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座談会01エネルギー事業は大きな変革期へ

座談会メンバー
類家(写真:右)
オムロンソーシアルソリューションズ株式会社
エネルギーソリューション事業本部
エネルギーサービス本部長
家庭向け(低圧電力)新規サービス開発の責任者
榎並(写真:左)
オムロン フィールドエンジニアリング株式会社
エネルギーマネジメント事業本部長
企業向け(高圧電力)エネルギー事業の責任者

オムロンソーシアルソリューションズのエネルギー事業を牽引ししているお二人に、
「エネルギー事業の未来」について語ってもらいました

エネルギーの未来を切り拓く、新たなサービスとは?

私の事業部では低圧電力に携わる新規サービスの企画・開発を行なっています。
例えば日本中のご家庭にある蓄電池の消費電力量や需要・供給などのデータを統合し見える化することで、その見える化したデータをもとに環境にも、蓄電池を使う人にも、そして我々にもメリットがあるようなサービスを創るといった具合ですね。

私の事業部は高圧電力を使用する産業領域において、カーボンニュートラルを実現するために、再生可能エネルギーを最大限活用するため蓄電システムや省エネを主とするサービス・ソリューション開発を行っています。
顧客の課題解決に際し、実際に現地へ納める施工を含めたエンジニアリングまで行うことや運用・保守を実施するといった点が、特に類家さんの事業部と違うところです。とはいえ、低圧も、高圧も、電力の価値は同じですね。

そうですね。お互いに、アプローチと市場が違うだけですね。
ただ、持っている強みは少し違っていて、私たちはオムロンというメーカーとしての蓄電池の製造力をもとに、蓄電池のデータを取りまとめる事業を展開しています。
システムという安定性が根っこにあって、それをもとにエネルギーサービスを展開し、住宅や空き地などにある太陽光パネルをメインターゲットに、その数を集めにいくというビジネスです。

高圧領域では扱う設備の規模・容量は大きく異なるため、私たちの事業部では、案件ごとに設備設置の最適な提案を行います。加えて設備を設置したあと運用・保守も提供するため、継続して顧客に入り込み、周辺の設備の追加改修といった、継続的に利益を生み出していくことも特徴です。また重要な顧客は製造業が多く、いわゆるB2B事業を中心としています。
私たちの共通点は蓄電システムですね。蓄電システムを広げることで、天候に左右される再生可能エネルギーを有効に活用するためのサービスやアプリケーションを生み出していきます。

環境サイクル

エネルギーの産業転換期という大チャンス!

低圧領域では蓄電池を遠隔制御できる国内トップクラスのメーカーとして再生可能エネルギーの導入量を増やすことに貢献するために、その導入のメリットがさらに広がるサービスやアプリケーションを創っています。
そういった意味では再生可能エネルギーの導入が社会の大きな流れになっている今がOSSにとって大きなチャンスだと思いますね。

欧州では、自然資本への意識が高く、自然環境への配慮ができていないような製品はもはや選択肢にもあがりません。気候変動に対する世界的な意識の変容はこの数年で明らかに異なるステージに移行しており、日本においても自然環境への配慮への取り組みレベルは高まっています。
太陽光発電で作られた電力は化石燃料で作られた電力より安いため、導入が広がり、今は蓄電システムの導入が広がりつつあります。

九州地方では、太陽光発電の広がりが大きいです。
昼間の時間は太陽光発電でほとんどの電力をまかなえているのでは?と思うような発電量ですが、実は蓄電池の制御ができずに電力を捨ててしまって、夕方になって動かした火力発電で電力をまかなうなんてこともあるようです。
それは脱炭素という視点でも、エネルギーロスという視点でも非常に持ったないないですよね。
このようなロスを嫌がる人や企業も多いので、蓄電池の電力をロスなく活用できる遠隔制御技術をもったOSSにとっては大きなチャンスですね。

産業領域での事業を立ち上げた2011年から現在で売上は大きく伸び、直近の数年間でも4倍超の成長軌道を描いています。
日本は国の施策として、再生可能エネルギーの導入をさらに推し進める必要があり、そのために蓄電システムを中心とした蓄エネルギーの市場は基本的には大きく伸びていく状況にあります。
原子力や火力発電を中心とした産業構造から、自律分散した発電へと産業構造が大きく転換するような時期に巡り合い、その転換を後押しするような事業に携われる機会は社会人人生としてもなかなかない貴重なチャンスだと思います。

座談会の様子
座談会の様子

未来の電力革命!OSSが目指す「未来」

私の将来的な展望では、今の物価高や国際情勢の影響をうけて電気料金はさらに高くなるいく傾向にあるので、自分たちで使う電気を自分たちで作ろうといった風潮の高まりを感じますし、その結果、10年後には蓄電システムは「あって当然」のものになると思います。
そんな中で蓄電システムを使うユーザーの方にも、私たち企業にも、メリットのあるビジネスの仕組み、新しいサービス自体をどんどん創っていきたいですね。

産業領域での事業の大きな展望は、九州地方で再生可能エネルギーのロスが発生してしまうエリアにて、蓄電システムを配置することで無駄なく効率的に再生可能エネルギーを活用できるようにし、2030年までの再生可能エネルギー導入数の政府目標を支えていきたいです。
特に、製造業において再生可能エネルギー率の向上と省エネをより進めていきたいと思っています。経営者にとっては、生産設備と異なり、太陽光発電や蓄電池など投資が先行する設備導入・更新は経営アジェンダとして設定しづらく、どうしても積極的な投資判断を行いにくい実態があります。そのため、ファイナンスやリースを活用したり、設備導入の成果を事前にコミットする、自社の取り組みの立ち位置を明確に示すなどを組み合わせることで、未来を見据えた投資を促進し、自然環境に配慮しつつ強靭な日本のモノづくりに貢献していきます。

座談会の様子