでなく、影の影響や高温時の効率低下、ランニングコストなども含めて、細かく計算してください。投資パフォーマンスを正しく評価するためには、都合の良い数字に惑わされず、現実的な運用コストや環境変化を考慮することが重要です。適切なシミュレーションに基づいた物件選びを行うことが、失敗を防ぐポイントとなります。
4.日照時間の見誤り
太陽光発電投資において、日照時間が発電量に与える影響は非常に大きいため、より詳しく解説します。発電量は、日照時間に強く依存しています。そのため、日照時間を見誤ると、初期のシミュレーションと実際の発電量に大きな違いが生じてしまう危険性があります。
このような事態を回避するには、物件購入時に業者から提供される日照時間の根拠がどれだけ確実性が高いかを見極めることが重要となります。もし提供された根拠が不十分であったり、疑わしい点がある場合には、その物件の購入を見送るべきです。
5.現地調査の不備
太陽光発電投資における失敗理由の一つに、現地調査の不備が挙げられます。これは、予期せぬ問題や追加費用を引き起こす原因となります。例えば、物件の近くに崖や傾斜がある場合、設備の安定性や安全性が損なわれ、メンテナンスコストが増大する恐れがあります。また、日照条件が予想よりも劣る場合には、発電効率が下がり、投資の回収期間が延びることもあり得ます。
現地調査では、日光を遮る障害物の有無や地形、周囲の環境を確認することが不可欠です。ハザードマップも参照して、災害リスクが高い地域での投資は避けるべきでしょう。周辺でのトラブル歴、特に盗難や獣害の有無も事前に把握しておくべき重要な情報です。万が一、設備を購入後に問題が発覚してしまった場合には、専門業者にすぐに相談して、事前に適切な対策を講じることが大切です。十分な現地調査を行わずに投資を決定すると、後々大きな損失を被る可能性があるため、慎重に物件を選びましょう。
6.近隣トラブル
太陽光発電投資において、近隣トラブルは見落とされがちな問題であり、失敗の原因です。例えば、太陽光パネルの反射光や騒音によって近隣住民との間でトラブルが発生することがあります。太陽光パネルは向きや角度を調整することで反射光を抑える対策は可能ですが、完全な解決は難しいケースもあります。実際に姫路市の大規模太陽光発電所では、太陽光パネルの反射光により熱中症の被害を受けたとして、訴訟にまで発展しました。(最終的には、植栽により反射光を抑えることに成功して訴訟の取り下げに至っています。)
太陽光発電設備の新規建設を考えている場合には、近隣地域の状況を詳しく調査し、計画段階から適切な対策を施すことが重要です。近隣住民への配慮を怠らず、トラブルを未然に防ぐための努力が求められます。
メンテナンス編
太陽光発電投資に失敗しないためには、メンテナンスについても最初から理解しておくことが重要です。ここからは、メンテナンスに関連した失敗の理由について解説します。
なお、すでに太陽光発電所を保有しており、定期的なメンテナンスの方法をはじめとする、太陽光発電投資の利回り維持や投資効果をを最大する方法について知りたいという方に向けては、『太陽光発電のコスト削減&発電効率UPを実現-最新トレンドに基づく最適投資戦術-』という資料で詳しく解説しています。
7.メンテナンス計画の欠如
太陽光発電システムは「メンテナンスフリー」と誤った宣伝がされることもありますが、実際には定期的なメンテナンスが不可欠です。不十分なメンテナンスは、発電効率の低下だけでなく、故障のリスクを高め、結果として投資の利回りに悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、配線や配管に隙間があると腐食が進行し、除草作業中にケーブルが切断されるなどのトラブルが発生しやすくなります。
また、太陽光パネルに影が落ちると発電効率が下がるため、落下物や雑草の管理にも注意が必要です。長期にわたって安定した運用を実現するには、信頼できるメンテナンスサービスを利用することが推奨されます。
8.雑草の繁茂
太陽光発電投資において、設備の周囲に雑草が生えることは、太陽光パネルの効率低下につながる大きな原因の一つです。雑草が繁茂すると、太陽光パネルに日影が発生し、発電能力が阻害されてしまいます。その結果、発電量が低下するだけでなく、売電収入の減少という経済的損失も招きかねません。こうした雑草の問題に対処するには、防草シートを利用したり、適切な除草剤を散布したりするのが効果的です。
リスク編
続いて、太陽光発電投資に降りかかるリスクについて詳しく解説していきましょう。
9.自然災害
