東京急行電鉄株式会社様
業務用の文書・規定類をデジタル化する「ABookBiz」導入事例
「ABookBiz」の高いカスタマイズ性が業界ルールに柔軟対応・規程類の携行性が向上するとともに更新・管理負荷も軽減
東京急行電鉄株式会社様では、社内でタブレットを導入する話が持ち上がり、各部署の規程類をデジタル化することについて検討を開始した。デジタル化する場合、安全に運用できることを重要視してソフトウェアを探した結果、オムロンフィールドエンジニアリング株式会社(以下OFE)から提案を受けた「ABookBiz」の導入を決定した。鉄道業界を知り尽くしているOFEからの提案は的確であり、また、株式会社エージェンテックの「ABookBiz」が備える高いカスタマイズ性が導入の決め手となった。
導入の背景と課題
乗務員の携行品は多い人で8kg
規程類の改訂は多く、管理が煩雑
社内においてデジタル化にとりわけ期待したのは乗務員だった。乗務員の業務を支援する運転車両部保安課の澤口氏によれば、「乗務員が携行する規程類はルールの増加に伴って年々増えている」という。事故防止のために設置が増えてきたホームドアのマニュアル、相互直通運転が増えたことによる他社の車両マニュアルなど、規程類は増加の一途。「乗務員によっては、規程類以外の携行品を含めて8kgほどの荷物を持ち歩いている」(澤口氏)ほどだ。
鉄道事業本部 運転車両部 保安課 澤口 俊彦 氏
また、規程類を携行するよう省令等で定められている。改訂は多い時、数カ月に1回程度。内容が変われば、改訂し、規程類を印刷して、1000人以上の乗務員に配布する。軽微な改訂であれば、各乗務員が手書きで修正を加えることもあるが、その場合、職場の監督者は、所属している乗務員全員の規程類を確認し、修正状況をチェックする必要がある。「管理がとても煩雑になっています」(澤口氏)。
ただし、規程類を単にデジタル化すれば、解決するものではない。いつでも最新情報にアクセスでき、かつセキュリティ面を確保することが重要だった。
導入を決めた理由
通信環境に左右されない「ABookBiz」
カスタマイズで「いつでもアクセス」できるよう工夫
セキュリティ面を考慮すれば、ダウンロードせずにネットワーク上で閲覧するほうが安全であるが、規程類は「いつでもアクセス」できなくては意味がない。すなわち通信環境に左右されるソフトウェアでは役に立たない。「ABookBiz」は専用ビューワに規程類をダウンロードできる。独自の暗号化技術と認証により、仮にタブレットを紛失したとしても文書を第三者が閲覧することは難しい。ダウンロード型であっても十分にセキュリティ面を確保できる。
また、ビューワの認証情報を利用者が忘れてしまっては、「いつでもアクセス」できることにはならない。それを回避するため、機能のカスタマイズを実施し、ログアウト時にパスワード認証処理を加え、誤ってログアウト状態にしないよう工夫を施した。
導入時の状況と効果
携行品の重量は半分以下に
業務効率改善やペーパーレス化のほか車掌の意識改革も
OFEが提案をした2ヵ月後に、乗務員の中でも車掌が携行するタブレットに「ABookBiz」を試験導入。それから半年もかからず、2017年10月から本運用を開始した。「携行品の重量は半分以下になったと思います」と澤口氏。規程類の改訂が容易になり、今後の運用次第では、業務効率の改善も期待される。ペーパーレス化はコスト削減につながるため、導入効果は多岐に渡っていくだろう。
さらに、「ABookBiz」の最大の効果として挙げたのが「車掌の意識が変わった」(澤口氏)ことだという。本社から携行を指示した規程類だけでなく、お客さまへのより高いサービスの創出を目的とし、各職場で業務上必要と考える資料を幅広く「ABookBiz」にアップロードしておき、必要なシーンで、積極的に確認、活用するようになるなど、業務に対する車掌の意識がより高まってきたという。
また、検索機能により、膨大な規程類や資料から、すみやかに必要な条文や情報を抽出し、活用することが可能となったことも非常に意義深い。「今後、運転士への展開も視野に入れ、さらに発展させたい」と澤口氏はいう。
今後の活用
膨大な規程類をデジタル化し、編集機能でより分かりやすい資料に
将来的には人材育成や技術継承のツールとしても活用
線路や構造物を管理している工務部では部内の規程類をデジタル化するのに「ABookBiz」を使用している。同部の瀬川氏は「導入はスムーズでした。導入時、規程類を検索しやすくするコンテンツを「ABookBiz」で作成し、展開しました。その後は各自に任せましたが、分かりにくいという声はなかった」という。
鉄道事業本部 工務部 計画課 瀬川 亮輔 氏
瀬川氏の部署で扱う規程類は約100種類に及ぶ、という。デジタル化により、容易に持ち運ぶことが可能になり、必要な情報へのアクセスが飛躍的に速くなったことを喜んでいる。「ABookBizの編集機能を使えば、分かりやすい資料を簡単に作成できるので、活用しています」(瀬川氏)。「ABookBiz」の機能はデジタル化にとどまらない。
「今後は図面や工事作業の手順書などもデジタル化していきたい。工務部で扱うノウハウやスキルは継承が難しい。そのほかでは、工事の様子などを動画で保存して若手社員向けの教材として活用していきたい」と瀬川氏。「ABookBiz」は人材育成や技術継承のツールとしても一役買いそうだ。
東京急行電鉄株式会社
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本社
東京都渋谷区南平台町5-6
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設立
1922年9月2日
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主な事業内容
民営鉄道において最多の輸送人員数を誇る鉄軌道事業を中心に、商業施設・オフィスビル・住宅などの都市開発事業や生活に密着した幅広いフィールドで生活サービス事業を展開。