プロジェクトを知る 02 オムロン・
京阪奈イノベーションセンタ
「自己託送」を開始し、
再エネ電力の自家発電・自家消費を拡大

オムロンは、2023年1月より自社事業所の京阪奈イノベーションセンタ(京都府木津川市)に対して、敷地外に設置したオムロン宮津太陽光発電所(京都府宮津市)から、一般送配電事業者の送配電ネットワークを介した「自己託送」方式による送電を開始しました。自己託送による送電は、オムロングループとして、初めての取り組みとなります。

Project storyCase 02

取り組みについて

自己託送とはどういったものでしょうか?
自己託送は、自家発電設備を保有する事業者が発電した電力を一般送配電事業者の送配電ネットワークを経て遠隔地にある自社工場や事業所などに送電して使用する、電力供給の仕組みです。
今回のプロジェクトの概要を教えてください。
この取り組みは、オムロングループの社会システム事業を担うオムロン ソーシアルソリューションズ株式会社の傘下で、環境ソリューションやエンジニアリング・サービスを提供しているオムロン フィールドエンジニアリング株式会社(以下、OFE)が手掛けています。京都府宮津市内のスキー場跡地である遊休地に新設した、パネル容量734kWの太陽光発電所を新設しました。発電した電力を約100km離れた自社事業所に送電、供給する仕組みです。この取り組みにより、自家発電設備の設置スペース不足などが原因で、自前では再生可能エネルギーの調達が難しかった事業所でも、自社で発電した再生可能エネルギーを利用することが可能となります。

導入までの背景

自己託送を導入することに、どんな背景や狙いがあるのでしょうか?
オムロンでは、2018年7月に2050年に温室効果ガス排出量ゼロを目指す「オムロン カーボンゼロ」を設定し、自社の事業活動で排出する温室効果ガス(以下GHG)削減の取り組みを推進しています。2022年4月にスタートした長期ビジョン「Shaping the Future 2030(以下SF2030)」では、2024年度までにGHG排出量総量を2016年度比で53%削減することを目標に定め、「省エネ・創エネの拡大」と「国内全76拠点のカーボンゼロの実現」に取り組んでいます。今回の京阪奈イノベーションセンタへの自己託送の取り組みにより、年間200t以上のGHG排出量の削減を見込んでいます。
カーボンゼロに向けての施策の一環、ということですね。
はい、そうですね。また、オムロンは事業活動で使用する再生可能エネルギーの「自家発電・自家消費」を拡大するだけではなく、この取り組みで培ったエネルギーマネジメントに関する技術やノウハウを活用する狙いもあります。エネルギーソリューション事業として顧客に提供することで、SF2030で自ら解決すべき社会的課題として捉えた「カーボンニュートラルの実現」に貢献していきたいと考えています。

システムの特徴

OFEの自己託送システムにはどんな特徴があるのでしょうか?

OFEが提供する「自己託送システム」は、太陽光発電システムに加え、大容量蓄電池を活用しています。オムロンが長年培ってきた制御技術を基に独自開発した発電量と消費量の計画値と実績値を一致させる「同時同量制御」エネルギーマネジメントシステム(EMS)で、送配電ネットワークへの影響やインバランスリスク(※)を低減し、電力の安定供給を実現しています。大容量蓄電池は、大容量で長時間使用ができる日本ガイシ株式会社のNAS電池を採用しています。

同時同量制御において、インバランス(託送計画値と実績値の差)が発生すると送配電ネットワーク運用に影響が出るため、一般送配電事業者がインバランス解消をするためのコストが発生し、そのコストは発電事業者側の負担となる場合がある。その費用負担リスクを総称したもの。

オムロン宮津太陽光発電所に設置した大容量蓄電池NAS電池(日本ガイシ株式会社製)

今後の展望・取り組みについて

今回のプロジェクトを通し、描いている展望を教えてください。

OFEでは「自己託送システム」の導入にとどまらず、大容量蓄電池とEMSを組み合わせることで、今後拡大が見込まれる「容量市場」「需給調整市場」への参入を考えています。それにより、日本の再生可能エネルギー普及に貢献していくことを目指しています。

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