UPS Virtual Report
Nutanixにお勧めのオムロンUPS
※本記事はNutanix Advent Calendar 2023年12月22日の記事です。
オムロンソーシアルソリューションズのSE村井と申します。
本日は、Nutanixにお勧めのUPSをご紹介していきます。
本記事を見ると何ができるようになる?
- Nutanixに合うUPSを選定できるようになります。
- NutanixとオムロンUPSをセットで利用する場合に必要な製品がわかります。
どんな人向け?
- Nutanix とセットで使用するUPSを選定する方
どんなことが書いてあるの?
- Typicalで選定するの?Maximumで選定するの?
- バックアップ時間の推奨は?
- UPSを冗長するときの選定の仕方は?
Nutanix 3ノード構成にお勧めのUPSはこれだ!
Nutanix 3ノード構成の場合、1ノードあたりの消費電力は300~600Wが多い印象です。
そのため、3ノード構成の消費電力合計は900~1800Wとなります。
実際には10Gスイッチなどが加わりますので+100~200Wとなり、合計1000~2000Wの構成に対してUPSを選定することが多いです。
結論を先にお伝えすると、Nutanix 3ノード構成でお勧めするUPSは、200V環境の場合は「BU5002R」 or 「BU3002R」、100V環境の場合は「BU300RW」 or 「BU150R」の4機種です。
UPS本体も含め、Nutanixの停電対策に必要なUPS関連製品は以下です。
必要な製品型式
型式(200V) | 型式(100V) | |||
---|---|---|---|---|
UPS本体 | BU5002R | BU3002R | BU300RW | BU150R |
増設バッテリ | BUM5002R | BUM3002R | BUM300R | BUM150RA |
ネットワークカード | SC22 ※台数はUPS本体と同じ台数必要です |
|||
ソフトウェア | PA10V ※ライセンスはNutanixのノード数、仮想マシンの台数、UPSの台数に関係なく、 Nutanixクラスター単位に1ライセンスです |
|||
PDUの必要有無 | 必須 | 出力コンセントの数が不足時に必要 |
製品の仕様概要
200V | 100V | |||
---|---|---|---|---|
UPS本体 | BU5002R | BU3002R | BU300RW | BU150R |
U数 | 3U | 2U | 3U | 2U |
入力プラグ | NEMA L6-30P /端子台 |
NEMA L6-20P | NEMA L5-30P | NEMA 5-15P |
出力 コンセント |
NEMA L6-30R×2個 /端子台 |
C19(メス)×2個、 C13(メス)×8個 |
NEMA 5-20R×6個 (15A兼用) |
NEMA 5-15R×6個 |
Nutanixの 電源プラグ |
直接挿せません | 直接挿せます | 直接挿せます | 直接挿せます |
最大出力容量 | 4200W(工場出荷時) 4500W(端子台入力時) |
2700W | 1920W(工場出荷時) 2400W(端子台入力時) |
1050W(工場出荷時) 1200W(プラグ交換時) |
UPSの選定を急いでいる、概算見積りなのでおおまかで良いという場合は、以下表でUPS型式・台数をご参照ください。消費電力合計をご確認いただければ、必要なUPSと増設バッテリの台数が決まります。
200V環境のUPS型式・台数
消費電力合計 | UPS本体型式・台数 | 増設バッテリ型式・台数 |
---|---|---|
~1400W | BU5002R×1 | - |
1500W~2300W | BU3002R×1 | BUM3002R×1 |
※200V環境では、4200Wまで選定可能です。(入力プラグ形状が端子台でも良い場合は4500Wまで選定可能です)
100V環境のUPS型式・台数
消費電力合計 | UPS本体型式・台数 | 増設バッテリ型式・台数 |
---|---|---|
~1200W | BU150R×1 | BUM150RA×1 |
1200W~1920W | BU300RW×1 | BUM300R×1 |
※100V環境では、1920Wまで選定可能です。(入力プラグ形状が端子台でも良い場合は2400Wまで選定可能です)
