私たちの生活になくてはならない、国内外の多くの人に使ってもらえるものを作っている企業だからです。
オムロンでは近年、工場の中で、人や障害物をよけながら、重い荷物を定められた場所まで搬送するロボット開発に取り組んできました。私は、そのロボットを応用して工場以外の場面でも使えるようにするプロジェクトに携わっています。OSSとして初めてのロボット事業です。
自動搬送ロボットは、駆動機関やセンサのついた背の低い本体に、荷物を積載するためのカートなどを載せて使用されているものです。90㎏のものまで載せられるため、工場の中だけではなく、駅や商業施設で使えないか?という発想から、OSSで検討をスタートしました。私は大学院で機械系を専攻していて、入社後は券売機の設計に携わっていたのですが、上司から声をかけられ、プロジェクトの立ち上げ時から、メインの担当者として、商材の検討に始まるすべての工程に関わっています。
まずはどんなニーズがあるのか、OSSのお客様に色々ヒアリングしたところ、見えてきたのは慢性的な人手不足でした。特に宿泊施設などで物を運んだり、清掃したりする仕事は、重労働な上、夜間に行われることが多いため、人手が集まらないという問題でした。そこで、現在は、主に宿泊施設での利用を想定したロボットを製作しました。デジタルサイネージで広告を表示しながらフロアを巡回し、同時に清掃を行う、複数の役割を担うロボットです。
私の専門であるハード部分だけでなく、電気系やソフトウエアにいたるまで、すべてを手がけました。今は実証実験を行うところまでになりましたが、これで完成形ではありません。今は室内で、ほとんど人のいない状態で実験していますが、今後は屋外の凹凸のある道、しかも人ごみの中でもスムーズに走れるようにしていきたいと考えています。今は単純に障害物との距離を測って障害物を回避していますが、将来的にはアルゴリズムを状況に応じて強化し、人の動きを予測することもできるようにしたいと考えています。そして、たとえば、道案内やゴミ回収、商品の補充などができるロボットに発展させていきたいと考えています。
初めての事業なので、社内に知見のある人がいなかったことに最も苦労しました。自分から社外に飛び出して人に聞いたり、展示会に行き、ロボット事業を手がける会社の方から教えてもらったりしながら、少しずつ知識をつけていきました。最初は誰に聞けばいいのかさえわかりませんでしたが、自分から知識を求め、それを自分のものにしていくことができたのは自信になりました。社内では誰にも頼れない、孤独な作業でしたが、モチベーションになったのは、誰よりも先にこの分野でトップをとるという志です。ロボットは、これから社会的にさらに広がりを見せる分野と確信しています。それならOSSの中の先駆けになったほうが楽しいと思いました。すでに社内ではロボットのことは私にという認識が広がっていて、展示会の情報などもすぐにもらえようになってきています。
今のトレンドに乗れていること、同時に、知らない分野についてどんどん新しいことを学べることです。私は学部時代は教員志望だったので、技術的な知識は少なかったのですが、入社後、ものづくりを基礎から教えてもらうことで、新鮮な喜びを感じました。学生時代は、自分の成果を求めてものづくりをしていましたが、今は人のことを第一に考えるようになりました。使う人の安全はもちろん、製造工程にいる人にとっても作りやすいものを意識するようになったのは自分でも成長できた部分だと思います。
既存のグループの枠組みとは違う形でロボット事業に関わり、知見を求めて一人で社外に出たり、ロボットの部屋にこもったりしている私が、今現在、何をやっているかを、上司はすべて把握しているわけではありません。それでも時々「今こういう状況です」「これからこういうことをやりたいと思っています」と、雑談のような形でこまめに報告をしているので、おそらく全体像を把握した上で、自由に動くことを認めてもらえているのだと思います。上司と部下の距離が近く、なんでもオープンに話しやすい雰囲気があるのはOSSの特徴だと思います。
世の中にロボットを送り出し、新しいものを生み出す人材であり続けたいと考えています。私がロボット事業を手がけることになった時、上司から「固定概念をこわしてほしい」と言われました。「OSSらしさ」にとらわれず、純粋に未来を創り出していきたい人に、ぜひOSSに来てほしいと思います。たとえ経験がなくても、意欲さえあれば、ロボットに携わることのできる風土がOSSにはあります。
ロボットは未来社会のトレンドになるものです。だからこそ、今から着手すれば、先頭を切って走る存在になれる、その技術を一緒に作っていきましょう。