UPS Virtual Report

Dell PowerVault MEのシャットダウンをSC22でやってみよう

ストレージ・NAS

オムロン ソーシアルソリューションズのSE村井と申します。

本日は、Dell Technologies社のストレージであるPowerVault MEのシャットダウンをオムロンUPSに装着するネットワークカード「SC22」で実施する方法をご紹介していきます。

※2025年2月現在の情報です。

この記事を見ると何ができるようになる?

  • PowerVault MEのシャットダウンを「SC22」で設定できるようになります。

どんな人向け?

  • PowerVault MEのシャットダウン自動化を担当されている。
  • 停電時にUPSと連携してPowerVault MEを自動でシャットダウンしたい。

PowerVault MEとの動作検証状況

PowerVault MEとオムロンUPSに装着するネットワークカードとの動作検証状況については以下URLをご参照ください。
https://socialsolution.omron.com/jp/ja/products_service/ups/virtualization/verified.html
ページ内を下スクロールし、「(3) ストレージ」をご参照ください。

環境情報

以下環境でシャットダウンの確認を実施しました。

メーカ 型式 バージョン
Dell Technologies PowerVault ME5012 5.1.2.1.1
オムロン ソーシアルソリューションズ SC22 1.31

バージョン情報はそれぞれ以下画面で確認可能です。

PowerVault ME

>メンテナンス>ファームウェア

SC22

>システム状態>UPSモニタ>[製品情報]タブ

設定方法(PowerVault MEをシャットダウンする設定)

「SC22」でPowerVault MEをシャットダウンするための設定方法をご紹介します。

「SC22」は通常のネットワークカードと異なり、LinuxベースのOSが搭載されているため、「SC22」からPowerVault MEに対してSSH接続し、PowerVault ME上で実行するコマンドを登録することができます。
SSHの接続からシャットダウンコマンドを含めたスクリプトを「SC22」ではプリセットしているため、簡単な操作でシャットダウン設定が可能です。
シャットダウン設定は、「SC22」にWebブラウザでアクセスし行います。

PowerVault MEをシャットダウンするために必要な入力項目は3項目のみです。その他の項目はマウス操作でいくつか選択することで、シャットダウン設定が可能です。

入力項目

・IPアドレス
・SSHで接続する時のIDとパスワード
・スクリプトのタイミング(秒数)

それでは、「SC22」の画面を見ながら設定方法をお伝えします。

「SC22」にWebブラウザでアクセスし、ログインします。
>UPS管理>スクリプト&スケジュール>「スクリプトシャットダウン」タブに移動し、以下を実施します。

項目 実施内容
IPアドレス
ホスト名
PowerVault MEの管理IPを入力します。
※ 両コントローラの管理IPを入力する必要はありません。
どちらかのコントローラの管理IPを入力ください。
プロトコル SSHをプルダウンから選択します。
条件 「シャットダウン」をプルダウンから選択します。(デフォルトのまま)
ログインID 1 PowerVault MEにSSHでログインするときのIDを入力します。
パスワード 1 PowerVault MEにSSHでログインするときのパスワードを入力します。

画面を右スクロールして、以下を実施します。実施後「設定」ボタンを押下します。

項目 実施内容
スクリプト待機時間(秒) スクリプトを実行するタイミングをここで調整します。
入力電源異常時は、待機時間+設定した値の秒数を待ち、
スクリプトを実行します。
スクリプトNo. スクリプト6をプルダウンから選択します。
スクリプト6を選択すると、スクリプト内容欄には
「Dell PowerVault ME」と表示されます。

スクリプト内容の横にある「表示」ボタンを押下すると実際に実行するスクリプトを確認、修正できます。
特にスクリプトの修正は不要です。

※ 待機時間とは、以下画面(>UPS管理>UPS設定>「シャットダウン設定」タブ)で設定する時間で、
イベント発生からシャットダウン動作(クライアントシャットダウン又はクライアントシャットダウン/UPS 停止)を開始するまでの時間設定です。
待機時間内にイベントが解消すれば、シャットダウンは開始されません。

以上で、PowerVault MEを「SC22」でシャットダウンするための設定は完了です。

スクリプトの動作検証方法

それでは、設定が正しく動作するか確認します。
先ほど、スクリプトを設定した画面(>UPS管理>スクリプト&スケジュール>「スクリプトシャットダウン」タブ)で、スクリプトを手動実行できます。
実際にPowerVault MEをシャットダウンしますので、PowerVault MEをシャットダウンして良い状態であることを確認し、実行したいスクリプトのチェックボックスにチェックを入れ、「テスト」ボタンを押下します。
※ 「テスト」ボタン押下後にキャンセルはできません。

