社員紹介STAFF

2010年入社技術創造センタ ソリューション技術部

転職先としてOSS(オムロン)を選んだ理由を教えてください

社会システムに関わる画像センシングの大きなプロジェクトに参加したかったからです。私は以前、大学発のベンチャー企業で、ロボットのアームに装着するビジョンセンサの基礎技術開発に携わっていました。そこで培ってきた技術力を、安心・安全な社会をつくるために、現場で応用できるレベルへ高めていく仕事に大きな魅力を感じたのです。

入社して、自分の技術と、それが実際に使われる現場との距離が近い事に改めて驚きました。実験室で開発した技術を技術のまま終わらせず、実用に落とし込む事を目指しているので、そこで生じる多くの現場課題をクリアしない限りどんな技術も使い物にならないというのは、それまで行ってきた研究との決定的な違いでした。それをクリアして現場で使えるようになった時の達成感は大きく、社会に有意だと認められた事の喜びを感じました。

現在担当しているのはどのような仕事ですか

私たちのチームは、ディープラーニングを中心としたAI技術によって、世の中に蓄積しているあらゆるデータから有意な情報を抽出し、分析し、新しい価値創造をするための技術開発に取り組んでいます。

たとえば、OSSの大きな事業の一つである鉄道ソリューションに関して、駅構内の安心・安全を追求する技術開発を行っています。駅に設置されたカメラで、ホームに転落しそうな人を画像認識して注意喚起したり、介助が必要な人を発見したり、混雑具合を把握したりする事によって、駅の状況を見える化することで駅員の業務効率化を目指しています。次は、そういったさまざまな情報から一歩進んで、普段の状況とどのように違うのか、どのようなリスクがあるかをAI自身が判断できるような技術も提案する予定です。

最近、お客様のところに行って直接お話をする機会が以前より増えました。賢いAIを作るためには、賢い学習の仕組み作りがとても大切です。人間が、色々な物を見て知識を蓄積していくように、AIも、効率よく教えるためには、技術者が直接現場に行き、自分の目で確認し、課題を持ち帰って、学習方法を検討する事が必要になるからです。社内では、実験室でまず汎用的な技術を開発していますが、それを現場適用したものにレベルアップさせるためには、技術者も現場に足を運び、自分の目で課題をつかまなければならないとも考えています。

働くやりがいや楽しさを感じられるのはどんな時ですか

自分たちが開発した技術を、実際の物にして、世に送り出し、実際に人の役に立っているところを見られるのは、OSSで技術に携わる事の醍醐味と思います。

AIチームには、それぞれの専門分野を持つ約10名のメンバーがいます。私は自分の分野の技術開発だけでなく、リーダーとして、メンバーが取り組む全プロジェクトをサポートする立場です。自分の技術力をもっと磨きたいという技術者としての気持ちもありますが、会社としてAI人材の育成は重要な課題ですので、一人ひとりのメンバーが、プロジェクトの中でさまざまな経験をしながら成長していくのを見守る事にも大きなやりがいを感じています。技術者として、自分の開発した技術がお客様に喜ばれる、その嬉しさをメンバー全員にも味わってほしいと思っています。

仕事で苦労した事、困難だった事はありますか

提案した技術が、お客様に評価していただいた結果、他社に負けた事があります。お客様の要求や課題認識が甘かったために、現場での使用に耐えられなかったのです。大きな挫折を味わいました。でもチームですぐに立ち上がり、現場で必要なものは何かを細かく分析した上で、データ作りからアルゴリズムまで、全員で課題を見つけ、一つひとつクリアして作り直したものを、自信を持って再度提案したところ、高く評価していただく事ができました。失敗がきっかけでしたが、チーム全員で取り組んだ結果だったので、とても嬉しかった事を覚えています。

職場の雰囲気や働きやすさについてどう思いますか

私のチームは全員が技術者です。技術に対する熱意が強い個性豊かな人ばかりで、日々お互いを刺激し合ってとても楽しいチームです。AI技術をいかにして世の中で活用するかという目標は同じなので、みなさんワクワクしながら仕事をしています。自分の目標と会社の目標が一致する事によって、楽しく仕事ができる職場だと思います。

先日、小学生の子どもがインフルエンザにかかり、スケジュールが立て込んでいたのに、看病のため3日間会社を休まなければならなくなった時は、昨年にスタートしたテレワーク制度を利用しました。自宅でデスクワークをし、ミーティングにはスカイプで参加して、周囲に迷惑をかける事なく仕事を進める事ができました。小さい子どもがいる人にとっても安心して働ける環境だと思います。

今後仕事をしていく上で成し遂げたいと考えている事や目標はありますか

AI開発プロセスの効率化が目標です。AIに対するニーズがどんどん高まっていて、いかに効率よくAIの応用を拡大していくことが大きな課題と認識しています。AIの技術開発にはアルゴ設計、プログラム実装、チューニング、データベース作り、モデル学習など様々な工程があります。高度な技術力が必要なのはコア部分だけで、それは自社の強みとしてじっくり磨いていきますが、その外側にあたる作業レベルの仕事は必ずしも専門の技術者がすべてに関わる必要はありません。外部リソースの活用やプラットフォーム構築などの工夫で、さまざまな社会ニーズにすぐに対応できるようにすることを目指しています。

私たちは、現場課題を解決する技術開発を行っている一方で、常に最先端の技術をキャッチアップすることも心かけています。技術的に一歩先を進んでいる大学やベンチャーとの協創を推進し、イノベーションを起こし続ける組織になるように努力を続けていきたいと考えています。