バックアップ時間目安(周囲温度25℃かつバッテリ初期状態 : 以降「バッテリ新品時」と記載します)
縦軸がUPSの型式、横軸が消費電力の合計、縦軸と横軸がぶつかる点が、バッテリ新品時の場合のバックアップ時間目安です。
黄色く塗りつぶしている箇所が、上記「200V環境の型式・台数」と「100V環境の型式・台数」で選定した時のバックアップ時間です。
消費電力合計(負荷容量)が1000~2000W以外のバックアップ時間についてはこちらをご参照ください。
消費電力合計 (W) 型式 |
1000 | 1200 | 1400 | 1600 | 1800 | 2000 |
---|---|---|---|---|---|---|
▼200V | ||||||
BU5002R | 37 | 30 | 25 | 22 | 19 | 17 |
BU3002R+BU3002R×1 | 63 | 51 | 43 | 37 | 33 | 29 |
▼100V | ||||||
BU300RW+BU300R×1 | 55 | 44 | 35 | 30 | 26 | 23※1 |
BU150R+BUM150RA×1 | 36 | 29※2 | - | - | - | - |
※1:BU300RWのデフォルト入力プラグ「NEMA L5-30P」時の最大出力容量は1920Wです。
1920W~2400Wの出力が必要な場合は、入力プラグ形状を端子台に変更ください。
端子台に変更した場合、UPSの設定を変更する必要があります。
※2:BU150Rのデフォルト入力プラグ「NEMA 5-15P」時の最大出力容量は1050Wです。
1050W~1200Wの出力が必要な場合は、UPS本体に同梱されている入力プラグ「NEMA L5-20P」に変更ください。入力プラグを変更した場合、UPSの設定を変更する必要があります。
構成イメージ
型式:PA10V(製品名称:VirtuAttendant)は、仮想アプライアンスで提供していますので、Nutanixクラスター上にデプロイしていただく形です。ノード単位にデプロイは必要なく、Nutanixクラスター上に1台デプロイください。
構成イメージは以下です。
SNRTにお勧めのUPSはこれだ!
主にレプリケーション目的で利用するSNRT(Single Node Replication Target)ですが、SNRT上で仮想マシンを稼働させる想定がない場合、SNRT用にPA10Vおよびシャットダウン用のソフトウェアは不要です。
SNRTはUPSに装着するネットワークカードでシャットダウン可能です。
SNRTの停電対策に必要なUPS関連製品は以下です。
必要な製品型式
型式(200V) | 型式(100V) | |
---|---|---|
UPS本体 | BU3002R | BU150R |
増設バッテリ | - | - |
PDUの必要有無 | - | - |
ネットワークカード | SC22 | |
ソフトウェア | - | - |
バックアップ時間目安(バッテリ新品時)
消費電力合計 (W) 型式 |
300 | 400 | 500 | 600 |
---|---|---|---|---|
▼200V | ||||
BU3002R | 64 | 47 | 37 | 31 |
▼100V | ||||
BU150R | 41 | 29 | 22 | 18 |
SNRTを設置するロケーション
メインクラスターとSNRTが同じロケーションの場合と、別のロケーションの場合がありますがどちらのパターンでも、UPSに装着するネットワークカードでシャットダウン可能です。
-
メインクラスターとSNRTが同じロケーションの場合
メインクラスター用のUPSとSNRT用のUPSを1台のUPSにまとめても構成上問題ありません。
SNRT上で仮想マシンを稼働させる想定がない場合、PA10Vはメインクラスターにのみ使用するため、PA10Vの必要なライセンスは1つです。 -
メインクラスターとSNRTが別ロケーションの場合
SNRT上で仮想マシンを稼働させる想定がない場合、SNRT用に必要な製品はUPS本体とUPSに装着するネットワークカードのみです。
※メインクラスターとSNRTが同じロケーションでも、別ロケーションでも、SNRT上で仮想マシンを稼働させ、SNRTもPA10Vでシャットダウンする場合は、SNRT用にPA10Vのライセンスを1つ追加ください。
シャットダウンに実際にどれくらい時間がかかる?
