大学時代から将来は街づくりに関わるような仕事をしたいと思っていました。オムロンに関心を持ったのは京都で学生生活を送っていた頃、ふだん利用する駅の改札機がIC化されたのがきっかけでした。電車利用や買い物にICカードを使えるようになって自分自身の生活が変わっていくのを実感し、「製品を通して多くの人々の生活や街そのものを便利に変える、貢献できる仕事」に大きな魅力を感じました。
入社して最初の5年間は関東地域の鉄道事業者様に対し、改札機や券売機といった駅務に関わる機械やシステムの営業を担当しました。私が営業を担当し、ICカードを使えるシステムをご導入いただいた駅で改札の流れがスムーズになったり、駅ナカや周辺に店舗が増えたりするのを見た時は、私の仕事が街や暮らしを変えることにつながっていることを実感し、嬉しかったです。
生産部に異動してからは計画業務を担当。お客様が求める納期までの生産計画を立て、その進捗を管理する仕事に携わってきました。営業担当から製品の仕様や納期を聞き、設計、生産、品質管理といった各部門と折衝して納期に間に合うよう各工程の進捗やスケジュールを調整するのが私の役割です。特に関東全域の鉄道事業者様に、新型の改札機や券売機数千台を納入するという大きなプロジェクトに関わった時は、とても大変でしたが、同時にやりがいを感じました。
こうした経験を通じて、営業から設計、品質保証、調達、生産や物流といった当社のものづくりのプロセス全体を把握するとともに、各部門と積極的にコミュニケーションを取り、多くの人の力をまとめて事業を前に動かすスキルが身につきました。
現在は原価管理の担当として主に「お金」の面からものづくりを管理する仕事を担っています。具体的には、部門全体の業績管理です。製品や原価構造を把握し、適正な付加価値が生み出せているか管理し改善を行っています。例えば、物流の観点では、委託先様と協力してどのように倉庫保管・荷役・輸送を改善すればコストを抑えながら作業効率や品質を高められるかを考え、最適な物流体制を組み立てる力が求められます。
さらに2018年10月にオムロン株式会社のUPS事業がOSSに統合されたのを機に、生産移管プロジェクトも兼務。現在はOSSの生産体制の抜本的な改革に取り組んでいるところです。
UPS(無停電電源装置)とは、災害時などで突然電力供給が停止した時に重要な情報を守る装置です。駅務システムはお客様毎に仕様をカスタマイズする受注生産なのに対し、工場、サーバー管理者および社会インフラシステムに加え、一般消費者など幅広く利用されているUPSの場合は市況を見越した計画生産を行います。両者でものづくりの仕組みが大きく異なるため、現状に即して新たな体制を構築する必要があります。
そこで重要な役割が調達業務です。当社では購買業務と調達業務で2つに分かれています。まず購買担当が製品に必要な各部品の目標コストを設定して仕入れ先様の選定や価格交渉を行い、当社への納品までのプロセスを整えます。その後を引き継ぐのが調達担当です。営業からの販売予測をもとに年間の生産数量や毎月の生産ペースを考えて部品の発注計画を立て、仕入れ先様と連携しながらそれが着実に納品されるまでの進捗を管理します。とりわけUPSでは、市況の需要予測をもとに常に適正な在庫数を維持・管理しながら、一度に大量に注文し、ボリュームメリットを生かして仕入れコストを下げるなど、これまでの受注生産とは違う視点や仕入れ先様との交渉が必要になります。
調達業務では、仕入れ先様とさまざまな納期交渉や調整を経て工場に届いた部品が新しい製品に組み込まれ、やがては社会で多くの人の役に立つ、そうしたものづくりの一端を担えることがこの仕事のやりがいです。
近年、日本はもちろん世界でも甚大な被害をもたらす自然災害が増えており、企業や公共交通機関での事業継続計画(BCP)はますます重要になっています。とりわけ公共交通機関においては災害後の一刻も早い電力復旧が多くの人の命や暮らしを左右するだけに、その責務は重大です。交通機関などの社会システムを支えているOSSにUPS事業が加わった今、これまで以上に社会や人々の安心・安全に貢献したいと大きな使命感と意欲に燃えています。
UPS事業が加わったことで、特に計画生産に関わる経験や知見がこれまで以上に必要だと実感しています。新しい調達や生産の仕組みをつくる時に困難にぶつかることも少なくありません。特にUPSに使われている部品の調達先のほとんどが海外のため、海外の企業との交渉はもちろん、為替変動や天災・通関トラブルによる輸送遅延など、さまざまなリスクを考えてスムーズな調達プロセスをつくることも重要な仕事です。一つひとつ課題を克服するのは大変ですが、新しい知識やスキルが身につき、これまで以上に人脈が広がる喜びもあります。
生産部は比較的平均年齢が低く、若い社員が中心となってプロジェクトを動かすことも少なくありません。自分と年齢やキャリアの近い社員が活躍している姿に刺激を受け、全員が社会システムを支えている使命感を持って積極的に仕事に取り組む雰囲気があります。
また上司との距離も近く、意見や希望を伝えやすいので、自らの意思しだいで思う存分力を発揮できる環境が整っています。
事業移管に伴い、UPSの商材を安定的に供給するための、新たな生産体制を構築することが当座の大きな目標です。災害などの非常時に対する社会的なニーズが高まる中で、UPS事業は日本だけでなくグローバルにビジネスを広げる大きな可能性を秘めています。今後、OSSのこれまでのものづくりにおけるノウハウを生かしながら、品質・コスト・納期・生産性のすべてにおいてこれまで以上に高いパフォーマンスを発揮する生産ラインをつくり、UPS事業をさらなる成長事業に育てることに貢献したいと思っています。
調達業務では、仕入れ先様や関係会社、また社内のさまざまな部門の人と粘り強く交渉し、多くの人の協力を得て最適な調達プロセスをつくりあげる力を持った人を求めています。また、海外からの部品調達も多いので、語学力や国際的なビジネスに経験や関心のある方もぜひ仲間に加わってほしいと願っています。