失敗の原因となる大きなリスクとして「自然災害」が挙げられます。台風や地震などにより太陽光パネルや発電設備が破損することは珍しくありません。そのため、万が一損害が生じた場合に備え、適切な保険への加入が重要とされています。
通常、メーカー保証や施工会社からの保証には自然災害による故障はカバーされていません。自然災害が原因で発生した損害に備えるには、別途有償の自然災害保証用の保険プランに入っておく必要があります。
太陽光発電投資の計画段階から、有償の保険プランに入る前提で収支計画を立てておくことが理想的です。保証内容の詳細を確認して、設備の規模感や地域のリスクに合った保険を選ぶことが求められます。その他にも、自然災害のリスクを最小限に抑える設計や地盤強化、耐久性の高い材料の選択が重要な対策となります。また、ハザードエリアの物件は避けましょう。
10.保証外のトラブル
太陽光発電設備は長期にわたって屋外に設置する投資設備ですので、様々なトラブルに見舞われます。保険による保証範囲の確認が必要不可欠です。通常、メーカーからは一定期間(例えば、10年保証など)、一定範囲の保証が提供されています。ただし、全てのトラブルが保証対象となるわけではありません。先ほどは自然災害が対象外となることを紹介しました。それ以外には、盗難、事故による爆発や破裂、火災、外部からの衝突などが保証外となる可能性があります。
これらの保証外のトラブルについても備えておきましょう。保険の種類としては、機器保証や売電保証などが存在します。保証範囲、条件などは複雑です。自己判断せず、業者としっかりと相談をして、適切なリスク管理を行ってください。
11.セキュリティシステムの不足
太陽光発電設備の設置場所は人目につきにくいことが多いため、セキュリティ対策が必須です。設置場所での対策を怠ると、いたずらや盗難のリスクが高まるため注意が必要です。特に、銅製のケーブルなどの金属部品が狙われることが多く、深刻な問題となっています。
発電所の周囲にはフェンスや防犯カメラ、赤外線装置などを設置して、資産を守りましょう。また、万が一盗難に遭った場合の経済的なリスクを軽減するために、盗難保険への加入も検討すべきでしょう。これらのセキュリティ対策と保険への加入は、設備の物理的な安全性を高めるだけでなく、経済的な損失も最小限に抑えるために不可欠です。
税金編
太陽光発電投資を行う際、多くの投資家が節税効果も同時に見込んでいます。しかし、実際の税制や法律に基づいた適切な処理が行われていない場合、逆に大きな損失に繋がってしまうこともあります。税理士などの専門家にも相談しながら、適切な節税対策を行ってください。
12.経費の未計上
経費の未計上は代表的な失敗原因の一つです。これは税負担の増加を招くことになります。実際に経費計上できる項目には、多種多様なものが含まれています。まず、太陽光発電設備の購入費や土地取得費が経費計上の対象となります。さらに、ローンの利息も経費に計上可能です。設備が固定資産となる場合、固定資産税や不動産取得税も経費として計上できますが、固定資産税は10kW以上の設置の場合に限られます。
太陽光発電設備の減価償却は、法定耐用年数17年を基に計上され、年間100万円程度を経費として落とせるケースもあります。また、太陽光パネルの設置場所の視察にかかった交通費や、太陽光発電に関連する書籍購入費、セミナー参加費も経費に含めることが可能です。
運用費用も重要です。適切なメンテナンスや保険は経費計上が認められています。注意点として、自分で行うメンテナンスに必要な機器購入費や太陽光発電メンテナンス技師の資格取得費用も経費になりますが、これは自身でメンテナンスを行う場合に限り有効です。購入したメンテナンス機器が10万円未満の場合は全額計上が可能で、20万円未満の場合は3年での均等割が許可されます。その他にも、メンテナンスに利用するものであれば、水道代や洗浄剤、草刈機なども経費として認識されます。
最後に、事業者としての太陽光発電から得られる所得には、事業所税が発生しますが、これも事業所得であれば経費に計上できます。ただし、所得の種類には注意が必要です。税務署によって判断が異なる場合もあるため、確定申告前に専門家へ相談してください。
13.消費税還付の見落とし
消費税還付制度を見落とすことは大きな失敗につながります。消費税還付とは、仕入時に支払った消費税額が、売上時に受け取った消費税額を上回った場合に、その差額が還付される制度のことです。太陽光発電投資を行う課税事業者は、この制度を活用することで税負担を軽減し、利回りの向上が期待できます。特に投資の初期段階では、コストがかさむ一方で売上は少ないため、還付金額が大きくなる傾向にあります。しかし、消費税還付の手続きには税金に関する専門的な知識が求められるため、手続きを見落としてしまう方も少なくありません。
