オムロンフィールドエンジニアリング、松尾研究所と共同開発したAI判定モデルにより、
属人性の高い保守業務をシステム化
- ニュースリリース
オムロンフィールドエンジニアリング株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:立石 泰輔、以下OFE)は、株式会社松尾研究所(本社:東京都文京区、代表取締役:川上登福)と共同で、作業現場で撮影された点検写真をAIにより自動判定する新たなシステムを開発しました。
近年、労働人口の減少を背景に、保守・点検業務の分野では、作業品質の維持と人的リソースの効率化を両立させることが重要な課題となっています。OFEは、鉄道・金融をはじめとする社会インフラ領域において保守運用業務を担い、長年にわたり高品質なサービスを提供してきました。一方、点検写真の確認作業は重要なダブルチェック工程であるがゆえに、これまで人手に大きく依存してきた業務でもあります。
本プロジェクトでは、特に属人性が高く作業負荷の大きい「設置機器の設定値(大量の文字情報)の照合作業」に着目しました。OFEが蓄積してきた現場ノウハウと松尾研究所の先端AI技術を融合し、生成AIを活用した自動判定モデルを構築。従来は人手に頼っていた判断プロセスをシステム化することで、省リソースでありながら高品質な保守業務を実現する基盤を整えました。
実運用における効果検証
本システムは、社内現場にて約4か月間の効果検証を実施し、以下の成果を確認しました。
● AI判定回数 : 8332件
● AI精度(*1) : 89%
● システムエラー率(*2) : 0.2%(高い安定稼動を実現)
これらの結果から、本システムが実業務に耐えうる精度および安定性を備えていることを確認しました。2025年10月より、特にAI適用効果の高い点検業務を中心に優先的な導入を開始しています。現場での利用にあたっては、実際の作業で使用する点検画像を用いた事前検証を行ったうえで運用しており、AI活用による作業効率化に加え、人手作業では避けられない見落としリスクの低減など、品質向上にも寄与しています。
(注釈)
*1 AI精度:
AIが出力した結果が、あらかじめ定義した正解データとどの程度一致しているかを示す指標。本数値は実際の業務データを用いた検証結果に基づいて算出しており、現場業務における実用性の高さを示すもの。
*2 システムエラー率:
本システムの運用・検証過程において、想定された処理フローが正常に完了しなかった割合を示す指標。通信障害や処理停止、結果が出力されないケースなど、システムとしての動作不具合を対象としており、安定的な稼働性を評価するために用いられる。
技術的特徴 - 人の判断プロセスをAIで実現 -
本システムの最大の特徴は、従来の外観検査に代表される画像パターン認識にとどまらず、写真に含まれる文字情報を読み取り、その内容が正しい設定値かを意味的に判断する高度なAI処理にあります。このような判断は、従来の画像認識のみでは対応が困難でした。
本プロジェクトでは、松尾研究所のAI技術を基盤に、文字認識(OCR)による文字抽出と大規模言語モデル(LLM)による意味理解を組み合わせることで、人がマニュアルを参照しながら行ってきた判断するプロセスをAIで再現する高度な判定モデルを開発しました。
● OCR(文字認識)
点検写真から設定値などの文字情報を抽出
● LLM(大規模言語モデル)
抽出した文字をマニュアルに基づいて照合し、正誤を判定
● Chain-of-Thought(推論過程の可視化)
AIの判断理由を段階的に提示することで、判断の透明性と安定性を向上

AIの判断過程を可視化することで、現場担当者が結果の妥当性を確認しながら活用できる仕組みを実現しています。
今後の展望
OFEと松尾研究所は、今後も先端AI技術への積極的な投資および研究開発を継続し、保守運用現場のDX推進と作業品質のさらなる向上を図ります。労働力不足が進む社会において、省リソースでありながら高品質を維持できる次世代の保守運用モデルを構築し、安全で持続可能な社会インフラの提供に貢献してまいります。
オムロン フィールドエンジニアリング株式会社について
OFEについて:https://socialsolution.omron.com/field-engineering/
株式会社松尾研究所について
松尾研究所について:matsuo-institute.com
お問合せ先
オムロン フィールドエンジニアリング株式会社
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