環境事例

駅で当たり前のように通り抜ける自動改札機。
キャッシュレス決済によって「切符を通す」から「カードやスマホをタッチする」形に変化しました。
切符としての磁気券の扱いは減少を続けていますが、ゼロになるまでにはまだ時間がかかるため、現状はその過渡期にあたります。
鉄道事業者様にとって、磁気券が利用される頻度は減少するものの、その取り扱いは継続が必要となり、できるだけ低コストでその実現が求められることになります。
この課題に対して、私たちは、稼働している自動改札機の構成部品やユニットの再利用により、鉄道事業者様が求めるコストだけでなく、環境負荷も少ない解決策を見つけ出しました。
自動改札機の中には、切符を通す「磁気券搬送部」があります。
これは、その名の通り磁気券を搬送し、その過程で磁気券に記録されている情報を読み取って判別するユニットです。
キャッシュレス決済の進展により磁気券の利用が減少し、磁気券搬送部を搭載しない自動改札機が多くなっています。また、磁気券の取り扱いを段階的に終了する鉄道事業者も増えていることから、今後もこの流れは継続するものと想定しています。
しかしながら、磁気券が完全になくなるまでにはまだ時間を要します。それまでの間は磁気券の取り扱いを継続しなければならず、老朽化に伴う自動改札機の更新時にも磁気券搬送部の搭載が必要となります。
こうした状況において、磁気券搬送部も含めた自動改札機の全面的な更新を行うことは、鉄道事業者様にとってのコスト負担が大きくなるため、その低減が求められます。
この課題に対して私たちは、磁気券の利用頻度が減少していることから、磁気券搬送部の劣化は少なく、まだ使える状態にあると想定し、その再利用の可能性を探っていきました。

現地で稼働してきた磁気券搬送部は、利用頻度に差があることから、再利用可能かどうかを判断する基準を定めました。
取り外した磁気券搬送部は、再利用可能かどうかを判断した後、各種の整備を実施し、電源については、経年劣化による安全面を考慮し、再利用せず更新を行いました。
品質に関しては、お客様である鉄道事業者様と協議し、現物での動作に問題がないことを保証することで了承をいただきました。
その一方で、稼働中の自動改札機に搭載されている磁気券搬送部を取り外すことになるため、自動改札機の利用をできる限り妨げないことが求められます。
どこの改札機から取り外してどこの改札機に組み込むのか、ローテーションの精緻な計画を立てるとともに、取り出した磁気券搬送部の状態によって計画に影響が生じる場合は、臨機応変に再調整を繰り返すことで更新作業を完了させました。
このようにして再利用可能と判断され、再整備された磁気券搬送部は、新しい自動改札機に搭載され、再び現場で稼働しています。

本事例では、既存機器を活用する更新手法を確立したことにより、鉄道事業者様における磁気券の運用継続とコスト削減の両立を実現しました。
また、磁気券搬送部の再利用を通じて、廃棄物の削減、新規資源の使用抑制により、環境負荷低減を図ることができました。
この経験を基に、私たちは再利用技術を持続可能な駅設備づくりへの新たなモデルケースとして発展させていきます。
これからも、環境に配慮したモノづくりを通じて、鉄道インフラの未来と社会の持続的な発展に貢献してまいります。