太陽光発電投資を検討する際には、消費税還付制度を考慮に入れたシミュレーションを行うことが有効です。また、具体的な手続き方法や時期については、専門家も交えて確認しておきましょう。消費税還付制度を適切に活用することで、太陽光発電投資の収益性を高めることができるでしょう。
太陽光発電投資を成功させる4つのポイント
最後に、太陽光発電投資を成功させるための4つのポイントについて解説します。
1.リスク管理の徹底
太陽光発電投資は高利回りが魅力ですが、物件選びや保険、融資、メンテナンスなどに少なからずリスクが潜んでいます。一つ一つのリスクに真摯に向き合い、コストをかけて回避・軽減するか、ある程度は受け入れるかを見極めていきます。例えば、物件選びでは日照条件や系統連系の可否を入念に調査し、保険では災害リスクに見合った保証内容を吟味しましょう。
融資では金利変動リスクを考慮し、メンテナンスでは定期点検と修繕計画を立てることが重要です。このように、リスクを適切に管理することで太陽光発電は長期的に安定した収益を生み出す投資となります。
2.適切なリパワリング
太陽光発電投資を成功させるには、適切なリパワリングが重要なポイントの一つです。リパワリングとは、発電システムの各種機器をアップグレードすることや交換、新規導入することで、発電能力を向上させる取り組みのことを指します。太陽光パネルやパワーコンディショナー(パワコン)の発電効率は、技術の進歩により年々向上しています。リパワリングによって最新の高性能製品に更新することで、発電量の向上が期待できます。特に稼働から10年近く経過した発電所においては、リパワリングは有効な手段となることが多いでしょう。
さらに、リパワリングは発電所の故障や事故を防ぐためにも重要です。劣化した設備を最新の耐久性に優れた設備に更新することで、火災や漏電などのリスクを軽減できます。太陽光発電の経済的なメリットを最大限に引き出して、長期的に投資を成功させるためには、適切なタイミングでのリパワリングが欠かせません。発電効率の向上と設備の安全性確保の両面から、リパワリングを検討することが太陽光発電投資の鍵となるでしょう。
3.最新情報の取得
太陽光発電投資を行う上で、常に最新の制度や法律、市場環境を理解しておくことが必要とされています。2022年には、「FIP制度(固定価格買取プレミアム制度)の導入開始」や「廃棄等費用積立制度の導入開始」といった重要な制度変更が実施されました。
また、市場環境としては、近年、電力会社からの出力制御要請が増加傾向にあります。これに対応するため、最小限の抑制で対応可能な「オンライン出力制御」が広まっています。出力制限にはオフラインとオンラインの2種類の方法があり、1年間で換算するとオフラインの制限率は9.8%、オンラインが6.1%となり、3.7%もの差になります。仮に売電収入が年間で500万円とした場合、500万円 x 3.7% = 18.5万円となります。残り10年の期間があるとした場合には、差額は185万円にものぼります。
これらの変更は、投資の収支計算や運用戦略に大きな影響を与えます。太陽光発電投資で成功を収めるには、新しい制度に敏感に反応し、適切に適応していくことが求められています。
4.信頼できる業者を選ぶ
太陽光発電投資を成功に導く最後の重要な要素は、信頼できる業者を選ぶことです。投資において必要な「物件調査」「保険・融資の手配」「税金対策」「メンテナンス」の各領域を効率的に管理するためには、専門知識と豊富な人的リソースが必要不可欠となります。業者選定に際しては、各社のサービス提供実績や見積もりを入念に比較検討することが重要です。
まとめ
太陽光発電投資は高い利回りが魅力的ですが、すべての投資が成功するとは限りません。中には残念ながら失敗してしまう方もいらっしゃいます。成功確率を高めるには、失敗の前例を学び、事前にしっかりと対策を取ることが大切です。
本記事で取り上げた「業者選び」「物件選び」「メンテナンス」における失敗事例などをしっかりと学び、同じ失敗を繰り返さないように投資に挑んでください。その上で、太陽光発電投資をより成功に近づけるためのポイントとしては、「リスクマネジメントの徹底」「適切なリパワリング」「最新情報のキャッチアップ」「信頼できる業者の選定」の4つが挙げられます。
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