5人に1人が故障を経験?パワコン維持管理の実態と“損しない”交換戦略

太陽光で発電した電力を自家消費できるようにしたり、売電(逆潮流)できるようにしたり、蓄電池と併用した自立運転をしたりと、太陽光発電システムの核心部分を担うパワーコンディショナー(パワコン)。太陽光の余剰電力買取制度(2009年)を経て、2012年にFIT制度(固定価格買取制度)がスタートして以降、多くの人が太陽光発電システムを導入するようになりましたが、近年、パワコンの故障や経年劣化による変換効率の低下が増えています。
太陽光発電システムを普段からチェックしたりメンテナンスしたりする人は少ないでしょう。しかし放っておくと、知らないうちに損をしていたり、ある日突然故障して想定外の損失を出してしまったりすることもあり得ます。
そこで当社は、耐用年数を迎えるパワコン所有者が故障や売電ロスのリスクをどのように捉え、交換をどう判断しているのかを明らかにすることを目的に、1,000人を対象としたアンケート調査を行いました。本記事では調査結果をご紹介しながら、損をしないパワコンの運用・管理方法について考えていきます。
<調査概要>
調査名称: 太陽光発電の継続意向調査
調査期間: 2026年2月5日~ 2026年2月9日
調査方法: インターネット調査
調査対象: 太陽光発電設備(パワコン含む)を所有・運用している人 1,000人
実施主体: オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社
目次
意外と多い、パワコンの故障経験者
一般的にパワコンの設計上の耐用年数は10〜15年とされていますが、頻繁に故障するような製品ではありません。しかし近年は、耐用年数を迎えるパワコンが増えてきていることもあり、故障を経験する所有者が増えてきました。アンケート調査の結果、全体の21.5%(N=215)がパワコンの故障を経験していることがわかりました。実に、5人に1人がパワコンの故障を経験しているということになります。
また設備容量(kW)別に比較したところ、発電容量が大きくなるほど、故障経験者は多くなる傾向が見られました。設備容量が大きくなるほど故障が多い理由として、産業用に利用される設備が多くなることが挙げられます。産業用は家庭用と比べて、過積載(パワコンの容量に対して、パネルの容量を大きく設置すること)を行うことが多く、パワコンへの負荷が大きくなり、電気部品の劣化が進みやすいといわれています。家庭用である10kW未満の故障経験が18.2%(N=79)だったのに対して、低圧産業用の10~50kWは28.8%(N=66)と高くなります。さらに高圧産業用である50kW以上になると、53.3%(N=48)まで高くなります。

パワコン故障!無償と思いきや有償交換が多い現実
パワコンが故障したとき、真っ先に考えるのはメーカーや販売店側の製品不具合や施工不良などかもしれません。保証期間内であれば、管理不良などがない限り、無償交換を受けることができるはずです。しかしアンケート調査の結果、全体の60.9%(N=131)が有償でパワコンの修理や交換を行っていることがわかりました。保証期間内の対応による無償で交換できた人は、31.2%(N=67)に留まっていました。ほとんどのケースで、有償での交換をせざるを得ない状況に陥っているのです。
また設備容量(kW)別に比較したところ、発電容量が大きくなるほど、有償による交換に直面する人が多くなる傾向が見られました。この背景には、パワコン交換にかかる費用があると考えられます。パワコンは設備容量が大きくなるほど金額が上がっていく傾向にあるので、「耐用年数は過ぎているけれど、まだ使えるし、もったいない」という意識が働きやすいのかもしれません。10kW未満(49.4%・N=39)と10kW以上(68.2%・N=45、75.0%・N=36)では、大きな差が出ました。

パワコン交換を先延ばしにしてしまう理由は主に二つ
パワコンが故障した際に有償交換が多い理由として、「お金がかかること」や「まだ使えるし、もったいない」といった考えが背景にある可能性をご紹介しました。実際のところ、多くのケースではパワコンの交換時期が計画されていません。その結果、不意の故障で想定外のお金がかかったり、混乱が生じたりすることになります。
アンケート調査で、パワコン交換のタイミングが決まっていない理由を質問したところ、「まだ不具合がないため交換の必要性を感じない」と「交換費用が高額になりそうでためらっている」の2つが主な原因であることがわかりました。交換費用については「高くなりそう」という点がポイントで、実際にいくらくらいかかるものなのか、知らない・見積もったことがない人が多いと考えられます。交換にかかる費用を明確にして、事前に耐用年数と照らし合わせながら、故障前の交換を計画することが大切です。

パワコン交換費用、どれくらいかかる?
「パワコンの交換費用を見積もることが大切だろうけれど、面倒だ」という方がほとんどではないでしょうか。そこでアンケート調査では、故障時に有償でパワコンを交換した人を対象に、交換時にかかった費用を聞きました。調査の結果、最も回答が多かったのが20~30万円未満(24.4%)となっており、20万円以上の費用がかかった方が6割を超える結果となりました。パワコンの交換にはまとまった費用が必要となる実態がみえました。また設備容量(kW)別に比較したところ、発電容量が大きくなるほど、交換費用が高くなっていることがわかり、50kW以上のパワコンを使用されている層では8割以上が20万円以上の交換費用がかかっているという実態が明らかになりました。
パワコンの交換費用は、一概に設備容量が大きくなるほど高くなるとは限りません。実際は導入されているシステム構成や故障の状況によって変わります。しかしながら、全体の傾向として設備容量と交換費用が対応関係にあるようです。故障後に交換を行うと、修理費用だけでなく交換までの期間に売電収入や電気料金削減の機会を失う可能性があります。大切なのは、交換費用を想定した上で交換する時期を計画することです。