「テスト」ボタン押下後、しばらくすると、PowerVault MEのGUIが以下のようになり、GUIが参照できなくなります。

「テスト」ボタン押下後にPowerVault MEがシャットダウンされない方は、IPアドレス、ログインID、パスワードに誤りがないかご確認ください。
スクリプト待機時間で0以外の値を設定した場合、「テスト」ボタン押下時もその設定した値の分だけスクリプトの発行を待ちますので、すぐに実行したい場合は、一旦値を0に変更いただき、「設定」ボタン押下後、再度「テスト」ボタンを押下ください。

スクリプトの実行結果については、以下URLで確認できます。
http://<SC22のIPアドレス>/SCdbgX.log
※ SCdbgの後の”X”には、上記画面のNo.の値を入力してください。
例)No.1にPowerVault MEをシャットダウンするためのスクリプトを登録していた場合は以下です。
 http://<SC22のIPアドレス>/SCdbg1.log

例)No.12にPowerVault MEをシャットダウンするためのスクリプトを登録していた場合は以下です。
 http://<SC22のIPアドレス>/SCdbg12.log

テストが失敗した場合、一例になりますが以下のような画面になります。

テストが成功した場合は以下のような画面やログになります。
※ テスト結果欄の「合格」というステータスですが、シャットダウンが成功したかどうかなどのステータスを確認していません。設定したスクリプトが最後まで実行された場合、「合格」になります。

設定方法(UPSを停止および起動する設定)

最後に、UPSを停止および起動させるための設定方法をお伝えします。
先に述べた待機時間を設定する画面と同様です。
以下画面(>UPS管理>UPS設定>「シャットダウン設定」タブ)で設定します。

項目 実施内容
シャットダウン動作
(入力電源異常時)
「クライアントシャットダウン」を選択した場合、スクリプトは実行しますが、UPSは停止しません。(UPSのバッテリで供給できる限り出力を続けます。)
「クライアントシャットダウン/UPS停止」を選択した場合、スクリプトを実行し、最終的にUPSを停止します。
UPSを停止するタイミングは、UPS出力停止時間で設定した時間を経過した後に停止します。
UPS出力停止時間
出力コンセント
A/B/C(秒)
シャットダウン動作で「クライアントシャットダウン/UPS停止」を選択した場合に有効な設定です。
待機時間経過後からカウントスタートし、UPS が停止するまでの時間を設定できます。
入力電源復電時の
UPS 再起動
する/しない
「する」を選択した場合、入力電源異常で UPS を停止した後、復電した際にUPSを自動で起動します。
「しない」を選択した場合、入力電源異常で UPS を停止した後、復電した後もUPSは停止したままです。UPSを起動したい場合は手動で起動します。
UPS 出力開始遅延
時間出力コンセント A/B/C(秒)
UPSコンセントグループ毎に、電源出力の開始時間に遅延をかけられます。
接続機器への電源供給開始に時間差を設けたい場合に使用します。

詳細な仕様については、「SC22」の取扱説明書(ユーザーズマニュアル)をご参照ください。
https://socialsolution.omron.com/jp/ja/products_service/ups/support/download/ups/sc22/sc22.html

本記事の通り対応してもシャットダウンができない場合は、以下ページからお問い合わせください。
https://socialsolution.omron.com/jp/ja/products_service/ups/virtualization/support_contact.html

まとめ

電源障害時におけるシステムの保護と安定稼働の確保は、ITインフラにおいて非常に重要です。
Dell Technologies社のPowerVault MEは仮想化環境の外部ストレージとしての使用も多く、その安全な運用のためには電源管理の仕組みが欠かせません。
オムロンのUPSに装着するネットワークカード「SC22」のスクリプト機能を活用することで、電源障害時にPowerVault MEを安全にシャットダウンし、仮想化環境のデータや設定の損失・破損を未然に防ぐことが可能です。UPSは、電源障害時に安定した電力を供給するだけでなく、適切なシャットダウンプロセスをサポートすることで、仮想化環境を含むシステム全体の信頼性を向上させます。

また、DRサイトにストレージだけ設置するバックアップ運用においても、オムロンUPSであればネットワークカード「SC22」のスクリプト機能によりシャットダウンが可能ですので、シャットダウンソフトをインストールするためのサーバやPCは不要となり、シンプルな構成を実現できます。

仮想化環境で使用するサーバやストレージは消費電力が大きく、システム全体をシャットダウンし終えるまでに15~20分程度かかるとお客様から伺っています。そのため、UPSについては、出力容量が大きく、バッテリを増設できるBN-RAシリーズがオススメです。
オムロンUPS BN-RAシリーズWebサイト

ぜひ、PowerVault MEとオムロンUPSをご活用ください。

それでは、また次回お会いしましょう!