弊社環境でNutanixクラスターのシャットダウンにかかる時間を計測しました。
ソフトウェア環境
AOS Version | Hypervisor | Hypervisor Version | Nutanix Files Version | Prism Central Version |
---|---|---|---|---|
6.5.x | AHV | 20220304.x | 4.2.x | pc.2022.6 |
ハードウェア環境
メーカ | 型式 | 台数 |
---|---|---|
HPE | DX360 Gen10 | 3 |
仮想マシン情報(ユーザVMのみ)
OS | 台数 |
---|---|
Windows 10 | 30 |
Windows Server 2022 | 10 |
Cent OS | 20 |
※PA10Vでシャットダウンする対象を60台に絞って、確認を行いました。
UPS関連情報
型式 | Version |
---|---|
PA10V | 2.5.1 |
SC22 | 1.10 |
※UPSの型式については、お客様環境により、必要な消費電力およびバックアップ時間が異なるため、本記事では記載しておりません。ネットワークカード SC22 を挿すことができる UPS であればシャットダウンおよび自動起動は可能です。
シャットダウン時間の計測結果
停電発生からUPSが停止するまでにかかった時間は15分09秒でした。
仮想マシンにはOSしか入れていない状態ですので、お客様環境の方が時間はかかると想定していますが、一つの参考になると考えております。
弊社のUPS選定方針
Typicalで選定するの?Maximumで選定するの?
- 機器のMaximum(最大消費電力)で選定します。
- サーバのシステム構成図などで記載されているパワーサプライのW数と消費電力は異なります。
- 仮想化環境で使用されるサーバはパワーサプライを2つ使用することが多いですが、2つ使用しても機器の最大消費電力は2倍にはなりません。
バックアップ時間の推奨は?
- Nutanixの場合、バックアップ時間は20分以上を推奨としています。
20~40分のバックアップ時間で選定することが多いです。 - 物理サーバ(単純にOSをシャットダウンするのみ)の場合は、バックアップ時間10分以上を推奨としています
- 弊社で記載しているバックアップ時間はバッテリ新品時の時間です。
- オムロンUPSはバックアップ時間が半分程度になると、バッテリ交換ランプが点灯します。
バッテリ交換ランプが点灯したタイミングでもNutanixを安全にシャットダウンしたい場合、シャットダウンにかかる時間の2倍のバックアップ時間想定し、UPSを選定いただくと安心です。
UPSを冗長するときの選定の仕方は?
- 片系が落ちた場合を想定した選定をします。
- 1台のUPSで機器全ての消費電力をまかなえるように選定します。
- UPSが2台あるため、消費電力合計の半分が1台あたりに必要な消費電力と考えるのはNGです。
UPS本体と増設バッテリの違い
- 最大出力容量はUPS本体に依存します。多くのノードをUPSに接続する場合、最大出力容量が大きいUPSを選定する必要があります。増設バッテリを加えても、UPS最大出力容量は変わりません。
- バックアップ時間は増やしたいときは、増設バッテリを加えてください。
Nutanix 3ノード+物理サーバ/NASの選定は?
物理サーバ or Windows NASが存在する場合
- 消費電力上問題なければ、1台のUPSでまとめて管理できます。
- Nutanixクラスターについては、PA10VとSC22でシャットダウンします。
- 物理サーバはPowerAttendant Standard Edition、もしくはPowerAct Pro Slave Agentでシャットダウンします。
- PA10Vの役割が終わったタイミングでSC22に連絡し、そのタイミングでPowerAttendant Standard EditionやPowerAct Pro Slave Agentは動作を開始します。
※PowerAttendant Standard EditionやPowerAct Pro Slave AgentはUPSの付属品であり無償ダウンロード可能です。
Linux NASが存在する場合
- Linux NASの場合、NASの機能としてUPSとの連携機能を持っていることが多いです。そのため、Nutanix用のUPSとNAS用のUPSを分けることを推奨としています。
Nutanixにお勧めのUPSを紹介させていただきました。
Nutanixとセットで使用するUPSの選定に関する疑問解決の一助となっていると幸いです。
弊社UPSのラインナップは50機種と数が多く、パッと何を選定して良いかわからないというお声を多くいただいておりましたので、本日は敢えて4機種に絞り記載させていただきました。
消費電力および必要なバックアップ時間に応じて適切なUPSを選定させていただきますので、気軽にお問合せください。
他にも質問などありましたら、以下URLから質問ください。
https://socialsolution.omron.com/jp/ja/products_service/ups/virtualization/support_contact.html
以上