パワコン交換期間、どれくらいかかる?
パワコンが故障してから交換を依頼し、交換作業が終わるまでにかかった期間が長ければ長いほど、売電収入や電気料金削減の機会損失が大きくなります。故障してから交換を依頼して、すぐに交換してもらえれば問題ないかもしれませんが、実際はそうではありません。
アンケート調査でパワコン設備の復旧までにかかった時間を聞いたところ、1週間以内に交換ができたと回答した人は38.2%、2週間以上かかったと回答した人は半数以上を占めました。

メリットだらけの「リパワリング」
「リパワリング」という言葉をご存じでしょうか。実は太陽光発電設備を所有している人のうち、約80%が知らない状況です。リパワリングとは、太陽光発電設備において各種機器をアップグレードまたは交換して、発電能力を向上させるプロセスを指します。パワコンの交換もリパワリングの一種です。パワコンに限りませんが、ほとんどの設備は経年劣化していき、変換効率や運用効率が低下していきます。パワコンも同様で、耐用年数の期間内であったとしても、経年により変換効率や安定性が徐々に低下する可能性があります。その結果、自家消費や売電できる電力量が低下していくのです。また、10年前と比較して最新型のパワコンの変換効率は向上しているため発電量の増加を見込めることにもなります。
リパワリングとは?太陽光発電の収益が伸びる理由から、注意点、実際の進め方まで解説
ここまでパワコン交換の重要性を伝えてきましたが、パワコン交換は、故障による混乱や機会損失の防止だけでなく、運用効率を向上させ、メンテナンスコストを抑えるなど、得られる経済的メリットを最大化させる意味でも重要なのです。実際にリパワリングを行った人にメリットを聞いたところ、35.0%(N=28)が「売電収益が向上した」、33.8%(N=27)が「メンテナンスの頻度や費用が減少した」、そして最も多かったのは41.3%(N=33)の「将来の修理・交換費用への心配が減った」でした。リパワリングは単なるパワコン交換ではなく、故障リスクの低減と経済的利益の最大化を図る取り組みなのです。

注目を集める「サブスク型サービス」
ここまでご紹介してきた調査結果で、パワコン交換のネックになっている点が、「交換時の費用への懸念」や「できるだけ長く使いたい」といった考え方にあることが分かってきました。「早めに交換した方がいいことは分かるが、いざ交換となるともったいない」という思いを抱く人が多いのかもしれません。
そこで近年注目を集めているのが、パワコンを初期費用ゼロ・月額定額でできるサブスク型サービスです。従来はパワコンの所有者は太陽光発電設備を設置している個人や企業でしたが、サブスク型サービスは責任者がサービスを提供する事業者になるため、設置費用はかからず、故障時の対応もサービス提供事業者の責任で行われます。
アンケート調査でサブスク型サービスの魅力を聞いたところ、「長期的に安心できる」(30.0%・N=300)、「メンテナンスの手間が少ない」(28.8%・N=288)、「費用の見通しが立てやすい」(27.9%・N=279)、「故障リスクを減らせる」(26.1%・N=261)と、メンテナンスコストの削減や、故障発生時の対応負担の軽減にメリットを感じる人が多いことがわかりました。
サブスク型サービスは、パワコンが万が一故障したときでも、サービス提供事業者側が修理・交換を無償で受け持つため、突発的な追加費用を抑えられる点が評価されているのかもしれません。

まとめ
本調査から、パワコンは「パワコンの保証期間が切れてから対応する」ケースが多く、その結果、有償交換になったり、破損している場合は交換に時間がかかったりするなど、売電機会の損失につながっている実態が見えてきました。とくに設備容量が大きいほど影響は大きく、停止期間が長引けば売電収入や電気料金削減効果も失われます。
重要なのは、故障後の対処ではなく、耐用年数や費用を見据えた計画的な交換です。保証が切れる前かつ計画的な交換により、売電の機会損失を最小化し突発的な出費も抑えられます。リパワリングやサブスク型サービスといった新たな選択肢も活用しながら発電効率と経済性を最大化する運用を検討することが、これからの太陽光発電には求められています。
監修オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社エネルギーソリューション事業本部〈お役立ちコラム編集部〉
当編集部は、パワコンメーカーとして30年以上にわたり開発・製造・販売に携わってきたオムロンの経験をベースに、太陽光発電所オーナーの皆さまへ有意義な情報をタイムリーにお届けするための専門チームです。
特に低圧太陽光発電所に精通するメンバーで構成され、現場で寄せられるご相談や、定額貸出サービス「POWER CONTINUE」を通じて全国の発電所オーナー様と向き合うなかで蓄積した知見をもとに記事を制作しています。
2024年のコラム掲載開始から、パワコンの基礎知識や交換、出力制御、FIT終了後の運用まで、幅広いテーマで発信を続けています。
